7人死亡の認知症グループホーム火災 社長に無罪判決
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6年前、札幌市で認知症のお年寄りが入居していたグループホームが焼けて7人が死亡した火災で、業務上過失致死の罪に問われた施設の運営会社の社長に、札幌地方裁判所は「火災の原因についての検察の主張は不自然で、原因が認定できない以上、社長の過失は問えない」として無罪を言い渡しました。
平成22年3月、札幌市北区にあった認知症のお年寄りのためのグループホーム「みらいとんでん」が全焼して、入居していた男女7人が死亡した火災では、施設の運営会社の谷口道徳社長(58)が十分な防火対策をしていなかったとして、業務上過失致死の罪に問われました。
裁判の中で、検察は、火元のストーブがあった部屋で寝起きしていた認知症の男性入居者がパジャマをストーブに置いたのが火災の原因だと主張し、弁護側は「男性入居者は1人で歩くことが難しかった」などとして無罪を主張していました。
14日の判決で札幌地方裁判所の金子大作裁判長は、「男性入居者を日常的に診療していた医師や施設の従業員の証言から、男性は1人で歩ける状態だったとは考えにくく、検察の主張は不自然だ」と指摘しました。そのうえで、「火災の原因が認定できない以上、社長の過失を問うことはできない」として、谷口社長に無罪を言い渡しました。
裁判では、検察と弁護団の主張が対立し、争点を絞り込む「公判前整理手続き」が21回にわたって行われるなど、火災の発生から判決までおよそ6年半かかりました。
裁判の中で、検察は、火元のストーブがあった部屋で寝起きしていた認知症の男性入居者がパジャマをストーブに置いたのが火災の原因だと主張し、弁護側は「男性入居者は1人で歩くことが難しかった」などとして無罪を主張していました。
14日の判決で札幌地方裁判所の金子大作裁判長は、「男性入居者を日常的に診療していた医師や施設の従業員の証言から、男性は1人で歩ける状態だったとは考えにくく、検察の主張は不自然だ」と指摘しました。そのうえで、「火災の原因が認定できない以上、社長の過失を問うことはできない」として、谷口社長に無罪を言い渡しました。
裁判では、検察と弁護団の主張が対立し、争点を絞り込む「公判前整理手続き」が21回にわたって行われるなど、火災の発生から判決までおよそ6年半かかりました。
「重大な結果 責任を痛感」
判決について、業務上過失致死の罪に問われた谷口道徳社長の代理人を務める三木明弁護士は「検察側がパジャマをストーブの上に置いたと主張した入居者は施設で生活して4年にわたり火災の原因になるような行動を取ったことは一度もなく、自分の力でベッドから立ち上がり、歩行し、立ち続けることは不可能だった。一方、ストーブの火力はとても小さくパジャマが置かれても燃え上がることはなかった。このような事実はないものとして捜査が行われ、起訴されたことは極めて不当で無罪判決は当然だ」と話していました。
また、谷口社長は「判決の結論はともあれ、このような重大な結果を生じさせた責任を痛感しています。亡くなられた方、ご遺族の方に深くおわび申し上げます」というコメントを出しました。
また、谷口社長は「判決の結論はともあれ、このような重大な結果を生じさせた責任を痛感しています。亡くなられた方、ご遺族の方に深くおわび申し上げます」というコメントを出しました。
札幌地方検察庁の山口英幸次席検事は「判決内容を精査し、上級庁と協議した上で適切に対応したい」とのコメントを発表しました。