人狼をモチーフにしたテキストアドベンチャー。スマホゲームです。
思わず時間を忘れて遊んでしまう面白さで、なおかつ配信形態など含め様々な点に感激したので紹介させていただきます。
概要
基本料金無料
イメージとしては4話あるうちの1話を無料でプレイできるような形です。
それだけでも4時間くらい遊べます。
本編(残りの3話)は1080円トータルで15時間ほど遊べます。コスパはなかなか良いです。
さらに追加コンテンツもあります。後日談的な奴です。
ジャンルはテキストアドベンチャー。まさに「かまいたちのよる」とかそういった類のものです。
人狼ゲームルール説明
プレイヤーは村人(市民)側と人狼側に分かれ、村人は人狼の全滅を、人狼は村人を自分たちよりも少なくするのが目的。
村人側は誰が人狼かわからないため、はったりや推理力、観察力がものをいうゲームです。そういった意味ではポーカーに近いですね。
ぶっちゃけやってみないとルールは中々理解できません。
とりあえずNAVERのルール説明を置いておきます。
興味はあるけど一緒にやる人がいないという方はこういった場所があるのでぜひ。
ストーリー(ネタバレなし)
一言でいうとリアル人狼ゲーム
主人公は怪しげな村へ迷い込み、本当に人狼が人を殺している渦中に巻き込まれます。
人狼ゲームと同じく村の人々に人と狼を見破ることのできる占い師(作中では「蛇」)などの役割が与えられ、仲間が殺されていく中、人狼を見つけて倒そうとします。
本当に命がかかった殺し合い。
ただの人狼ゲームであれば気軽に「あのひとが怪しいから殺そう」となりますが、実際に命がかかるとそうはいかない。自分が助かりたい。自分は犠牲になりたくない。でも人は殺したくない。そんな人々の本性が明らかになるデスゲーム。映画タイタニックの我先へとボートに乗り込むよう。
推理物としても、人間ドラマ的にも非常に面白い作品に仕上がっています。
ゲームシステム
典型的なテキストアドベンチャー。
そしてこの作品で特徴的なのは「死に戻り」という死ぬこと(ゲームオーバー)によって新たなカギを見つけ、今まで選べなかった選択肢を選べるようになるという点。
↓初見では鍵マークがついているけれども、死んで鍵を手に入れることができる
要するに「ゲームオーバー」が必須、「ゲームオーバー」するとナビゲーターキャラが「これで問題ないんだぜ」「元気に死んで来い!」みたいなコメントをくれるような作品。
ですので「ゲームオーバー」になっても全く不快な感情を受けない。
この仕組みがこの作品を飾り付けています。
例えば、選択肢A,B,Cがあります。
しかし初めは選択肢Aしか選べません。
ポケモンでいうと
「さぁ好きなポケモンを選びなさい」
と言われたものの炎タイプのヒトカゲしか選べない。
しぶしぶヒトカゲを選ぶと、ライバルが水タイプのゼニガメを選んできて弱点を突かれて負ける(死ぬ)
すると主人公は「死に戻り」、「さぁ好きなポケモンを選びなさい」のところに戻る。
そして今度はヒトカゲのほかにフシギダネを選べるようになっている。
そしてプレイヤーは今後未来が分かる、つまりライバルはゼニガメを選んでくるのを知っている状態で好きなポケモンを選ぶことができる。(この事実はポケモンと違って変わりません)
まさに死ぬことによって道が切り開けるようなゲームなんです。
サスペンスホラーと恋愛シミュレーションが混じったアドベンチャー
シナリオに関して全く文句はありません。
誰が人狼(敵)なのか分からない中で進む推理小説のようなストーリー、極限まで追い詰められた人間たちの浮かび上がる本性、真相に近づきかけた瞬間にその前提を崩すようなトリック。推理小説、推理漫画が好きな人にはたまらないシナリオだと思っています。もちろん「人狼」という非現実的な設定ではあるため「殺害方法」などを紐解くことはありませんが、「誰が」「なぜ」「この人」を殺したのかというロジック的な部分は非常に歯ごたえのあるものに仕上がっています。
私は先が気になってやめられず、無料プレイでできる4時間は一気に遊んでしまいました。そんなタイプの作品です。
そしてもう一つこの作品の秀逸な部分は「死に戻り」を見事に利用した恋愛シミュレーション的な要素まで残している点です。
攻略対象というわけではありませんが、女の子はあくまで登場人物として複数人出てきます。
「リアル人狼ゲーム」という一歩間違えば死のシチュエーションでヒロインと生き残っていく、しかし普通の恋愛シミュレーションと違って、ヒロインが犯人(人狼)かもしれないという不安とも戦わなければならない。そしてネタバレになるので言えませんが「死に戻り」のシステムを見事に利用した恋の駆け引きが他にない面白みを生み出しています。これは無料部分じゃ楽しめないところなのでぜひ本編まで購入してほしいと思っています。
遊びやすいインターフェイス
さらに遊びやすいのが、シナリオチャートが非常にわかりやすい形でいつでもアクセスできるということ。そしてそのチャートのどこへでもすぐに飛べるということ。
「死に戻り」というシステム上、死ぬ前の状況に戻る必要が出てきます。その際に生きてくるのがこのいつでもどこでも行けるシナリオチャート。どこで自分が選択肢を間違えたのか考え、適切なところに戻る、この作品の肝になる仕組みを快適に楽しむことができます。
演出
自分はアドベンチャーゲームの3大要素を「キャラ」「シナリオ」「音楽」だと考えているのですが、この作品に関しては「音楽」を含めた演出が特に秀でていると感じました。
音楽がむちゃくちゃいいのか?と言われたらそうでもない。サントラがほしいというわけではない。ただ、不気味な雰囲気へ盛り立てる音楽の使い方が非常に上手だと感じています。他の演出も同じ。デザインも「この主人公がこんな怖い顔をするなんて」といったこともあります。突然画面が真っ赤になることもあります(グロテスクな表現はありません)。そしてバイブレーションを利用した恐怖へのあおり。本当にビクッときます。
この作品は全編フルで声優さんがセリフに声を入れていますし、音声ありで楽しむのをお勧めします。
ナビゲーターキャラの優秀さ
マスコットキャラ的存在。ひつじ。分からないとしっかりヒントをくれたりもします。主人公の「死に戻り」減少についても理解してくれているようですし。「ここで死んだのは仕方ないぜ」みたいに言ってくれて頼もしい存在です。
そして同時にいわゆるメタキャラ的存在。プレイヤーに話しかけてる感がたまらないです。「実況とかで配信していいのはここまでな!」みたいな発言をしてくれます。もちろん出現は主人公が死んでゲームオーバーになっている時だけですのでゲームへの没入感が削がれることはありません。
まとめ
・人狼ゲームが好き
・サスペンス、推理物が好き
・コンシューマーのアドベンチャーゲーム好きだけどスマホでは抵抗がある
そんな人に遊んでほしいと思っています。
個人的に無料で4時間近く大ボリューム遊べてそこそこ満足でき(物語が中途半端に終わって購入欲を過剰に促進させることがない)、気に入ればたったの1000円でかなりたっぷり遊べる。この仕組みが素晴らしいと思っています。
なによりこのレビューを読んでくださった方にとりあえず無料の部分だけでもいいから遊んでみてって言えるのが良い。
スマホゲームを異常に毛嫌いしている人って多いですけど、この作品はスマホでも魅力的ですし、何より無料で4時間遊べて気に入れば少額(青天井の課金形式ではない)で続きを遊べるというスマホならではの特製を生かしているのが素晴らしいと思っています。
普段「スマホのゲームなんてコンシューマーに比べたら…」なんて思っている人にはぜひ遊んでいただきたい作品ですね。
スマホゲームの新しい可能性に乾杯です。