上手に薬局を譲渡するための、たった一つの方法

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1年かけて売却しやすい会社にする。

――会社を売却すると決めてから、どんな準備をされましたか?

すべての店舗を一気に手放したかったので、私の場合は株式譲渡が便利だと思いました。ただし株式譲渡は、買収側からみれば、会社についているプラス・マイナスの資産すべてを引き受けることになります。そこで、よりよい買い手を見つけたり、より高く売るためには、会社の借入金や不要なリース契約など、買い手は嫌がりそうな負の遺産を整理して、会社の中をすっきりさせることが必要です。まずはそこから手をつけました。

――整理するところは結構ありましたか?

借金が残っていたし、在庫がけっこう積みあがっていた。契約書等で関わりありのある保証人も数人いました。ですから、まず、借金を減らして、保証人の数を減らして……。結局、在庫の圧縮までは手が回らなかったな(笑)。調べたらけっこうあったんですよ。製薬メーカーにいい顔して納品しちゃったんでしょうね。

――株式についてはいかがでしたか?

これも分散していました。ですから1年がかりで買い戻して、私一人に集中させました。評価額で買い取ったので、結構資金が必要でしたよ。

――どこに分散していたのですか?

社員です。一度社員株主を募集したんですよね。実は、もう一回募集したんですよ。この時は誰も手をあげなかった。仮に大勢手をあげていたら、けっこう大変だったと思います。買い戻す価格も数倍になっていたかもしれません。

――他にはどんな準備を?

会社の価格の設定です。市況はいくらで、私たちとしてはいくらなら売ってもいいのか。半年間、役員とディスカッションをしました。

――信頼できる役員がいたんですね。

彼は設立まもない頃に入社してつきあいが古いので人柄はよくわかっていましたから。その上社内結婚。とても信頼できる役員でした。

――ご友人で売却した方など、参考になる話をして下さる方は?

それがいないんですよね。びっくりすることに、オーナー仲間たちは、みな無理やり子供に継がそうとしています。そもそもいやがっているのに薬学部に入れたりしているほどですからね。子供の意志も確認せず、着々と相続の準備をしているという感じですよ。

――相談どころではありませんね。

ですから、最後に金融公庫に少し相談して、やっと実際にM&Aの専門会社にお願いする準備が整いました。ここまでの準備におよそ1年かかりました。


矢部店
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「上手に薬局を譲渡するための、たった一つの方法」より

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