警備艇沈没:謝罪しない中国大使、理性的な対処ばかり要求

今月9日に中国総領事を呼んでから今度は大使に抗議
中国側は遺憾表明なし

 今月7日に海洋警備安全本部(海洋警察)所属の高速艇が中国漁船に体当たりされ沈没した事件を受け、韓国外交部(省に相当)は11日、邱国洪・駐韓中国大使を呼び「強い遺憾と抗議」を伝えた。

 外交部の金炯辰(キム・ヒョンジン)次官補は午前11時ごろに邱大使を鍾路区の外交部庁舎に呼び「わが国の公権力に正面から挑戦するような事件が再発しないよう、中国政府は中国の漁業関係者に徹底した指導と啓発をすべきだ」とした上で「今後、わが国の海域でわが国の取り締まり機関による正当な法の執行に対する挑発があった場合、わが国の関係当局として厳しい取り締まり措置を取らざるを得ない」などと警告した。2日前の9日にも外交部のペ・ジョンイン東北アジア局審議官がトウ瓊・駐韓中国大使館総領事を呼んで抗議したが、その後も世論の厳しい批判が続いていることから、今回改めて抗議のレベルを引き上げたようだ。

 ただ一方で中国漁船による違法操業に対する根本的な解決策を韓国政府が見いだせない状態で事件が発生し、しかも世論に押されて中国側に抗議するパターンが繰り返されていることを問題視する指摘もある。外交部は今年6月8日と14日にも邱大使を呼び、中国漁船による違法操業の中断に向け積極的な対応を取るよう求めた。違法中国漁船に苦しむ延坪島の漁業関係者らは6月5日、北方限界線(NLL)付近で違法漁船2隻を直接拿捕(だほ)し、またそれから6日後の11日には違法操業中の中国漁船が取り締まり中の海洋警察隊員を船に乗せたまま北朝鮮に向かって逃走するなど、両国間ではこの問題をめぐって相変わらずさまざまな問題が発生しているからだ。

 このように政府の対応が常に後手に回っているためか、中国は韓国側の抗議をずっと無視してきた。ちなみに違法操業問題は両国の首脳級会談でも何度か取り上げられたことがある。今年6月に中国の李克強・首相は韓国の黄教安(ファン・ギョアン)首相に対し「韓国側と緊密に協力していきたい」と発言した。また2014年の習近平・国家主席と朴槿恵(パク・クンヘ)大統領との首脳会談では、西海における中国漁船による違法操業問題について、共同の取り締まりなどで緊密に協力することで一致していた。ところがこれらの約束はその後、全く守られていない。

 邱大使は今回も謝罪や遺憾表明などはせず、韓国側に「理性的な対応」ばかりを要求し「韓国政府と協力して問題の解決策を見いだしていきたい」と述べるにとどめた。ちなみに邱大使は今年6月に外交部に呼ばれたときも「両国の外交ルートを通じた解決策の模索」を提案するだけで何の対応も取っていなかった。

金真明(キム・ジンミョン)記者
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