福永は、足繁く本社から東京撮影所(練馬)近くの動画スタジオに通い、もくもくと仕事に打ち込む高畑たちの姿を見ていた。だからこそ、アニメーターの汗の結晶であった、撮影済みのセル画をプロモーション用にもらい受け、デパートやスーパーでの展示や配布に活用した。
「今、あのセル画があれば相当なお宝でしょうね。ただ、公開後、労使紛争が原因で2人が退職したのは本当に残念だった」
翌年3月に公開された「長靴をはいた猫」は、シャルル・ペローの名作童話を井上ひさしらの脚本でアニメ化。
声優には人気グループ、パラダイス・キングの石川進、「おはよう子供ショー」(日本テレビ系)でロバくんを演じていた愛川欽也、俳優の小池朝雄ら異色の顔ぶれが起用された。このアニメは福永にとって“特別な作品”となった。
「実は、私が新婚旅行から戻った日の深夜にアフレコが行われた。私が陣中見舞いに顔を出すと皆で祝ってくれて、それがきっかけでプロモーションでも、とても協力してもらえた」
興行的にも成功し、主人公ペロのキャラクターは人気者となり、後年、東映動画のシンボルマークとなった。
■福永邦昭(ふくなが・くにあき) 1940年3月17日、東京都生まれ、76歳。63(昭和38)年、東映に入社。洋画宣伝室や宣伝プロデューサー、宣伝部長、東映ビデオ取締役を経て、2002年で定年退職。一昨年、「日本元気シニア総研」に参加し、研究委員、シニアビジネスアドバイザーの資格を取得。