平均速度が時速120キロメートルに達するボブスレーは「氷上のF1(フォーミュラワン)」と呼ばれている。冬季五輪では最先端技術を前面に押し出したマクラーレン・BMW・フェラーリなど世界的企業が作ったそりが活躍する。
しかし、巨人ゴリアテに挑むダビデのように無謀な挑戦を現実のものにしようとしている人々がいる。東京都大田区にある100以上の町工場(まちこうば)が中心となった「下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会」だ。メンバーたちは5日、ジャマイカが2018年の平昌冬季五輪で使用する2人乗りボブスレー用そりの完成品をお披露目し、「五輪出場だけでなく、メダル獲得にも自信がある」と語った。ジャマイカ国旗の色である黒・緑・黄色に塗られたそりに、ジャマイカ代表の女子ボブスレー選手、ジャズミン・フェンレイタービクトリアンさんも「やはり日本の職人技は世界最高」と話した。
日本では「町工場の奇跡」「クール・ランニング2」などという声が上がっている。『クール・ランニング』は1993年に公開されたコメディー映画で、ジャマイカの選手がカルガリー冬季五輪(1988年)にボブスレーで出場した実話を基に描いたフィクション作品だ。1年を通じて雪が降らない国がボブスレーに挑戦したために味わう困難と、そりに対する知識そのものが皆無だった日本の町工場のそり製作挑戦が似ているということからだった。
そして、大田区の機械・金属分野の町工場経営者らが2011年、「日本の技術力を世界に知らしめよう」とボブスレー用そりの製作で意気投合した。
しかし、ヨーロッパ製そりを一つ一つ分解しながら、紆余(うよ)曲折の末に作ったそりを日本代表が採用しなかったため海外に目を向けたところ、ジャマイカが今年1月、平昌五輪で使用すると約束した。以来、9カ月間にわたり「職人」60人余りがジャマイカ用に「カスタマイズ」したそり製作に取り組み、今回完成したもの。今月末からテスト走行を開始し、実戦を経て、平昌五輪までに改良を加えていく予定だ。このプロジェクトに携わった人々を基に描いた『下町ボブスレー』というドラマがNHKで放映されたこともある。
日本の共同通信は「平昌でボブスレー用そりの韓日対決も期待される」と報じた。韓国では、2016-17年シーズンからワン・ユンジョン、ソ・ヨンウらが現代自動車製の初の韓国製そりで国際大会に出場する予定だ。