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【野口裕之の軍事情勢】
反習近平派の拠点、中国人民解放軍「瀋陽軍区」が北と通じてクーデターを計画している!
核開発物資を密輸した中国人女性の後ろ盾とは?
北朝鮮が5回目の「核実験」を行った9月以降、実験もさることながら、中朝国境の川・鴨緑江の向こう側の動きが気になる。中国の公安当局は、遼寧省を拠点にする女性実業家を逮捕した。高濃度ウランを生み出す遠心分離機用の金属・酸化アルミニウムなど核開発関連物資や、戦車用バッテリーなど大量の通常兵器の関連部品を北朝鮮に密かに売りつけていたという。密輸物資には、戦略物資の重油も含まれていた。女性実業家は模範的共産党員だった。
鴨緑江の向こう側には人民解放軍の中で最も精強で、機動力にも優れる《北部戦区(旧・瀋陽軍区)》が陣取る。女性実業家逮捕の報に接し、真っ先に浮かんだのは、遼寧省も管轄下に置く北部戦区であった。女性実業家が一党独裁国家の厳しい監視網を逃れたのは、北部戦区の後ろ盾があったからこそではないのか。
朝鮮戦争(1950~53年休戦)の戦端が再び開かれる事態に備え、かつ、かつて戈(ほこ)を交えた旧ソ連(現ロシア)とも国境を接する領域を担任している旧瀋陽軍区に、軍事費が優遇され、最新兵器が集積されているのは軍事的合理性にかなう。大東亜戦争(1941~45年)以前に大日本帝國陸軍がこの地に関東軍を配置したのも、軍事的要衝ゆえだ。
しかし、人民解放軍全体を俯瞰すると、合理的な体制とは言い難い。確かに、全軍統率機関=中央軍事委員会主席を兼任する習国家主席は、共産党による「シビリアン・コントロール(文民統制)」や軍中央の統制力を強化するべく、軍制改革を大胆に進めてきた。
改革前、軍の最大単位は7個の《軍区》であった。これを5個の《戦区》に再編したが、再編前と後の主な変化は次の2つ。
《かつて軍区が有していた軍区内の兵員・装備に関する整備といった軍政は、中央軍事委員会に新設された『国防動員部』へと移譲。戦区は作戦立案と、作戦に沿った訓練・演習に特化された》
《戦区内に所在する陸海空軍やロケット軍の各軍種、民兵や予備役などを、戦時でなくとも統合運用できることとなった》
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