鶏肉ってめっちゃおいしいよね。
とかいいつつも、わたしがそのおいしさに気づいたのは結婚してからなんだけども。
うちの実家では鶏料理はめったに食卓に並ばなかった。
母は小さい頃ニワトリに追い回されて以来、鳥恐怖症なのだそう。だから食べれないし肉にも触れない。ペットショップの可愛い小鳥すら怖がってる。
からあげだけはたまに手作りのものが出てきていたけど(お母さんよく頑張ったよね)。
ケンタッキーだって大人になってから初めて行った。
そんなわたしが結婚して家を出て、自分の家庭で料理を担当することになった。
実家でも料理は普通にしていたから、特に不安や戸惑いはない。
けれど夫から、鶏肉が好きだと言われたときには少し困った。
いや、わたしは鶏肉あんま好きじゃないんですけど…まあそんなに好きならちょっとは頑張ってみますけどねえ…。みたいな。
けっ、鶏肉かあ。とか思いながらそのときは軽くスルーした。
わたしの中では完全に、「牛豚肉→ちょうえらい」、「鶏肉→えらくない」っていう決めつけがあったからね。
だけど、買い物に行って気づいたんだ。
鶏肉の圧倒的な安さに。
え、なに?ひゃくぐらむごじゅーえん?ちょ、え?ちょ…汗汗、みたいな。
むね肉とか手羽元とかは特に安いよね。驚いた。
わたしはすぐ鶏肉に飛びついた。
部位とかもよく分かんないけど、とりあえず肉だしね?とにかく買えばどうにかなるよね?って思いつつ。
帰ってからクックパッドでおいしそうなレシピを探して、その通りに作ってみる。
自分で初めて作った鶏料理は、鶏胸肉の甘酢煮*1だった。
これがめちゃくちゃ美味しくて、ほっぺたがふたつも落ちた。
夫にも「おいしい」と好評で(まずいとか言わない人だけど)、わたしはもう「やばいぞ!!!鶏肉のポテンシャルはやばいぞ!!!」ってすごいわくわくしてテンションぶちあがってた。
食材に対してわくわくするとか初めての経験。
自分の中で鶏肉株がぎゅーんと上がってった。
その後も、むね肉、もも肉、手羽先、手羽元、ササミ、挽き肉、いろんな種類を買ってきては、いろんな鶏料理をつくってみた。
レシピはクックパッドでランキング上位のやつを参考にすれば、まず間違いない。
中でも手羽元のサムゲタン風レシピ*2をスープごはんにアレンジしたものは、わたしの中では鶏肉の良さを最大限に引き出す作品になったと思う。
そう、鶏肉はもはや芸術。
もちろん、牛肉と豚肉も大好き。
牛カルビという言葉にはめっぽう弱いし、鍋物は豚肉が至高だと思う。
だけど「家庭料理」という戦いの中では、もう鶏肉が圧勝してる。鶏三昧!
結婚して人と暮らしてゆくことのむずかしさに、もういっそのこと終わりにしたいとか思うこともあるんだけれど、それを思いとどまれるのも、なんだか鶏肉のおかげのような気がしている。
「夫がすげーむかつくときもあるけど、こうして結婚したからこそ鶏肉のおいしさに気づけた」と思うと、結果「よかった」となる。
鶏肉はかすがいなのだ。
いや、もしかしたらわたしは、鶏肉と結婚したのかもしれない。
鶏肉は、神様がわたしにくれたビッグサプライズなのだ。
これからも、そんな鶏肉をわたしは愛し続けるし、スーパーで見かけたら、買う。