公開4カ月前の5月にはカンヌ国際映画祭のコンペ部門に正式出品された。「私はTBSで1時間の特番を企画。パリでクルーを編成し、同局の映画解説者の荻昌弘さんをナビゲーターにドキュメントをつくった」
今村監督はカンヌ滞在中、世界中のメディアから取材を受け、和やかムード。ところが最終日前日、雲行きが怪しくなった。正式上映後、各メディアが一斉に酷評しだしたのだ。「結局、何ももらえなかった。当然、特番は大幅に内容変更。撮り直し分を含め予算はオーバーし、上司と大ゲンカになった」
公開直前にもこんなことも。大阪・読売テレビ「11PM」の生出演に緒形が姿を見せなかったのだ。「緒形は体調が悪くドタキャン。結局、30分の特集は、司会の藤本義一が村岡伊平治の小説を書いていたこともあり、何とか持たせたが、終了後、プロデューサーから大目玉を食らった」
懸念された通り、興行は大惨敗に終わった。
■福永邦昭(ふくなが・くにあき) 1940年3月17日、東京都生まれ、76歳。63(昭和38)年、東映に入社。洋画宣伝室や宣伝プロデューサー、宣伝部長、東映ビデオ取締役を経て、2002年で定年退職。一昨年、「日本元気シニア総研」に参加し、研究委員、シニアビジネスアドバイザーの資格を取得。