【ニューヨーク國枝すみれ】日本政府は11日までに、第71回国連総会第1委員会(軍縮)で核兵器全廃を目指す決議案を各国に配布した。日本は1994年以降、同案を毎年提出して採択されており、毎日新聞が入手した今年の案では、核拡散防止条約(NPT)体制を強化する決意を新たに加えた。
第1委員会では、NPT体制だけでは米国やロシアなどによる核兵器の削減が進まないとして、核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議案がオーストリアなどにより配布されている。米国の核の傘による安全保障を重視する日本政府としては、NPT体制の強化を通じた段階的核軍縮の支持を訴えるものとみられる。
決議案は「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意に基づく統一行動」と題され、NPT体制を強化する決意を再確認している。さらに、2015年のNPT再検討会議が最終文書の採択に失敗したことをふまえて、次回20年の再検討会議を成功させるため、すべての国が最大限の努力をすべきだと強調。核兵器の保有国と非保有国双方に対し、核軍縮と核兵器の拡散防止に向けた実用的で具体的な方策に関し「意味ある対話」を行うことを呼びかけている。
決議案は、北朝鮮が続ける核実験や弾道ミサイル発射にも言及。国連安全保障理事会の決議に基づく北朝鮮への制裁を完全実施し、核拡散防止の国内体制の整備と国際協力の強化を求めている。
日本が核兵器全廃を目指す決議は昨年12月の国連総会で166カ国の賛成で採択された。