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20代女性に梅毒が流行…合併症で失明も

読売新聞(ヨミドクター) 10月14日(金)12時10分配信

 今、日本では梅毒の流行が続いています。一般的な感染症の流行は、ある程度の期間でおさまることがほとんどです。しかし、梅毒については、減る気配どころか、増え続けるいっぽうなのです。そして以前は、同性間での流行が中心でしたが、今は異性間の男性や、20代の女性の中でも急増しています。

 梅毒は、昔の病気ではありません。それどころか、若い世代を中心とした、身近な性感染症となってきています。今、スマホの画面を見ているあなたへ、今回は梅毒についての重要なメッセージをお届けしましょう。

治療しても…また感染

 今、日本では梅毒が流行しています。
 同性間だけでなく、異性間でも増加。
 特に20代女性での増加が顕著です。

 梅毒は、性器だけではありません。
 オーラルセックスでは 咽頭いんとう に感染します。
 アナルセックスで直腸にも感染します。

 梅毒は、何回でも感染します。
 パートナーも治療しなければ、治療しても、また感染します。

 梅毒の初期症状は局所の潰瘍など。
 ふつうは痛みがないことも多く、自然に良くなってしまいます。

 経過中に発疹が出ることがあります。
 でも、短期間で消えてしまいます。

 梅毒は、自分も感染に気づかないまま、他の人にも感染させていきます。

 梅毒は、ほとんど症状なく経過します。
 そして、気づかずに病気は進行します。

 梅毒は、進行すると合併症を起こします。
 眼、脳、心臓などに障害が出ます。
 失明することもあります。
 認知症のような症状も起こします。
 妊婦の感染は先天性梅毒の原因となります。

 しかし、梅毒には有効な治療薬があります。
 早期に診断して治療すれば治せます。
 よく知られている抗菌薬で治せるのです。

 特に、性感染症を扱っている診療所、感染症診療を行っている病院は、経験も多く、安心して治療を受けられます。

 検査は一般病院や診療所でも受けられます。
 梅毒の検査を行っている保健所もあります。

 繰り返します……。
 今、梅毒が流行しています。
 梅毒の多くは、症状がありません。
 検査してみなければ、わからないのです。
 不安があるなら、ぜひ検査してください。

今村顕史 がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長

石川県出身。1992年、浜松医大卒。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事している。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。著書に『図解 知っておくべき感染症33』(東西社)、『知りたいことがここにある HIV感染症診療マネジメント』(医薬ジャーナル社)などがある。また、いろいろな流行感染症などの情報を公開している自身のFacebookページ「あれどこ感染症」も人気。

最終更新:10月14日(金)17時48分

読売新聞(ヨミドクター)

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