政府 ユネスコへの分担金支払い 改善策見極め判断

政府は、ユネスコ=国連教育科学文化機関への支払いを保留している分担金について、「記憶遺産」の事業が政治利用されないよう、制度の改善が図られるか見極めて、拠出するかどうか判断することにしています。
ユネスコの記憶遺産をめぐっては、去年10月に、中国が申請した「南京事件」をめぐる資料が登録されたほか、ことし6月には、韓国や中国などの市民団体で作るグループが慰安婦問題に関する資料を申請していて、日本政府は、事業が政治利用されるのは問題だとして、改善を求めています。

こうした中、岸田外務大臣は14日、例年5月ごろまでに支払っているユネスコの分担金38億円余りを、ことしは総合的な判断を理由に、まだ支払っていないことを明らかにしました。

日本が負担する分担金の額は加盟国の中で最も多く、拠出が停止すれば、ユネスコの運営にも大きな影響が出るものと見られています。
ユネスコは、透明性や中立性の確保に向けて、複数の国や組織に関わる資料を登録する場合は共同で申請するよう求める指針をまとめていて、各国からの意見を募ったうえで、来年4月ごろに改善策を決める見通しです。

政府はこうした動きを踏まえ、記憶遺産の事業が政治利用されないよう、制度の改善が図られるか見極めて、分担金を拠出するかどうか判断することにしています。