「若年性脳梗塞」という言葉をご存知ですか?
脳梗塞(のうこうそく)とは、脳に栄養などを送り届ける動脈が閉塞することで脳の血液が不足してしまい、その結果酸素や栄養を脳に送り届けることができず脳組織が死んでしまう、もしくは死んでいるに近い状態になっていることを言います。
日本における脳梗塞患者数は非常に多く、全体の死亡者の約15%を占めています。
脳梗塞と聞くとお年寄りがなりやすい病気だと思いがちですが、近年若者の間でも脳梗塞を発症してしまうケースが増えてきています。
そこで今回は、その若者の間で増えているという若年性脳梗塞について考えていきましょう。
―若年性脳梗塞とは?―
若年性脳梗塞とは名前の通り、若い人たちが発症する脳梗塞のことを指します。
はっきりとした年齢は未だに分かりませんが、35歳から45歳くらいで発症するものと言われています。
しかし、軽傷であれば10代、20代でも起こりうる可能性があります。
この若年性脳梗塞は脳梗塞全体の3%程度でしかありませんが、ここ10年間で患者が一気に増えてきており、その数何と1.5倍と言われています。
若年性脳梗塞という言葉がある以上、若者も脳梗塞には十分注意して生活していかなければならないのです。
―若年性脳梗塞になる原因―
お年寄りがなる脳梗塞は、先にも述べたように動脈が閉塞してしまうことや、心臓に血液が行き渡らなくなることで心臓の機能が停止してしまう心房細動が主な原因と言われています。
しかし、若年性脳梗塞の原因はこれらとは異なり、「奇異性脳塞栓症」「脳動脈解離」などが大きな原因として挙げられています。
これらはいったいどういった症状なのか、詳しく見ていきましょう。
①「奇異性脳塞栓症」
心臓内には、左心系と右心系をつなぐように空いている乱円孔と呼ばれる穴があります。
通常は生まれてから数日で閉じるのですが、それが空いてしまっていると、静脈で作られた血栓が左心系に流れ込んでしまいます。
血液は基本左心系から右心系に流れるので、左心系に血液が流れ脳動脈に到達してしまうと脳梗塞になってしまいます。
健康な成人の約1割から2割はこの乱円孔が空いたままだと言われているので、健康な人でも注意が必要です。
②脳動脈解離
血管の内側から動脈の壁に小さな裂け目ができることがあります。
それが広がり、血管の壁が2つに分離することを動脈解離と言います。
脳動脈解離とは、これが脳動脈で起こったものを指します。
解離してしまうことで本来動脈血が流れるはずの血管が閉塞してしまったり、ここでできた血栓が脳の血管に流れ込んでしまったりすると、脳梗塞を発症してしまう可能性があります。
若年性脳梗塞の原因は他にも「脳動静脈奇形」「もやもや病」などが言われています。
―若年性脳梗塞によって起こる症状―
では、若年性脳梗塞を発症するとどのような症状が出るのでしょうか?
代表的な症状がこちらです。
・意識障害
・一側のしびれ
・片側の失明、麻痺
・言語障害
・失語や失認などの高次機能障害
・歩行時のつまづきやよろめき
・めまいや平衡感覚の悪化
また、これらの症状は個人で異なりますが、高確率で後遺症を持つと言われています。
―若年性脳梗塞の前兆を見逃さない―
若年性脳梗塞を発症する前には、「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ばれる軽い脳梗塞の症状が見られることが多いです。
これに気付くことができれば、若年性脳梗塞であることに早く気付くことができるので、症状が悪化する前に病院で受診することができます。
これから出てくる症状が1週間から1ヶ月の間に1つでもあればTIAである可能性が高いので、早めの受診を勧めます。
・原因不明の激しい痛みを頭や首に感じることがある
・足がふらつきまっすぐ歩くことができず、平坦なところやちょっとした段差でもつまづいてしまうことがある
・手足がしびれたり動かしたりすることが困難で、ものを落としてしまうことがある
・視野が悪くなる、片側が見えなかったり二重に見えたりする
・ろれつが回らない、言葉が出てこなかったり意味が分からなくなったりする
特に1つ目は、先ほど述べた脳動脈解離を起こした時に見られる症状でもあるので注意が必要です。
若年性脳梗塞は、症状を悪化させないためにも早めに気付くことが重要です。
―発症を防ぐには―
若年性脳梗塞のみに関わらず、どの病気においても発症させないことが1番です。
ここでは若年性脳梗塞の発症を防ぐ方法について見ていきましょう。
①スポーツや運動はほどほどにする
脳梗塞は生活習慣病の1つなので運動することは発症を防ぐうえで非常に重要なのですが、過度な運動はあまりしない方が良いでしょう。
また、運動する際には準備運動をしっかりしたり水分補給をしたりすることを心がけましょう。
水分不足は若年性脳梗塞を発症する可能性があります。
汗をかくことが多いスポーツや運動には、水分補給が非常に大事になります。
②バランスのとれた食生活を意識して生活する
若い人は、コンビニ弁当や外食などで食事を済ませてしまうことが多いです。
その結果バランスの悪い食生活を送ってしまい、若年性脳梗塞を発症してしまうというケースもあります。
若い人は炭水化物や脂質を取りすぎてしまう傾向にあるので、野菜をたくさんとることを心がけると発症を防ぐことができます。
また、肉より魚、洋食より和食を選ぶのも発症を防ぐ1つの方法です。
これらのことを意識して日々生活を送ることができれば、若年性脳梗塞の発症を防ぐことができます。
―まとめ―
ここまで若年性脳梗塞について見てきましたが、いかがでしたか?
非常に恐ろしい病気なので、絶対発症させないことを意識して日々の生活を送ってくださいね。