国民安全処が発足したのは2014年11月。同年4月に旅客船「セウォル号」沈没事故が発生した直後、今の朴槿恵(パク・クンヘ)政権が「国民の安全を守るコントロールタワー」というスローガンで国務総理室の直轄部処(省庁)として新たに立ち上げた。しかも同じ国務総理室直轄の人事革新処のトップが次官級なのに対し、国民安全処のトップは閣僚級だ。このように鳴り物入りでスタートした国民安全処だが、わずか2年でその限界が明らかになった。国民安全処関係者の間からは「与えられた仕事は当然しっかりとやらねばならないが、最近は国民やメディアからの批判が厳しくてつらい」などといった声も聞かれる。国民安全処は風水害や地震といった大規模災害だけでなく、歩行者や車の安全についても担当していることから、文字通り「安全の雑貨屋」のような形になっている。ある防災問題専門家は「国民安全処に全てを任せるのではなく、たとえば交通安全に関しては警察が担当するなど、業務を分担すべきだ」と指摘している。
現在は地震発生の際に国民安全処が気象庁から連絡を受けてから緊急避難メールを送る形になっているが、政府は慶州地震をきっかけにこれを見直し、気象庁が直接メールを送る仕組みに変更する方針だ。台風など風水害に関連するメールは気象庁や洪水統制所が独自に判断して発送する方が時間がかからず、また正確な情報を発信できるはずだ。避難情報についても現場の状況を最もよく知る自治体などが独自に発信できるようにしなければならない。では国民安全処はどうすべきか。たとえば大規模災害の発生に備え、被害を最小限に抑えるために国の次元で支援の仕組みを整備するだけでも、国民安全処はその存在価値が認められるはずだ。