ベンスダ主任検察官=オランダ・ハーグの国際刑事裁で2013年10月10日
【ブリュッセル八田浩輔】フィリピンのドゥテルテ大統領が進める「麻薬撲滅戦争」を巡り、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の検察トップ、ベンスダ主任検察官は13日、容疑者3000人以上が超法規的に殺害されたとして「深い懸念」を示す声明を公表した。状況の進展次第では予備的な捜査に踏み切る姿勢も示唆している。
フィリピンでは今年6月末のドゥテルテ氏の就任以来、約3カ月で裁判を経ずに殺害された麻薬犯罪の容疑者は3000人以上に及ぶとされる。強権的な麻薬取り締まりには米国のオバマ大統領をはじめ、国際社会から懸念の声が上がっている。
ベンスダ氏は声明で、超法規的な殺害が一般市民を対象にした組織的な攻撃とみなされた場合、ICCの管轄に及ぶと指摘。フィリピンについて今後数週間の状況を注視した上で、予備的な捜査に踏み切るかどうか判断するとした。
ICCは戦争犯罪や、人道に対する犯罪など国際人道法に違反した個人を裁く常設の国際刑事法廷で、犯罪捜査をする検察局をあわせ持つ。