目次
- Emmanuelle Marie Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)博士
- Jennifer Anne Doudna(ジェニファー・ダウドナ)博士
- Feng Zhong(フェン・チャン)博士
- George Church(ジョージ・チャーチ)博士
- 最後に
- あわせて読みたい
こんにちは、勝木(blankfein525)です。
現在、「ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃 (講談社現代新書)」という書籍を読んでいます。本書は、「クリスパー・キャス9」という生命科学の先端領域の技術について説明した上で、本技術が社会にもたらす計り知れないインパクトについて説明した本なのですが、今回は、本書の中に登場する「クリスパー・キャス9」について理解する上で、押さえておくべき重要な人物について、個人的な独断と偏見を以って、ご紹介させて頂きます。
クリスパー・キャス9:最新鋭のゲノム編集技術。ゲノム編集では、科学者が狙った遺伝子やDNAを構成する「G」「C」「A」「T」からなる無限に近い文字列を一文字一文字、ピンポイントで削除したり、書き換えることができる。
Emmanuelle Marie Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)博士
(画像引用:DiscovHer)
まずは、エマニュエル・シャンパンティエ博士。クリスパー発明者のひとり。国籍はフランス。スウェーデンのウメオ大学から、ドイツのヘルムホルツ感染研究センターを経て、現在は、ベルリンにあるマックス・プランク感染生物学研究所の所長に就任しています。スタートアップ企業「CRISPR THERAPEUTICS」の創業者でもあります。「CRISPR THERAPEUTICS」に対しては、ドイツの製薬大手「Bayer」が3500万ドルを出資しています。シャンパンティエ氏は、欧州5カ国にまたがる7つの大学・研究所を渡り歩いていた無名の学者だったようですが、2011年3月にプエルトリコで開催された米微生物学会にて、下記のダウドナ氏に声をかけ、そこから両者の共同研究が始まったようです。
Jennifer Anne Doudna(ジェニファー・ダウドナ)博士
(画像引用:YouTube)
次いで、ジェニファー・ダウドナ博士。ハワイ出身で、父親はハワイ大学の文学教授。ハーバード大学院を卒業し、現在は米カリフォルニア大学バークレー校に在籍。クリスパー発明者の一人で、「Caribou Biosciences, Inc.」、「Intellia Therapeutics」等のベンチャー企業の創業者としても知られています。「Caribou Biosciences, Inc.」は、化学・バイオ大手の米デュポンと提携しており、また、世界第二位の製薬メーカーであるスイスの「Novartis」は、両者ともに出資を行っています。「ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃 (講談社現代新書)」によれば、ダウドナ博士は、クリスパーによる遺伝子改変について、以下のように述べています。
クリスパーで遺伝子改変された赤ちゃんが生まれるのは時間の問題。その瞬間は遅くても10年以内に訪れる
Feng Zhong(フェン・チャン)博士
さらに、フェン・チャン博士。ブロード研究所に所属しています。ブロード研究所は、ハーバード大とMITが共同で設立した生命科学研究所です。また、同氏は、スタートアップ企業「Editas Medicine」の創業者としても知られており、同社にはグーグルが傘下の投資会社「Google Ventures」を通じて出資を行なっていることでも知られています。また、グーグル以外でも、「Editas Medicine」は、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏からも総額10億ドルもの巨額資金を調達していることでも知られています。元々は、上述のダウドナ氏も設立にかかわっていましたが、特許争いを行っている関係もあって、今では決別しているようです。ちなみに、上記の「Google Ventures」ですが、同社のCEOを務めるBill Maris(ビル・マリス)氏が、2015年3月に、米経済情報誌ブルームバーグにおいて、
人は500歳まで生きることが出来るだろう
と述べたことも、本気の発言かどうかは別にして、覚えておくべきポイントのひとつであるように思います。
George Church(ジョージ・チャーチ)博士
(画像引用:POP TECH)
加えて、ジョージ・チャーチ博士。クリスパー研究の第一人者で、
ちょうど美容整形をするような気持ちで、自分の遺伝子を改良する時代が来る
の発言を行ったことでも知られています。チャーチ博士は、「骨を強化して骨折しないようにする」「心臓病にかかりにくい体質にする」など10項目にのぼる候補遺伝子を特定し、いずれこれらをクリスパーで改良することで、「人類を強化する(enhance human)」という計画を明らかにしています。このチャーチ教授ですが、ハーバード大学・医学大学教授の肩書からもわかるように、れっきとした科学者ですが、一方で、若干エキセントリックな気質を持ちわせているようで、自分の研究室を「技術に基づく新たな創世記の中心地」と位置づけ、シベリアの永久凍土に残る遺骸などから採取されたDNAを基に、マンモスなど古代動物を現代に蘇らせようとしているようです。
参照:ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃 (講談社現代新書)
最後に
いかがでしたでしょうか。本記事の中でも、いくつか引用させて頂きましたが、「ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃 (講談社現代新書)」はかなり勉強になった一冊です。是非読んでみてください。また、わたしの理解が正しければ、日経ビジネスも少し前に「不老長寿」の特集を行なっていたように思います。こちらのバックナンバーも以下から手に入ると思いますので、また見返してみると良いかもしれません。また、今回触れることはできませんでいしたが、こういった生命科学の領域は、キリスト教福音派の影響が強い米国においては、研究が進めにくい面があるようで、米国も英国に主導権を取られることを危惧しているようです。我が国でも、ライフサイエンスのスタートアップはいくつか立ち上がっており、「FiNC (フィンク) | モバイルヘルステクノロジーベンチャー」や「GeneQuest [ジーンクエスト] | 日本初、大規模遺伝子検査・解析サービス」が一般的に注目されているように思います。また、いずれブログか何かでご紹介させて頂ければと思います。
あわせて読みたい
katsuking.hatenablog.comkatsuking.hatenablog.comkatsuking.hatenablog.com