韓国海洋警察は韓国側海域で違法操業する中国漁船への制裁を強めている。2012念には韓国側海域で違法操業中に拿捕(だほ)され、裁判所に押収された船舶や貨物の返還を受ける場合、外国の船主が負担する担保金を最高1億ウォン(約930万円)から2億ウォンに引き上げた。海洋警察は10日、担保金の額を3億ウォンにまで引き上げることを検討中だと明らかにした。
違法操業を行う中国漁船の船主らは、海洋警察による取り締まりに備え、あらかじめ資金を確保しているという。担保金を支払うための一種の「損害保険」と言えるものだ。しかし、中国政府は昨年から違法漁船根絶に向け、そうした私的な互助会を組織した漁船の取り締まりに乗り出した。
このため、違法操業船は担保金の確保が難しくなった。韓国国民安全処によると、今年1-8月に韓国側が検挙した中国漁船133隻のうち46隻(34.6%)が担保金を支払わなかった。担保金総額97億ウォンの半分以上の50億ウォン(51.5%)が未納となっている。
海洋警察は3月から担保金を納付しない中国漁船を裁判終結まで抑留し、廃船処理する内容の規制強化を行った。それまでは船長など責任者のみ拘束し、単純な違法操業に関与した一般の乗組員は国外退去を命じられるにとどまっていた。船舶も公務執行妨害、領海侵犯など悪質な場合を除き、中国側に返還していた。中国側船主はそれを悪用し、担保金を支払わず、船長の身柄拘束だけで船舶を後日回収し、違法操業を再開していた。
担保金の規定が厳格化されたことで、違法操業の中国漁船は船を押収されないように手段を選ばずに取り締まりに抵抗したり逃走したりする戦略を取っている。
海洋警察関係者は「中国漁船は工場の廃水で汚染された中国沿岸で魚がいなくなったため、命懸けで韓国側水域に越境し、違法操業を行っている。100万隻と推定される中国漁船によるさらに増えるのではないかと心配だ」と語った。
押収された違法操業漁船を廃船にする費用も海洋警察が負担しなければならない。100トン級の漁船には3800万ウォンの費用がかかるという。現在海洋警察が押収した中国漁船は30隻以上に上る。