広島・黒田は５イニング３失点ＫＯ　日本シリーズ進出持ち越しで無念

　敗戦を、広島・黒田は背負い込んだ。ＤｅＮＡファンの歓喜の歌声が響くベンチ裏で、ゆっくり言葉をつむぐ。「結果的にこうなったので自分の責任。結果がすべて…」。５イニング８９球を投げ７安打３失点。王手をかけて迎えた自身初のＣＳ登板は、悔しさだけが残る一戦に終わった。

　失点はいずれも２死からだった。０−０の４回は、倉本に中前打を浴びた２死一塁からエリアンに右越え２ランを被弾。「安易に行き過ぎた」。ストライクを狙った１４１キロの内角ツーシームをうまく捉えられた。

　５回は２死三塁で筒香と対峙（たいじ）。緒方監督は「勝負に行けと伝えた」と明かしたが、バッテリーは勝負を避けて敬遠気味の四球を選択。しかし、結果的に裏目に出た。左手の薬指を骨折して満身創痍（そうい）の梶谷に右前適時打を浴び３点目を失った。

　１０日の練習日には、キャッチボールの最中に右肩付近を気にするそぶりを見せ、翌１１日の練習後にはトレーナーを車に乗せて球場を後に。それでも右腕は「いつもと変わらない」と登板回避することなく、全身全霊で登板に踏み切った。

　「１つ負けたくらいで、みんなの気持ちは変わらない」。後輩たちに夢の続きを託す。自らは日本シリーズでの登板を見据えて調整を始める。　（市尻達拡）