「性欲あります」と言うと「えっ、EDなのに?」とUMAに遭遇したかのように驚かれることがある。「キンモー!」と露骨に嫌な顔をする人もいる。きっつー。EDだって人間だ。性欲はある。なぜ聖者のような扱いを求められなければならないのだろうか。理解していただけなくて悲しい。僕は2008年の1月初旬のラスト・スタンディング&ラスト・シューティングからEDを患っているが、むしろED後の方が性欲は強くなっている。患う前は、たとえばおばはんの透けブラを見ただけで簡単にゾウさんがパオ~~~~ン!状態になったものだが、今は布面積が少ないお召し物をまとったギャルを見ても僕のゾウさんはパ、パ、ォ~~と動物だけど虫の息。どれだけ扇情を煽り立てるような状況になっても村上春樹ノーベル文学賞落選を聞いた秋のハルキストみたいなモヤモヤした気分を抱えて、逃げて、慄きながら生きているのだ。僕はもうパオ~~~~ン!しない。魔法の青いオクスリの効果も少なくなってしまった。おそらく海綿体がちぎれてしまったのだろう。だが負けない。病は気から。僕はパオ~~~~ン!しない分、性欲だけは誰にも負けないようにしたい。気持ちまでは去勢されてなるものか。心身は、一致しない。てぃん、てぃんは、おっきしない。それだけのことだ。なお、「キンモー!」と露骨に嫌な顔をしたのは妻である。これは完全に僕の想像なのだけれど、女の子好きをカミングアウトした彼女が僕に求めることは未来永劫にパオ~~~~ンしないことなのではないだろうか。妻から女性として見られていたことはいささかショックだけれども、パオ~~~~ン!出来ない僕が己の男性を証明するのはひどく難しい。心優しい妻が「もしどうしてもパオ~~~~ンしたくなったら、遠慮なくプロい人に頼んでください」と言ってくれ、「ご利用は計画的に」と釘を刺すのも忘れないことだけが僕の救いだ。最近、サバンナを大地の王のように堂々と歩くアフリカゾウの夢を見る。そのゾウは鼻を振り上げずとも男らしく、猛々しい。(所用時間10分)