【巨人】鈴木尚広の母・とし子さん手記…「けがのデパート」ここまで出来ると思わなかった

2016年10月14日15時0分  スポーツ報知
  • 5月18日、福島あづま球場での試合前に両親(右から父・静雄さん、母・とし子さん)と記念撮影

 巨人・鈴木尚広外野手(38)が13日、都内のホテルで会見し、現役引退を表明した。鈴木の両親は、福島・相馬市内で焼き肉店「すずや精肉店」を経営。自宅兼店舗で無休で働き、鈴木が最も尊敬している存在だ。今回の引退を受け、母・とし子さん(62)がスポーツ報知に手記を寄稿。野球人生を振り返りながら、周囲への感謝の思いをつづった。

 10月10日。東京Dでデーゲームが終わった後、電話で「やめるから」と報告を受けました。その後、23時半頃に車で福島の実家に来てくれて、家族で話をしました。寂しい気持ちもありましたが、本人が笑顔で「悔いはないから」と話しているのを見て安心しました。ここまで息子を支えてくださった方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。

 小さい頃はやんちゃで、落ち着きがなく、手のかかる息子でした。よく父(静雄さん=65)に怒られ、往復ビンタ3、40発なんて当たり前でした。ただ、周りに流されない部分は彼のいいところです。高校の時は友だちが遊んでいても勉強をしていたり、自分を貫ける強さはありました。

 20年前の1月14日。ジャイアンツ寮で見送った後、涙を流しながら電車で福島に帰りました。家を出たこともなかった田舎の息子でしたから。最初の5、6年は「けがのデパート」と言われるほど故障との闘い。当時は主人と2人で手紙を寮によく送っていました。主人が「辛抱した木にいつか必ず花が咲く」、「怠けず裏表なくやりなさい。誰かが必ず見ているから」と書いた紙を、尚広は部屋に貼っていたみたいです。

 そんな息子がここまで野球をできるとは思ってもいませんでした。20年もプロの世界に置いていただき、感謝しかありません。野球ばかりやってきて「井の中のかわず大海を知らず」ですから、今後は大きな懐を持って生きてほしいです。目線は高く、頭は低く。見聞を広げ、人のいいところをたくさん見いだし、人を育てられる人間になってほしいと願っています。

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