蹴球探訪
奇跡の初優勝見えた レスター・岡崎が激白「試合後はいつも悔しい」(4月27日)
【首都スポ】ラグビー 埼玉ラ組女子が国体初代女王 中村らリオ組躍動2016年10月15日 紙面から オリンピアンの誇りを胸に、国体初代女王をつかんだ! 第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」は11日に終了したが、初採用された女子ラグビーは20年東京五輪に向け、7人制で実施され、埼玉県が決勝で大阪府を破り、初代女王の座に就いた。優勝の原動力になったのはリオ五輪で世界と戦った3人の代表選手、中村知春(28)、竹内亜弥(30)、桑井亜乃(26)=いずれもアルカス熊谷=だった!!
◆中村知春 世界レベルのプレイを体現リオ五輪女子日本代表主将の中村は言った。 「『勝つだろう』と言われていた中で、しっかり勝てた。プレッシャーも楽しめました」 国体で初めて採用された女子ラグビーで、中村所属の埼玉県チームは初日の予選を3戦全勝で危なげなく突破すると、2日目の決勝トーナメントでも愛媛県を44−0、福岡県を29−10と連破。決勝では大阪府に26−0で完勝し、初代女王の座を手に入れた。 中村ら五輪トリオを並べての優勝と聞けば順当に見えるが、日程は厳しかった。五輪から帰国した翌々週には国体関東予選があり、その翌週からはアジアセブンズシリーズの香港大会、韓国大会と続き、そして国体−。休む間もないままの連戦だったが、中村は「かえって良かったかも。(五輪の結果で)それなりに落ち込んだけど、ラグビーをやっていると楽しいし、幸せですから」とあっけらかんと笑った。 実際、リオ組のパフォーマンスは別格だった。決勝では中村が2トライ。桑井も1トライを挙げ、竹内は相手キックに反応して自陣ゴール前まで戻るなど質の高いプレーを続けた。MVPに選ばれた中村は「五輪を経験してきた私たちには世界レベルを体現する責任がある」と言った。 中村は電通東日本を14年から休職し、サクラセブンズを主将として引っ張ってきた。リオ後については白紙としていたが「やればやるほどラグビーが面白くなって、まだ辞める気になれない。生きていることを実感するし、ここで辞めたらリオで負けた意味がなくなる」で、休職は延長してもらったという。 「20年東京まではまだ考えられないけど、ちょうど真ん中の18年にはW杯セブンズがある。1年1年やっていくだけです」。たくましきラ組女子の挑戦はまだ続く。 <中村知春(なかむら・ちはる)> 1988(昭和63)年4月25日、神奈川県生まれの28歳。162センチ、64キロ。SH、SO。法大4年でバスケットボールからラグビーに転向。2012年からサクラセブンズ主将を務める。電通東日本に勤務も、15年に休職。
◆竹内亜弥 新潮社を退社! 楕円球専念竹内は笑みを浮かながらこう言った。 「オリンピックのプレッシャーがなくなったら、改めてラグビーが好きになっている自分に気付きました」 リオ五輪では京大卒初の女性オリンピアンとして注目され、14年から休職していた勤務先の新潮社には五輪後に復職するつもりだった。だが…。 「仕事に戻ったらもう第一線のラグビーはできない。でも自分はもっとラグビーをうまくなりたい。ラグビーに関わっていたい」 竹内は10月末で新潮社を退社することにした。とはいえ、リオ五輪にはバックアップからの参加だった。若手の追い上げもあり、4年後に向け、代表の座は保証されていない。 「それは気にしません。今は来年の15人制W杯が目標ですが、その先は女子ラグビーの環境整備や人材育成に携わりたい。20年の東京で自分がプレーすることより、21年に女子ラグビーがどうなるのかを見たい」 次の仕事は現在調整中。サクラセブンズを支える頑健なる高学歴ラ組女子は、楕円(だえん)球とともに生きていく。 <竹内亜弥(たけうち・あや)> 1986(昭和61)年8月5日、岐阜市生まれの30歳。167センチ、68キロ。プロップ。愛知県江南市の滝中学・高校、京大(文学部)を通じてバレーボール部。新潮社入社後にラグビーを始め、2013年に日本代表選出。
◆桑井亜乃 さらなるパワーアップ誓う桑井は「優勝しないと、国体に出る意味はないと思っていたので、勝ててうれしい」と満面の笑み。「陸上競技では、国体はすごく大きな目標だった。今回は国体で初めての女子ラグビーだし、オリンピアンとして、世界レベルのプレーを見せる責任があると思いました」 リオ五輪は10位。目標の金メダルは遠かったが「リオが終わったときには東京を目指す気持ちになっていた。自分自身、ラグビーがどんどん好きになっているし、世界に通用するパワーをつけたい」と目を輝かせた。サクラセブンズのパワーリーダーは20年東京へ、さらなるスケールアップを目指す。 <桑井亜乃(くわい・あの)> 1989(平成元)年10月20日、北海道幕別町生まれの26歳。172センチ、70キロ。プロップ。中京大までは陸上競技の円盤投げ選手。大卒後にラグビーに転向、2013年に日本代表入り。アルカス熊谷。15年、熊谷市の百貨店「八木橋」に就職。 ◆15日からアジア次はアジア女王へ…。リオ五輪&国体を連戦した3人は15日からスリランカで開催されるアジアセブンズシリーズ第3戦・スリランカ大会に出場する。 今回は正式な日本代表(サクラセブンズ)ではなく日本選抜としての出場だが、谷口令子、山中美緒(ともにアルカス熊谷)のリオ組、20年東京のホープ清水麻有、堤ほの花(ともに日体大1年)らが並び、実質的には日本代表と変わらない布陣。20年に向け、まずはアジア王座取りに挑む。
◆「I LOVE 釜石」の思い初めての国体ではたくさんの喜びも見つけた。国体7人制ラグビーの会場は被災地・釜石。中村ら埼玉チームの面々は、表彰式に「I LOVE 釜石」のロゴ入りTシャツを着て登場した。 「被災地ではまだまだ大変なことが多いのに、国体をしっかり運営していただいたことへの感謝を込めました。被災地の様子を見て、ラグビーができる幸せも改めて感じたし、去年、ラグビー教室で来たときに教えた子が、今回は岩手の代表になっていたりして、うれしかった」(中村)。 普段の国内大会はアルカス熊谷の単独チームで参加するが、今回は朝霞市が拠点の自衛隊チーム「ユナイテッド・シールズ」との合同チーム。「自衛隊の行進もトレーニングに入れたりして、新鮮でした」(同)。新たな楽しさも発見したようだ。 ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」。トーチュウ紙面で連日展開中。 PR情報
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