ここまでヒットしちゃったら、今さら映画を見てないとは言いづらい──。驚異的な動員数で話題沸騰の映画『君の名は。』。“まだ”の人は今そんな気持ちにとらわれている。お笑いコンビおぎやはぎの矢作兼(45才)は自身のラジオ番組でこの社会現象への戸惑いをこう告白した。
「食べログ4.0以上の店、『超美味ぇ!』って自慢してるようなもんだもんな」とし、もし見ても、もはや恥ずかしくて、どんなによかったとしてもわざわざ「アレ、よかったよ」と言うのは憚られるレベルだと語った。
どこもかしこも絶賛の嵐のなか、「プロから見ると全然面白くない」と一刀両断したのは、漫画家の江川達也さん。しかし発言直後から瞬く間にネット上にすさまじい反論が書き込まれ、大炎上となった。
「今、『君の名は。』は踏絵みたいになっていて、『つまらない』とか『まだ見てない』と言うとはりつけにされる風潮になってますよね…」
そう声をひそめるのはコラムニストの今井舞さん。
「言いづらいのですが実は私も見てません。見ようとは思っているのですが、もし見てつまらないと思ってしまったら、『あの感性がわからないなんて、やっぱりババアはダメだよね』って馬鹿にされそうで、見ても面倒くさくて周囲に言う気になれないんです」
絶賛も酷評も、「見ていない」ということすらニュースになってしまうほど国民的大ブームを巻き起こしている『君の名は。』。公開28日で興行収入100億円を上げ、動員数770万人を突破。その後も勢いは止まらず、10月10日までで145億円を記録した。
145億円──実はこれがとんでもない数字なのだ。まず、国内アニメ作品で100億円を超したのはジブリ以外では初めて。また、100億超えを28日で達成するというハイスピードは異例のこと。例えば、最終興行収入254億円の『アナと雪の女王』でさえ公開から37日間を要している。
また本が売れない、CDが売れないという時代に小説版は100万部、サントラは22万枚を超えた。さらに劇中に登場するスポットの東京・四谷の須賀神社や、岐阜の『飛騨市図書館』などは“聖地”と化した。
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