海底地形「保護すべき」 検討会議で専門家一致
【与那国】島の南側海域にある海底地形の文化財指定を目指し、学術的な価値付けを行う町の海底地形調査事業の第1回検討会議が14日午前、町構造改造センターで開かれた。地形学や水中考古学の専門家ら7人が話し合った結果、人工的に造られたものか自然にできたものかに関係なく、保護すべき地形という認識で一致した。町教育委員会は年内をめどに2回目の検討会議を開き、具体的な調査内容や今後の展開などについて協議する予定だ。
検討会議には琉球大学名誉教授の木村政昭氏、県立博物館主任学芸員の片桐千亜紀氏、九州大学大学院地球社会統合科学府教授の菅浩伸氏、琉球大学教育学部准教授の尾方隆幸氏、海底地形第一発見者の真謝喜八郎氏、与那国町文化財保護審議会委員長の米城惠氏、崎原用能教育長ら7人が出席。
木村氏は、2004年にユネスコの関係者から届いた「ユネスコ2001条約で採択された『水中文化遺産』の定義にあてはまると推測される」とのメールを紹介。「素晴らしい景観でなかなかないもの。人工物か自然かは別にしても保護すべき地形だ」と述べ、出席者も賛同した。
片桐氏は「私たちが実際に潜ったり、歩いて見たりして今後どのような調査ができるのか、保護のために何ができるのかを考えていかなければならない」と指摘。
尾方氏は地球科学的な価値を持つ遺産の保全を目的とした「ジオパーク」に触れ、「他地域から学びながら、与那国にそのノウハウを持ち込めれば」と提案した。
町教委教育課の村松稔主査は文化庁の天然記念物緊急調査事業を紹介。出席者からは「島や八重山全体といったスケールで考えた方がいい気がする。活用した方がいい」などの意見があった。
午後からの潜水調査に参加した菅氏は「非常に特徴的な地形。将来的には北側も見て、島の海底全体を見渡した上で考えていく必要がある」と語った。
半潜水艇で海底地形ポイントなどを回る観光ツアーを行っている真謝氏は「外国の研究者はサンプルのために石を割って持っていく」と述べ、保護の必要性を訴えた。
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