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米大統領選でドナルド・トランプ氏は苦境に立っている。10月1日に暴露された「国の所得税の長期間未払い」という疑惑、7日に表ざたになった「女性蔑視発言」のビデオテープ、さらに12日の「ニューヨーク・タイムズ」による女性の胸などを触ったという疑惑によって、大統領候補としてはほぼ「死に体」となっているのは間違いない。それでも人気があるのはなぜだろうか。【米在住ジャーナリスト・冷泉彰彦】
◇徹底的に「白人ブルーカラー層」に寄り添う
そのトランプ氏は、とりあえず10月9日の「大統領選第2回テレビ討論」は乗り切っている。共和党内のポール・ライアン下院議長や、ジョン・マケイン上院議員などから「支持取り下げ」という通告を受けているのは事実だ。だが、それでも選挙運動を続行する姿勢には変わりはないし、今でも熱狂的な支持者に支えられている。
では、この「トランプ現象」を支えているのは一体何なのだろうか?
一つは、徹底的に「白人ブルーカラー層」に寄り添うという姿勢だ。現在のアメリカでは、最も人気のある芸能人がビヨンセであったり、オバマとミシェルという黒人のカップルがホワイトハウスの主人であったりするなど、多様性が「主流」の社会となっている。ということは、反対に白人は下手をすると「傍流」になるわけで、そこに屈辱感を抱えた層というのは確実に存在する。
さらに言えば、金融とITなどの知的労働が尊敬され、高収入に結びつく現代アメリカでは、「知的でない」ということは経済的成功からも名誉からも見放された存在ということになる。そうした「屈折した層」の心理を、徹底的に引き寄せることに成功した、そのことがトランプ人気の核にある。
二つ目は、さらに広範にアメリカ社会に存在する「現状不満」だ。強いはずのアメリカが、通商では中国に押される、過激派組織「イスラム国」(IS)のようなテロリストの挑発を抑え込めない、ふと気がつくと自分も周囲にも雇用への不安、将来への不安感が満ちている、そんなアメリカ社会の鬱屈をブラックホールのように吸収しているということも大きい。
◇政策が正しいかどうかより、分かりやすさ
三つ目は、とにかく「発言が分かりやすく、ブレない」ということだ。例えば、イスラム教徒は入国禁止にするとか、メキシコとの国境に不法移民が流入しないように壁を造るといった政策は、実際問題として正しくないし、実行も不可能だ。だが、分かりやすいと言えば、これ以上分かりやすい「政策」はない。
その分かりやすい主張を、いつまでも「ブレずに語る」というのは、その支持者にとっては「頼りになる」のである。つまり、政策として有効かどうかといった問題は関係なく、その主張を「支持する人間は味方」であり「批判する者は敵」という単純な二分法で政治を動かそうとしているのだ。これは一種のファシズムの手法だが、成功していると言わざるを得ない。
四つ目は、芸能ショーのような演出だ。妻、娘、息子の妻たちなど長身でブロンドの女性たちを並べてみたり、家族ぐるみでキャラクターを売り込んだりする手法は、反対派にとっては「不気味」なだけだが、支持者にとっては自分もファミリーになったような感覚があるという。家族の結束ということでは、まるで映画の「ゴッドファーザー」のようだという批評もある。そうした家族を含めたキャラクターを売り込んだ後は、ショーアップした演説会に支持者を集め「暴言と放言」という「エンターテインメント」を売り込むのである。
◇芸能ショーのような政治集会
トランプ氏が演説会で言う口癖には「楽しんでいるかい?」というセリフがある。政治集会を芸能ショーと勘違いしているかのような発言だが、実際にやっているのは芸能ショーに限りなく近い内容だと言えるだろう。
今回のスキャンダルを契機に、大統領選の勝敗ということでは大きく後退したトランプ氏だが、政治家としてまったく経験のない人物が、「社会現象」を起こした結果として主要政党の代表候補になったというのは、確かに歴史に残るだろう。だが、同時に徹底して批判がされなくてはならないと考える。
TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画
クラスター爆弾の破壊的な負の遺産
戦争による破壊は、戦闘が終わりを迎えてもやむことはありません。2006年にあった34日間に及ぶイスラエルとヒズボラの交戦では、レバノンに400万ものクラスター子爆弾が落とされ、人々が無差別に殺されました。写真家であり、TEDフェローであるローラ・ブシュナクが、クラスター爆弾の被害を生き延びた人々を捉えた、忘れがたい写真を紹介し、こうした武器を生産し、使用を黙認しているアメリカのような国々に、これらの武器を放棄するよう呼びかけます。
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