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【政治】

福祉用具のレンタル 業者の裁量で価格に差 保険料にしわ寄せ

 介護保険制度のサービスのひとつとして実施されているベッドや車いすなど福祉用具のレンタルについて、同じ製品でも月額のレンタル価格に大きな差が生じている。他の介護サービスと違い、公定価格がなく業者の裁量に委ねられているためだ。利用料は介護保険と利用者の自己負担で賄われているため、不必要な費用負担が生じているのではないかと、厚生労働省などは問題視。十二日に開かれる社会保障審議会介護保険部会でも、高額なレンタル料をどう抑制するか焦点となりそうだ。(中根政人)

 介護保険では原則、サービスごとに公定価格が決められ全国一律で同じサービスなら同額で受けられる。しかし、福祉用具レンタルには公定価格がない。厚労省の担当者は「レンタル価格には、メンテナンスなど業者のサービス料金も含まれ、価格設定が業者の裁量に委ねられている」と説明する。

 財務省が全国平均価格と最高価格の差を調査したところ、三製品で価格差が十倍を超えた。玄関などの段差を解消するスロープは最高価格が平均価格の約十二倍、住宅内で使う転倒防止用の手すりと、背もたれ部分の角度を調節できる介護用ベッドは約十一倍。介護用ベッドは平均価格の八千八百三円に比べ最高価格は十万円になっていた。スロープの最高価格は新品の販売価格も上回っていた。

 利用者が負担するのは価格の一、二割だが、塩崎恭久厚労相は「標準よりもはるかに高い負担を税金を通じ背負うことで(介護保険制度が)長持ちするかどうか」と、適正化に乗り出す方針を示している。

 レンタル価格に関し、市区町村が利用者に利用予定の福祉用具がどれくらいの価格帯かを通知する仕組みがあるが、通知の実施は自治体によってばらつきがある。公益財団法人「テクノエイド協会」がインターネット上で平均価格などを検索できるサービスを二〇一四年から提供しているが、利用者への周知は十分とは言えない。

 利用者は、用具を選ぶ福祉用具専門相談員に複数の製品の紹介を受けたり、介護サービス計画の作成などを担うケアマネジャーに価格の妥当性を相談したりして選ぶことが大切だ。

 この問題は七月の介護保険部会でも取り上げられ、委員から是正を求める意見が出た。厚労省は十二日の部会にケアマネジャーのチェックを強化する対策などを提案する。

 淑徳大の結城康博教授(社会保障論)は「業者の裁量で決まっているレンタルの価格設定の在り方は見直すべきだ。厚労省が品目ごとの上限価格を設定するなど業者側に適正な価格でのサービス提供を徹底するなどの施策が必要になる」としている。

 <福祉用具レンタル> 介護が必要な高齢者が、自立した在宅生活を送るための器具を月額のレンタル料を払って利用できるサービス。費用の9割を介護保険から支払い、1割(一定以上の所得がある人は2割)を利用者が負担する。厚生労働省が介護用ベッドや車いす、手すりやスロープ、歩行補助のつえなど13品目を指定、同じ品目でも多種類あり、製品数は数千種類に上る。レンタル対象用具と別に一部の消耗品は購入できる。2014年度のレンタル額(利用者負担含む)は約2755億円で、介護費用全体の2〜3%程度とされる。

(東京新聞)

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