兵庫県姫路市の製鉄記念広畑病院で昨年7月、超音波内視鏡検査の際に有害なホルマリン液を体内に誤注入され小腸障害などを起こしたとして、同市に住む70代の男性が13日、検査を担当した男性医師を業務上過失傷害容疑で県警網干署に告訴した。同病院は毎日新聞の取材に、男性以外にも最大で男女55人(当時17〜83歳)の検査で、器具の洗浄に間違ってホルマリン液を使ったことを認めたが、健康被害は確認されていないとしている。
告訴状などによると、男性は昨年7月22日、同病院で膵臓(すいぞう)超音波内視鏡検査を受けた際、精製水と誤って10%ホルマリン液120ミリリットルを十二指腸内に注入された。男性は検査中に激痛を訴え、検査後に下血。2度にわたり計約1年間入院した上、現在も全身の神経痛やしびれを感じ、通院しているという。
姫路市で記者会見した男性の息子は「病院側から正式な謝罪や納得のいく説明がなく、社会に公表もしなかった。責任の所在をはっきりさせたいと思い、告訴に踏み切った」と話した。
病院側は取り違えの要因について、ホルマリン液と精製水を入れていた容器が外観では区別がつかなかったことから、手術室で使うホルマリン液が内視鏡センターに誤って運ばれたと説明した。また、他の55人は男性と同日と翌日に胃や大腸などの内視鏡検査を受けた患者で、「内視鏡のレンズ面の洗浄に誤用した」としている。
橘史朗病院長は「院内での物品管理の作業手順が甘かった。患者の不安解消に全力を挙げる」と述べた。【山縣章子】