【社説】違法操業の中国漁船は沈没させて乗組員を逮捕せよ

 今月7日に西海(黄海)で韓国海洋警察の高速警備艇が中国漁船に体当たりされ沈没した事件は、中国漁船による違法操業には今後これまでと違った次元での対応が必要であることを示した。また直後に問題の中国漁船は転覆した高速警備艇の上を意図的に通過したが、これは明らかに殺害の意図があったと言えるだろう。今対応を誤れば、時に海賊にも変貌する中国漁船団を取り締まれなくなるかもしれない。

 高速警備艇が沈没する直前、海洋警察は向かってくる中国漁船に威嚇のための実弾射撃を行ったが何の効果もなかった。沈没の際、隊員らは中国漁船に乗り込もうとしたり、海に転落した隊員の救助に当たったりしていたが、その間に中国漁船は西に逃走したという。これまで海洋警察の取り締まりは8人の機動隊員が高速警備艇に乗り込んで漁船を制圧し、直後に中・大型の艦艇が接近して拿捕(だほ)する方法を採ってきたが、取り締まりは常に戦場を思わせるほど激しいものだったという。中国漁船の乗組員も手おのなどで隊員に襲い掛かるため、過去にも2人の隊員が殉職している。

 このように凶悪な中国漁船に海洋警察はこれまで大口径の銃砲を使ったことはなかった。ただし中国漁船が武器を持って過激に抵抗し、隊員らが命の危険にさらされた場合、艦砲射撃を行うことは国際法上、問題ない。今年3月にアルゼンチンで中国漁船が沿岸警備隊に体当たりを敢行するなど激しく抵抗した際、警備隊は中国漁船を重機関銃で攻撃し沈没させた。昨年12月にはロシア海軍が逃走する中国漁船に艦砲射撃を加え、中国人船員1人が行方不明になっている。

 海洋警察も今後はこれまでのような消極的な考え方を見直し、より厳しい姿勢で対応に当たるべきだ。ちなみに海洋警察は今後同じような状況が発生した場合には艦砲射撃を加える方針を明らかにしている。例えばさほど破壊力の強くない徹甲弾で海賊まがいの漁船の船体を破壊して沈没させ、乗組員を救助した上で逮捕するといった対応も考えられるだろう。いずれにしても口だけでは意味がない。

 一部では今回の事件発生から公表まで31時間もかかったことや、海洋警察が現場の動画を公表しないことについて「中国側に配慮しているのでは」といった疑問の声も出ている。国の主権を守るに当たっては余計な考えなど必要ない。中国政府も高速警備艇を沈没させ逃亡した漁船を探しているようだが、自国民が他国の領海で行う海賊行為を放置しているようでは、これは中国にとっても恥ずべきことだ。今後、隊員を殺害しようとした容疑者については韓国で裁判を受けられるよう、中国側にも協力してほしいものだ。

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