男性直撃の鉄パイプ 防護柵の隙間から落下か

男性直撃の鉄パイプ 防護柵の隙間から落下か
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東京の六本木で、マンションの工事現場の鉄パイプが近くを歩いていた男性に直撃し死亡した事故で、鉄パイプは落下物を防ぐ防護柵の隙間から落下したと見られることが警視庁への取材でわかりました。警視庁は、安全管理に問題があった可能性があるとして、さらに調べを進めています。
14日午前10時前、東京・港区六本木で、「六本木通り」沿いのマンションの工事現場の足場から鉄パイプが落下して、近くの歩道を歩いていた東京・新宿区の飯村一彦さん(77)の頭部に直撃し、飯村さんはまもなく死亡しました。
警視庁のこれまでの調べで、鉄パイプは長さがおよそ1メートル80センチの工事の足場に使われていたもので、10階付近で足場の解体をしていた際に落下したと見られています。

その後の調べで、現場では落下物が通行人に当たらないように、地上に近い部分にひさしのような防護柵などを設置していましたが、鉄パイプはこの柵と柵の間の隙間から歩道に落下したと見られることが警視庁への取材でわかりました。
工事を請け負っていた会社によりますと、ふだんは、こうした隙間はありませんが、14日は、解体した足場の部品を地上に下ろすために一部の柵を外していたということです。
警視庁は落下物の対策など、現場の安全管理に問題があった可能性があるとして、業務上過失致死の疑いでさらに調べを進めています。

近くの飲食店の男性は

現場近くの飲食店で働いている男性は「自分が通りがかった時には救急車はまだ到着しておらず落下から数分後だったのではないでしょうか。その時、歩道に男性が横向きに倒れて頭から血を流していました。奥さんと思われる女性が男性の頭を手で押さえながら『どうしよう、どうしようどうしたらいい』と動揺しながら助けを求めていました。落下した場所はいつも出勤時に通るところで少し時間がずれていれば自分も被害にあったかもしれず怖いです」と話していました。

建築・解体現場の足場の安全対策は

建築現場や解体現場での足場の落下事故を防ぐため、国は法律や手引きで基準を定めています。
国土交通省によりますと、建築基準法などでは工事現場が道路や住宅に近かったり、地上から7メートル以上の高さにあったりするなど、足場が落下すると周囲の人に危害が及ぶおそれがある場合には工事現場の周りを鉄製の網や布で覆うなど、被害を防ぐ措置をとるよう定めています。
また、建設業向けのガイドラインでは鉄製の網や布が落下の衝撃に十分耐えられるようにすることや、必要に応じて防護柵を設けることなども求めています。

一方、厚生労働省は作業者の安全を確保する観点から、労働安全衛生法に基づく規則で足場に防護ネットなどを設置することや、鉄パイプなどを運ぶ際には網や袋で覆った上で上からつるして下ろすこと、それに毎日の点検方法など、作業を安全に行うための手順を定めています。

今回の事故を受けて国は落下物に対する防護対策や作業環境などに問題がなかったか、調べることにしています。