【寄稿】親中事大は時代錯誤だ

【寄稿】親中事大は時代錯誤だ

 最近韓国社会には中国への称賛があふれている。偏向的でねじ曲がった中国美化は危うい。韓国の憲政史の否定であり、人類の普遍的価値をおとしめる行為だからだ。

 中国は権威主義の一党独裁国家だ。人権運動家は今も監視され、拘禁され、拷問を受ける。1年前に中国政府は人権派弁護士約280人を一度に拘束した。ノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏は体制転覆罪で獄中にいる。昨年には1960年代の大飢饉(ききん)の惨状を告発した「墓碑」の著者、楊継縄氏が進歩的なメディア「炎黄春秋」の編集権を剥奪された。中国政府は約200万人を動員し、インターネットを監視している。昨年4月には天津の爆発事故や証券市場に関する風説を流布したとして、197人が拘束され処罰を受けた。2014年には香港の雨傘革命に同調したという理由で100人余りが連行された。

 中国憲法は「あらゆる正常な宗教を認める」とうたっているが、宗教が「正常」か否かは政府が判断する。非正常のレッテルを張られた法輪功は弾圧され、ウイグル地域のイスラム教徒は厳しい監視下にある。中国政府は産児制限のため女性の出産権を制限している。最近まで女性が第二子を妊娠すれば、法律で中絶を強制していた。個人の生物学的自由を侵害した結果、戸籍に載らない「闇っ子」が数千万人に達した。

 歴史についてはどうか。天安門事件の真相究明要求は27年後の現在でも黙殺されている。毛沢東時代(1949-76年)の中国では7000万人以上が死に至ったが、その全体責任者である毛沢東の肖像が紙幣に印刷されている。中国社会の貧富の差は世界最高レベルだ。世界2位の経済規模を誇るが、1人当たり国民所得は6000ドルをようやく超える水準だ。改革開放は6億人を極貧の状況から救ったが、多くの人民はまだ貧困に直面している。富強の旗印の下で中国政府は環境破壊を放置し、労働運動を弾圧している。

ソン・ジェユン=カナダ・マックマスター大教授(中国史)
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