■今年の年商200兆ウォンは達成困難
サムスン電子がノート7の生産・販売を中断したことで、巨額の売上損失だけでなく、それまで積み上げた「品質のサムスン」というブランドイメージも大きな打撃を受けるとの見方がある。実際ノート7はサムスン電子にとって会心作だった。歴代のギャラクシーノートシリーズで最速の売れ行きを示し、発表当時には「これまで出たアンドロイド採用スマートフォンで最高」(ウォール・ストリート・ジャーナル)という評価も受けた。
サムスン電子は今年8月2日、ノート7をアップルのiPhone新製品より1カ月先行して発表し、本格的に米国市場を攻略した。発売後1カ月余りで歴代のギャラクシーノートシリーズでは最多の100万台を売り上げた。
証券街ではサムスン電子の今年の年間売上高が2011年以来5年ぶりに200兆ウォン(約18兆4000億円)を下回るのではないかとの予想が示されている。5兆ウォン前後の売上損失で、売上高は190兆ウォン台後半にとどまるとの見方が有力だ。
IBK投資証券のアナリスト、イ・スンウ氏は「サムスンはiPhoneと全面戦争を展開するという意欲を見せたが、やや焦っているように見えた。部品下請け業者の下支えがないサムスン電子の無理な独走が毒になった」と分析した。英フィナンシャル・タイムズは「アップルが需要期を迎え、市場を積極的に攻略しており、サムスン電子の危機は深まるのではないか」と指摘した。
当面の業績低下よりもブランドイメージの失墜など無形の損失の方が深刻だとの懸念もある。漢陽大のホン・ソンテ教授(経営学)は「消費者の信頼失意による余波が当面続く。サムスン電子にとってはリコールを挽回の機会として生かせなかったことが痛手だ」と述べた。