虐待を受けた子どもの一時保護を適切に判断するため裁判所(司法)の関与を強める検討が進むなか、関与する対象をどう限定するかが課題になってきた。厚生労働省は14日、児童相談所(児相)へのアンケート結果を提示。親の同意がない場合に限るべきだという意見が多く、有識者検討会で具体策を検討していく。
厚労省は7月に検討会を立ち上げ、親子を引き離す一時保護の必要性を裁判所が判断し、児相は親子への支援に集中する仕組みを導入する検討を進めている。
14日の検討会では、9月以降に全国209カ所の児相を対象にしたアンケート結果を報告。7日までに181カ所(87%)から回答があり、司法が関与する対象は「親の同意がない場合に限るべき」だとした児相が165カ所と91%にのぼった。親の同意がある場合は親との摩擦が起きにくく、司法が関与する必要性は低いとみているようだ。
4~7月に一時保護が終了した約8千件を調べたところ、1週間たっても親が同意しないケースは608件だった。司法関与を強めれば児相の負担が増えるとされてきたが、検討会の委員に加わっている福岡市の児相所長は「期間を区切り、親の同意がないケースに限れば児相の事務負担は大きくは増えない」と主張。別の委員は「同意を撤回した場合はどうするのか」と指摘した。
児童福祉法は一時保護の期間を原則2カ月までとしているが、今回の調査では2カ月を超えた事例が1047件にのぼったことが判明。2年以上のケースも2件あった。委員の一人は、親の同意が取れなかったために一時保護が長期化し、「この先どうなるのか」と不安に感じた子どもの声を紹介し、「司法関与の仕組みによって救える子どもがいる。負担増を理由にできないとするのではなく、時間とお金をかけても方向性を出すべきだ」と訴えた。
一方、司法が関与する仕組みそのものについて「必要」としたのは60カ所(33%)。「必要でない」は72カ所(40%)と割れた。
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