三浦九段のスマホ不正使用疑惑の余波で、田丸の竜王戦の対局が読売に掲載
新聞やテレビの報道でご存知のように、将棋界に大激震が起きました。
将棋ソフトの棋力の飛躍的な進化によって、現代では多くのプロ棋士がソフトを使用して将棋の研究に取り組んでいます。最善手や形勢判断、詰みの有無など、棋士でも参考にしているのが実情です。
棋士が対局中にスマートフォンなどの電子機器を使用し、ソフトで前記のことを検索するのはもちろん禁止されています。ところが不正行為が疑われるようなことがあった、という指摘が一部の棋士から出ていたそうです。
将棋連盟の常務会(旧理事会)はその防止策として、「対局中は電子機器をロッカーに預ける」「対局中は外出できない」などの規定を決定し、12月14日から施行すると10月上旬に発表しました。その矢先に浮上したのが三浦弘行九段のスマホ不正使用疑惑でした。
常務会は、三浦九段が今年の夏以降に「対局中にやたらと席を立つことがあり、時には10数分も離席していた」という対戦相手の数人の棋士からの指摘を受けて、10月11日にスマホ不正使用疑惑について本人から聞き取り調査をしました。
三浦九段は「席を立ったのは別室で休んでいただけ」と不正を否定しました。しかし「疑念を持たれたままでは対局をできない。休場したい」と話したそうです。
常務会はその翌日、三浦九段を12月31日まで公式戦の出場停止処分にすると決定しました。10月15日から始まる竜王戦7番勝負(渡辺明竜王―三浦九段)では、挑戦者を三浦九段から丸山忠久九段に変更しました。
私はメディアが伝えることしか知らないので、その件については何とも言えません。ただ三浦九段の名誉と棋士生命に関わる重大なことを、常務会がわずか1日で決定したことについては、少し疑問に思います。結果的に将棋界と棋士のイメージが悪くなりました。今後は真相の究明が大事だと思います。
竜王戦を主催する読売新聞社は、挑戦者決定戦3番勝負(丸山九段―三浦九段)の観戦記の掲載を見合わせました。そして私こと田丸昇九段と近藤誠也四段の竜王戦の対局を、10月14日から掲載(8譜)することになったのです。
スマホ不正使用疑惑の問題の余波が、私にも及ぶとは驚きでした。
読売新聞の記者が書いたその観戦記の第1譜には、「負けたら即引退、という棋士人生がかかった一番だ」「本局も、玉の囲いは最小限にとどめて攻める姿勢だ」という一節が載っています。
読売新聞の観戦記に私の将棋が掲載されるのは26年ぶりです(3組ランキング戦・準決勝の対局)。引退間際の良い記念になりました。
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