在日女性 子どもの保育料めぐり憲法訴願審判を請求=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国人男性と結婚し韓国に定住する在日韓国人3世の女性2人がこのほど、子どもの保育料支援の対象外とされるのは差別だとし、憲法訴願審判を請求した。
キム・ヨスンさん(36歳)とキム・ミョンヒャンさん(34歳)は韓国籍で、日本の特別永住者だ。韓国留学などを経て韓国人男性と結婚し、韓国で子どもを育てているが、今年、子どもの保育料支給を申請したところ支給を拒まれた。日本の特別永住者であることが理由だ。
2人は聯合ニュースのインタビューに対し真っ先に、「日本で多くの差別を耐えながらも国籍を守ってきたという自負心が一気に崩れた気がする」「憧れてきた母国が在日同胞を差別するなら、私たちはどこで暮らせばいいのか」と訴えた。
政府の保育料支援政策によると、満0歳は40万6000ウォン(約4万300円)、満1歳は35万7000ウォン、満2歳は28万5000ウォン、満3〜5歳は22万ウォンを支給される。韓国国民だけでなく、多文化家庭(国際結婚、移民者の家庭)や難民の子どもも対象だ。
政府は両親の国籍が異なれば子どもに満18歳まで二重国籍を認め、海外での特別永住者ならば同じく子どもも在外国民とする。
日本の特別永住者は昨年まで住民登録番号がなかった。しかし、韓国で生活する場合、各種の権利付与は住民登録番号が基準となる。これが差別にあたるという指摘を受け入れ、政府は今年から韓国に居住する在外国民が申請する場合に住民登録番号を付与している。
この在日韓国人女性2人も住民登録番号の付与を受けた。韓国で生まれた子どもも住民番号があるが、今年保育料の支給を申請したところ認められなかった。政府の保育料支援対象の選定基準で、「住民登録法6条1項3号(在外国民)に基づき住民番号の発給された者」を支援対象から除外すると定められているためだ。ここでいう住民番号とは、昨年まで住民登録されていなかった人に新たに付与されたもので、特別永住者など海外で永住権を持つ人が該当する。
キム・ヨスンさんは「住民登録謄本をみると、子どもの住民登録番号の後ろに『在外国民』」と記載されている。母親が特別永住者であることを示すものだ。区庁は特別永住権を放棄すれば保育料支援が可能だと言う」 と指摘する。
キム・ミョンヒャンさん「4年前に長男の保育料を申請した際は住民登録番号が無いからと断られた。ようやく受け取れると思ったが、やはりだめだという。一体何があらためられたのか。ここで異邦人として扱われるのも悲しいことなのに、私の子どもにまで差別が引き継がれることだけは防ぎたい」と話す。
日本による植民地時代に日本に渡り、第2次世界大戦後も日本に残った朝鮮半島出身者について、日本政府は1947年に日本国籍喪失を決めた。朝鮮半島出身者は1965年の韓日国交正常化前までは朝鮮籍だったが、現在はその多くが韓国籍を選択している。また、日本政府は1991年から在日韓国・朝鮮人を特別永住者とした。
こうした経緯がある在日同胞と異なり、ほかの国の在外同胞は居住国の国籍を取得するか、あるいは住民登録番号が残っているため、韓国で保育料支援の対象となる。
満3〜5歳の子どもの保育費を支援する教育部の関係者は「居住国で永住権を持つ在外国民は(韓国で)住民登録番号が付与されても基本的に除外対象だ。永住権を持つということはその国に永久居住するという意思を示したものだからで、これを放棄するならば支援できる」と説明した。
2人の在日韓国人女性は、「韓国男性と結婚した在日同胞女性の集まり」で出会い、子どもが同い年ということもあって親しくなった。保育料を受け取れない状況も同じで、悩みを話し合ってきた。キム・ミョンヒャンさんは、結婚して韓国に暮らす在日同胞の数は分からないものの、保育料を支給されないケースはほかにもあると思われるとしながら、「このままでは差別に苦しむ人が増え続けると思い、行動を起こすことになった」と、今月5日に憲法訴願審判を請求した動機を説明した。
これを引き受けた法律事務所の弁護士は、「保育料をめぐり特別な理由もなく在日同胞の子どもだけ排除することは、憲法に明示された平等権、母子の保健権、経済権の明白な侵害だ」と話した。
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