斬新でインパクトのあるポスターにしたいと、福永はすぐに次の手を打った。五社の親しい著名な彫物師を紹介してもらったのだ。
全身入れ墨の男性の巨大パネルの前に、和洋の高級ブランド衣装を身に付けた岩下、かたせ梨乃、佳那晃子、自身も極妻役で出演の家田らが勢ぞろい。艶やかなポスターが完成した。
こんな撮影エピソードも。岩下が毎朝、東映京都撮影所に車で到着するたび、スタッフがドアを開け、足元に草履をそろえた。まさに“志麻姐さん、お待ちしておりました”と言わんばかり。岩下の控え室にはタバコが用意され、“まず一服どうぞ”とライターの火が付けられた。「撮影中は毎日、姐さん気分。極道の世界にハマッてしまったわ」と岩下は取材にそう答えていたほどだ。
映画は大ヒットし、16作を数えるドル箱シリーズとなった。
「岩下さんが演じた関西弁のセリフ回しやタバコの吸い方、外股歩きなど極道独特の所作は五社演出の賜物だが、数々のヤクザ映画を作ってきた京都撮影所のスタッフの力も大きかった」 (敬称略)