【コラム】地震・台風に役立たず、国民安全処の存在価値とは

【コラム】地震・台風に役立たず、国民安全処の存在価値とは

 台風18号が蔚山市を直撃した今月5日、住民の救出に向かった蔚山温山消防署所属のカン・キボン消防官(30)が昼12時10分ごろ水に流され行方不明になった。この日、蔚山市では台風の影響で朝から雨や風が激しく、市内各地の道路や住宅では浸水被害が発生した。道路の場合、ひどい所では大人の腰のあたりまで水位が上がり、低い土地の住宅地では住民が急いで屋上に避難していた。市内を流れる太和江の下流にある現代自動車蔚山工場も正午ごろに浸水被害が発生し、稼働を中断した。

 ところが住民が緊急避難メールを受けた時間は昼12時30分ごろ。その時は各地ですでに洪水が発生し、住民は屋上に避難して雨風にさらされていた。ある住民は「テレビでは朝から現場の実況中継をしていたが、メールが届いたのは周りで洪水が発生してからかなり過ぎてからだ。国民安全処(庁に相当)は本当に仕事をしているのか」と怒りをぶちまけた。これに対して国民安全処は「洛東江洪水統制所から太和江はん濫警戒情報が送られたのは12時13分だったので、メールの発送が遅れた」など責任逃れのコメントばかりだった。濁流に流され行方不明となったカンさんは翌日遺体で発見された。

 国民安全処は先月12日、慶尚北道慶州市にマグニチュード5.0強の地震が発生した時も、緊急避難メールを送ったのは最初の揺れから10分後だった。当時、国民安全処の内部では「韓半島(朝鮮半島)で地震が発生することはほとんどなかったため、対応に問題があったのはやむを得ない」という雰囲気だったが、その一方で「台風には徹底した備えができている。昨年は台風が来なかったので、われわれの力を発揮できなかった」との声も出ていたという。ところが国民安全処は自信があったはずの台風への備えやその後の対応でも問題を露呈してしまった。

社会部=キム・ジョンファン記者
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