2012年10月、自殺を考えていた。
当時付き合っていた彼女と別れ、抜け殻状態だった。
一心に尽くしてくれた彼女を完全に裏切る形で終了した交際だった。
自分がしてしまった行為の重さと、
取り返せない時間の大切さに気付き、罪悪感に押しつぶされた。
死にたくなった。
でも、罪悪感で人は死ねない。
あまりに辛く、人生で初めて自殺を考えた時期だった。
そんなゾンビ状態で1ヶ月を過ごした2012年11月、
友人からぴあ40周年記念の音楽フェスに誘われた。
場所は幕張メッセ。
出演者はマキシマム・ザ・ホルモン、岡村靖幸、ももいろクローバーZ、星野源 etc...
いま見返すと大好きなアーティストだらけの豪華フェスだが、
当時のおれは「ホルモンだけ見れりゃいいや…」ぐらいの気持ちで会場入り。
ゴリゴリのアイドルアンチだったおれは、"ももクロは見ない”と構えていたが、
友人の「一曲だけ聞きたい」という一言で、しぶしぶステージエリアへ。
9000人収容できる幕張メッセのホールが一面サイリウムで埋まっていた。
引用URL:http://p.twpl.jp/show/large/gD4eX
「うわぁアイドルオタクきも…」
サイリウムとオタクの熱気で埋められた空間は、当時のおれには嘲笑の対象だった。
しかし、
たった1時間。
たった9曲で。
鳥肌と涙が止まらなくなった。
引用URL:https://iwiz-chie.c.yimg.jp/
Tシャツとジャージの、変なコスチューム。
うまいとは言えない歌唱力。
ノリについていけないメンバーごとの自己紹介。
でも、5人の女の子のパフォーマンスになぜか心臓が熱くなった。
何をしていても死にたかった1ヶ月間。
やっと夢中になれるものが見つかった瞬間だった。
知ってる?ももクロがどれだけすごかったか。
引用URL:http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-83-13/
当時のももクロは上昇気流に乗りまくっていた。
ライブをするたびに観客動員数は倍になり、サマソニや紅白にも出場。
やることすべてがうまく行っていた。
「この子たちはすごいぞ!!」と世間から認知され始め、ノリにノッていた。
おれは「フラレて頭がおかしくなった」と周りから心配されるくらい、ももクロに夢中になった。
ライブBlu-rayはもちろん、特集を組まれた雑誌や書籍も全て購入。
秋葉原やヤフオクでグッズを買いあさり、テレビとラジオの過去回チェックからUstreamでの突然の生放送まで、おれの活動時間のすべてはももクロで埋められた。
そうしてしまうエネルギーが、2011年から2014年のももクロには確かに存在した。
前書きが長くなってしまったけど、いよいよ本題。
おれが大好きだった頃のももクロがいかに凄まじかったかを語っていく。
メンバー構成とか略歴とかは省略。
5人組のアイドルってことだけ覚えてくれればいいです。
2011年のももクロ
極楽門からこんにちは(2011年8月25日 観客:約6000人)
引用URL:http://www.hipjpn.co.jp/wp-content/themes/hip/images/livereport/20110820official_IMG_1078.jpg
この頃のももクロは、歌唱力は乏しく、パフォーマンスも余裕がない。
まだまだ、アイドルとしての地位を築いてない時代。
たった1日で2時間×3回、6時間65曲をぶっ通しでライブしたり
機材トラブルで伴奏が止まっても曲を歌い続けたりして有名になったのもこの頃。
まったく余裕がない。だからこそ全力。
汗で髪の毛が顔に引っ付こうと、腕が飛んでいきそうなくらい全力なダンスを踊り、
声が裏返っても、音を外してもとにかく全力で歌う。
この頃のももクロは ”戦っていた"。
目の前のライブと、観客と。そしてAKB48が全盛のアイドル戦国時代と。
この頃はメンバー全員、目が少年漫画の主人公のようにギラついている。
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/zBqwf7Jo6RM/maxresdefault.jpg
「もっと広い会場、もっと多くのお客さんへ」
その一心で一気に躍進していく。
ももいろクリスマス 2011さいたまスーパーアリーナ大会(2011年12月25日 観客:約10000人)
極楽門から4ヶ月後、
2011年のクリスマス。さいたまスーパーアリーナでの初ライブ。
引用URL:http://cdn2.natalie.mu/media/1112/1226/mcz/extra/news_large_momocloZ_1225_03.JPG
ももクロ史上最高と言われるオープニングでこのライブは始まる。
騙されたと思って見て欲しい。すごいから。
「よく死人が出なかったな…」と思うほどの興奮と熱気はいつ見ても鳥肌が立つ。
今まで経験したことがない、10,000人という観客の数にメンバーは顔が引きつり、不安で涙を流している。
それもそのはず。
このオープニングのパフォーマンスはリハーサルの時間が取れず、なんとぶっつけ本番状態。
しかし、ももクロはその不安と恐怖を乗り越え、ライブ中にメキメキ成長し、過去最高のパフォーマンスを披露した。
引用URL:http://livedoor.blogimg.jp/tkj_smart/imgs/e/2/e2dca860.jpg
2012年のももクロ
ももクロ春の一大事2012 ~横浜アリーナ まさかの2Days~
ももクロの2012年は春、横浜アリーナ2Daysで幕を開ける。
2011年のクリスマスから4ヶ月。早くも次の試練に立ち向かうももクロ。
引用URL:http://www.music-lounge.jp/v2/common/im/uf/news/201204/23/momoclo_live02.jpg
2Dayのうち、特筆すべきは2日目。
円形ステージが横浜アリーナ中央に設置され、360度を客席に囲まれたライブ。
ふだんなら客席から見えない方向に顔を向けた時間はわずかに休憩できるが、そうもいかない。
まさに観客との"真剣勝負"であり、セットリストも"攻める曲"ばかりで組まれた。
一瞬も気が抜けない地獄のようなライブを経て,ももクロはまた大きくなっていく。
引用URL:http://natalie.mu/music/gallery/show/news_id/68246/image_id/123583
その後は37,000人の観客を動員した西武ドームでの初ライブや、
引用URL:https://img.barks.jp/image/review/1000082074/news_photo1.jpg
日本武道館での男性限定ライブと女性限定ライブ、
引用URL:http://contents.oricon.co.jp/upimg/news/20121106/2018454_201211060794483001352167611c.jpg
さいたまスーパーアリーナでの2度目のクリスマスライブを次々と成功させる。
引用URL:https://pimg.togetter.com/5a0c27117f
2012年のももクロには、
「アイドル界でなにか大変なことが起きている」と思わせるエネルギーと勢いがあった。
ももクロはどこまで行ってしまうのだと、常にワクワクさせてくれた。
一瞬も目が離せなかった。
2012年、紅白歌合戦初出場
2012年は大躍進が認められ、いよいよ夢の紅白歌合戦へ初出場。
引用URL:http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/l/lkv/20160123/20160123051153.jpg
ももクロを卒業した元メンバー、早見あかりへ向けた演出が感動と話題を呼び、
ももクロは一般層にも注目されることになる。
引用URL:http://livedoor.blogimg.jp/harablack-geinousokuhou/imgs/7/2/72981e36.jpg
2013年のももクロ
そして、人気がピークに達した状態で迎えた2013年。
リーダーの百田夏菜子は元旦、次の目標を"国立競技場でのライブ"と宣言。
そんな最高の状態で、ももクロはニューアルバム「5TH DIMENSION」をリリースする。
が、しかし…。
ニューアルバムのキービジュアルを見て目を疑った。
引用URL:https://pimg.togetter.com/26a4f6ada60d006daf04
なんじゃこの気持ち悪いマスクは…。
ももクロ陣営はそれまでのアイドル路線から、アーティスト路線への急激な方向転換を図った。
ファンの賛否両論は凄まじかった。
代表曲”行くぜっ!怪盗少女”や”ココ☆ナツ”を作曲したヒャダインこと前山田健一も、
Twitterで苦言を呈し、ももクロの作曲陣から更迭された。
引用URL:http://livedoor.blogimg.jp/harablack-geinousokuhou/imgs/c/a/caf30759.jpg
突然のヒャダイン更迭や、衣装のパクリ疑惑騒動もあり、
2013年のももクロのスタートはドタバタしていた。
この後も、
仏教の世界観を歌ったシングル、「GOUNN」をリリースし、
ももクロの音楽性は2013年、大きなターニングポイントを迎える。
しかし、この方向転換のおかげで楽曲の幅は広がり、結果的にももクロは多くのファンを獲得した。
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White Hot Blizzard ももいろクリスマス2013 美しき極寒の世界(2013年 12月23日)
そして、2013年冬。
さいたまスーパーアリーナから西武ドームへと移動した恒例のクリスマスライブ。
この日、ももクロは"国立競技場ライブ、2Days開催”をサプライズで知らされることになる。
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突然の発表に言葉が出ないメンバー。
引用URL:http://natalie.mu/music/gallery/show/news_id/106340/image_id/243450
ももクロが"紅白の向こう側”に掲げた夢が、また現実になろうとしていた。
2014年のももクロ
2014年3月15日・16日 ももクロ、国立競技場ライブ開催
引用URL:http://cdn2.natalie.mu/media/1409/0909/MCZ/extra/news_header_MCZ_kokuritsu_syokai_BDDVD.jpg
2014年3月、ももクロは女性グループ初の国立競技場ライブに臨んだ。
東京オリンピックに向け、国立競技場が改修工事に入る直前。
もう見ることのできない”国立"での特別なライブだった。
引用URL:http://livedoor.blogimg.jp/momoclomatomechannel/imgs/f/2/f27dd3a6.jpg
数年前、路上で10人前後の観客を前にパフォーマンスをしていた少女たちは、
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/S0AkgoIoCZc/hqdefault.jpg
2日間で合計110,000人を動員する国立競技場でライブを開催するまでに成長し、これを成功させた。
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2日間のラスト、終演直前。
煌々と燃える聖火の前で、リーダー百田夏菜子は語った
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ももいろクローバーZとは、みんなに幸せを運びたいという意味を込めてつけられた名前です。
路上ライブのときから、今までずっと「みんなに幸せを届けたーい!」と思って、いつもこうやって、いろいろ変なこととか、やってきました。
引用URL:http://dorothy-idolcuration.com/wp-content/uploads/2014/10/7f3a9d973edc8d6e1212950d5e7d3b0e.png
私たちは、天下を取りに来ました。
でもそれは、アイドル界の天下でもなく、芸能界の天下でもありません。
みんなに笑顔を届けるという部分で、天下を取りたい。そう思います。
これからもずっとずっと、みんなに嫌なことがあっても、私たちを観て、ずっと笑っててほしいです。
引用URL:http://natalie.mu/music/news/112182
アイドル戦国時代に、”逆境こそがチャンスだぜ”と歌いどんなピンチも乗り越えてきたももクロ。
その全ては、ももクロを見てくれる人みんなに笑顔を届けるため。
台本も何もない、リーダーの心から漏れ出した言葉に、
ももクロの"これまで"と"これから"が集約されていた。
そして、おれのももクロのピークはこの瞬間だった。
おれがももクロに飽きた理由
この後、ももクロは”笑顔の天下を取る”というリーダーの言葉を目標に活動を続ける。
だが、
田中将大投手や和田アキ子を始めとする、大物タレントへの過度の寄生行為や、
引用URL:http://livedoor.blogimg.jp/momoclomatomechannel/imgs/5/f/5f127895.jpg
"国民的アイドル”の地位を堅めたことによる、ハングリー精神の欠如、
ファンが望むももクロと、運営側が打ち出すももクロの噛み合わなさ 、
"紅白卒業"騒動による世間からのバッシング、
などなど。
ももクロへの落胆や、運営の不手際に呆れたおれは、
“昔のももクロが良かった”状態に入ってしまい、徐々に"いまのももクロ"から離れていった。
なので、2014年以降のももクロについては語ることが出来ない。
まとめ
では、なぜこんな長文の記事を作成したかというと、やっぱりももクロが好きだから。
2年くらい活動から離れてしまっているけど、
人生で唯一自殺を考えたほどキツかった時期に、ももクロに助けてもらったから。
ももクロに夢中になっていたお陰で、すこしずつ立ち直ることが出来たから、
あの頃のももクロの凄さを伝えたかった。
あの頃の「何かすごいことが起こっている」感覚は、
2016年の今、どれだけ言っても伝わらない。
でも、ももクロを知らなかった人もこの記事から興味を持ってくれたらうれしいです。
今年の9月に公開された新曲"ゴールデンヒストリー"のPVが、
昔のバカやってた頃のももクロっぽくて熱が戻ってきたっていうのもあるんだけど笑
ももクロはどこから見ればいいかわからない、という人は
極楽門からこんにちは! もしくは
ももいろクリスマス2011 さいたまスーパーアリーナ大会が絶対におすすめ。
いっちばんキラキラしてる頃のももクロが見れるこの2つのライブは間違いないです。
すんげー長くなってしまった笑
ももクロ頑張れ!ずっと応援してる!
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