画像出典:ontenna.jp
こんにちは、NAEです。
「聲の形」の映画化で認知が広がった聴覚障害。古くはドラマ「君の手がささやいている」でも取り上げられていました。
そんな聴覚障害をサポートするウェアラブルデバイスが、CEATEC 2016で富士通から展示されたそうです。その名もOntenna。
髪の毛の振動で聴覚障害をサポートするウエアラブル - 日経テクノロジーオンライン
子供を持つ親という視点で捉えると心から応援したくなったプロダクトなので、紹介させてください。
今回はそんなお話。
- Ontennaは音の振動を髪に伝えることで「聞こえる」をサポート
- Ontennaを見て、子供の声が聴こえない親の苦しみを想像した
- Ontennaは子を持つ親にこそ使ってほしい、でもそれでは足りない
- まとめ:聲の形を作るウェアラブルに期待したい
Ontennaは音の振動を髪に伝えることで「聞こえる」をサポート
Ontennaの仕組み自体はきわめてシンプルです。
- Ontennaをヘアピンのように髪につける
- Ontennaが周囲の音を検知し、振動する
- 髪の振動を通じ、音の大きさやリズムを感じる
周囲の音を拾うところまでは補聴器と同じなのですが、音を増幅するのではなく振動という別の形にして伝えるところが違います。これなら全く音の聞こえない方にも音や聲の形を感じることができます。
ヘアピン型にした理由については、
開発当初は肌や服に付けることも検討したが、肌では「蒸れる」「振動が気持ち悪い」、服では「振動に気付きにくい」という声から、髪の毛に付けるアイデアを思いついた
と開発者の本多達也さんは語っています。
なお、CEATEC 2016のではヘアピン型が展示されていたようですが、今後はイヤリング型やネックレス型も開発していきたいということ。
Ontennaを見て、子供の声が聴こえない親の苦しみを想像した
音や聲の形を感じられないというのは大変なことです。
迫りくる自動車など自分の命に関わりかねない音はもちろんですが、ぼくがぼくがOntennaを知って最初に考えたのは
もし、自分の子供の泣き声が聞こえなかったら
もし、泣いていることだけでもすぐ気づけるようになったら
ということでした。
子供の泣き声はアラート
子供は宝です。世話が面倒だなと思うことは数あれど、目に入れても痛くない。危険が迫っているなら身を挺して守りたい。
そんな自分の子供が泣いているならすぐに気づきたい。特に赤ん坊であれば泣き声はアラートなので気づかずに放置なんてできない。
- もし子供の声が聞こえなかったら
- もしそのせいで子供になにかあったら
- もしそれが命に関わることだったら
ぼくも子を持つ一人の親です。そんな想像をするだけでタマヒュンものですよ。
小さな子供は親は声が聞こえないなんてわからない
もうひとつ、親が自分の方を向いて正面からかまってくれることは子供の心の発達に大きく影響するとぼくは思っています。
そこで、物心がついているかわからないけど何かと喋り始める年齢(1〜2歳くらい)の子供のことを考えてみると、親が耳が聞こえないなんて理解できないわけですよね。
なんでかわからないけど、自分から声をかけても、泣いても、すぐに気づいてくれないし、こっちを向いてくれない。
そう思っているであろう子供の気持ちを考えて、辛い思いをする親御さんもいるのでは・・・と勝手に想像しています。(ぼくが耳が聞こえなかったらきっとそう思っている)
もし子供の聲の形を感じられるようになったら
そんなことを考えていると、
聴覚障害をお持ちの親御さんが、もし子供の声を感じられるようにならどんなに嬉しいだろう
と思うんですよね。
子供の声に気づくことができる。子供の方を向くことができる。
耳の聞こえる人にとっては当たり前に思えることだからこそ、できない人の苦悩を思い浮かべると、筆舌に尽くしがたいのです。
Ontennaは子を持つ親にこそ使ってほしい、でもそれでは足りない
だからこそOntennaは聴覚障害を持つ親御さんを苦悩から解放する可能性を感じます。
早く商品化されればいいなあと思っているのですが・・・
残念ながら、狭く深い需要があるだけではビジネスとしては成立しません。
補聴器という歴史ある屈強な競合もいますし、聲の形を感じる方法として髪に伝わる振動でなければいけない人の数=マーケット規模を考えると、まずはイノベーション系イニシアチブやCSR的な取り組みという扱いになってしまう気もします。
実際、主催の富士通はOntenna公式サイトにて
「Ontenna」は、富士通が社会課題の解決に向けて推進する オープンイノベーション活動で取り上げているアイテムの名称です。
と銘打っています。
アイデアはある。実機も実績もある。確実な需要もある。でもビジネスにするには足りない。
こんなとき頼りになるのは国の支援(予算)や海外展開だったりするわけですが・・・どうなるでしょうか。
まとめ:聲の形を作るウェアラブルに期待したい
というわけで、聲の形を振動で伝えるウェアラブルOntennaをピックアップしてみました。
Ontennaは、聴覚障害をお持ちの方、特に全く音の聞こえない方のQOLに貢献するすばらしいウェアラブルだと思います。
Ontennaの開発は2014年に始まっており、未踏プロジェクトへの採択や富士通という大企業の助けを得て、CEATEC 2016出典という段階まで到達しています。
これからはいかにビジネスとして成立させるかを考えるステージ。遠巻きながら、Ontennaの今後に期待したいと思います。
今回は以上です。