今月1日の「国軍の日」に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が北朝鮮住民に脱北を呼びかけ、また脱北者全員を受け入れる意向を示す発言などが相次ぐ中、韓国政府は大量の脱北に備えた対応策をとりまとめる作業を内部で行っていることが7日までにわかった。北朝鮮が核兵器開発を完了する前に、金正恩(キム・ジョンウン)政権の崩壊を積極的に後押しする必要があるとの指摘が与党などから出ているが、これらの発言が政府の動きに影響したかにも注目が集まっている。
北朝鮮の崩壊やそれに近い事態が発生した場合、短期間におよそ10万人の脱北者が発生すると韓国政府は予想している。そのため韓国政府はこれらの脱北者を収容するため「10万人脱北村」を建設する計画を進めているという。「脱北者の全員収容」を原則に、10人のうち4万3000人は廃校や体育館などすでにある施設や建物に、残りの5万7000人は臨時の建物などに分散して収容することが主な内容となっている。政府はこの脱北村建設に2兆ウォン(約1800億円)以上の予算が必要と試算しているという。韓国政府の関係者はこの日「ダムに亀裂がみつかれば、洪水に備えるのは当然だ」とした上で「現時点で大規模脱北が起こる徴候はないが、エリート層の相次ぐ脱北で北朝鮮指導部に亀裂が入っているのは明らかなだけに、もしもの事態に備えておく必要はあるだろう」とコメントした。
別の政府筋は「韓米両国が北朝鮮の急変に備えてとりまとめた『作戦計画5029』や、有事に備えた『忠武計画』などにはいずれも脱北者収容計画が明記されているが、現時点ではこれらを整理する作業を行っている」と伝えた。大量の北朝鮮難民が休戦ラインを越えて韓国にやって来た場合、統一部(省に相当、以下同じ)は地方自治体などと協力し、首都圏周辺の廃校を難民収容施設として活用する方針を定めている。
一方で脱北者が中朝国境や中ロ国境地帯に流れ込む可能性も高いことから、韓国政府は現在の朴槿恵政権発足直後、一連の事態に備えるためモンゴルなどと脱北村建設計画について水面下で意見交換をしてきたこともわかった。ある外交筋は「北朝鮮の突然の崩壊を念頭に、中国の軍部などとも極秘に意見交換しようとしたことがある。しかし中国は脱北者対策のとりまとめを拒否したと聞いている」などと明らかにした。
外交部の関係者は「3-4人の外交官がいる小規模の海外公館にも脱北者を受け入れるための空間を確保してある」「中国や東南アジアなどよく知られた脱北ルートの他にも、中東やアフリカのように北朝鮮労働者がいる地域であれば、どこでも脱北者が出てくる可能性があるからだ」とコメントした。