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核禁止交渉開始で激論 切り崩し図る保有国

 【ニューヨーク國枝すみれ】国連総会第1委員会(軍縮)で、核兵器禁止条約の来年中の交渉開始を求める決議案を巡り、核保有国と非核保有国との議論が激化している。決議案には100カ国以上が賛成し、11月上旬に採択される見通しだ。一方、核兵器禁止が国際世論の主流になることを嫌い、核保有国は賛成派の国々の切り崩しを図っている。

    賛成100カ国以上

     「(核保有国と非核保有国の)二極化を進め、信頼できる核軍縮の原則を捨てることになる」。第1委員会で一般討論が始まった今月3日、ローズ米国務次官補は核軍縮について、包括的な安全保障を勘案しながら段階的に進めるべきだという考えを強調し、核兵器を法律で禁止しようとする動きを批判した。

     国連安保理で先月23日、核実験全面禁止条約(CTBT)の早期発効を求める決議案が採択された。主導したのは米国だったが、核兵器の保有そのものを禁じる条約には反対し、核保有国のエゴをむき出しにしている。ロシアも米国に同調し、「非現実的」と強い言葉で非難している。

     国連本部の廊下では、米国の交渉担当官が賛成派の外交官を説得しようとする姿を見かける。核兵器禁止条約ができても、核保有国は参加しなければ条約に縛られることはないが、「核兵器は非合法」という認識が国際社会に根付くことを恐れ、条約の交渉開始をできるだけ阻止しようとしているようだ。

     オーストリアやメキシコなど6カ国が決議案を配布したのは先月28日。「核兵器の法的規制は必要不可欠だ」(エクアドル)など、中南米やアフリカ、中東などの非核保有国の支持が相次いだ。核軍縮が停滞する一方、核兵器の非人道性に対する認識が世界に拡大。昨年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議が、米国の反対で最終文書を採択できずに終わり、「核保有国は核軍縮の義務を軽んじている」(南アフリカ)との怒りも非核保有国には充満している。

     一方、米国の核抑止力に頼る日本や北大西洋条約機構(NATO)加盟国は段階的な核軍縮を主張。日本は今月10日、核兵器全廃を目指す決議案を各国に配布した。決議案はNPT体制を強化する決意を新たに加え、核保有国と非核保有国に「意味のある対話」をするよう呼びかけた。だが、両者の対立が激化する中で、「橋渡し役」を自任する日本の立場はより苦しいものになりつつある。

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