2016年10月13日07:00
誰をファーストにするのか、見失うな！
東京ケチケチ五輪をめぐる悶着。僕がここで何を言おうが、最終決定にナノレベルの影響も与えないのでしょうが、都民として、スポーツによって生かされている者として、言わずにはいられません。たとえ反映されないとしても、自分の意見を思うがままに言う自由はあるはずです。
そもそも今回の五輪で、東京は何を求めていたのか。
ケチの風に背筋をすぼめながら、僕は2013年の招致プレゼンを改めて振り返りました。プレゼンテーション冒頭に登場した高円宮妃久子さまは、まず東日本大震災の被災地支援に対する「感謝」を述べられていました。支援の要請ではなく、感謝を述べられていました。
登場するアスリートや招致委員は、オリンピック・ムーブメントの素晴らしさ、そこで得られた人生の輝きを讃えました。そして、その素晴らしいムーブメントを自らの都市で開催する期待に胸を躍らせていました。自らの都市で行なわれる五輪は、都心と融合し、安全で快適な空間を約束し、最高のおもてなしによる、生涯忘れ得ぬ思い出になるだろうと、誇らしげに語ったのです。
そこにあるのは見返りを求める損得勘定ではなく、感謝とおもてなしの心です。「お・も・て・な・し」です。
唯一、東京に残るものとして挙げられたのはレガシー。レガシーとは建築物や国家を挙げて推進したプロジェクトのことだけではありません。それと共に生きた「人間」に宿る喜びであり、感動であり、よりよい未来を模索する想像力です。1964年東京大会を含む、これまでの幾多の大会で享受してきた価値を、今度は発信者として世界に届け、同時に最大の享受者として受け止める。未来都市・東京を作る。それが東京の目指した五輪です。
2011年の大きな痛みに影響された部分はもちろんありますし、それゆえに五輪を求める機運が高まったことは確かです。しかし、東京が約束したのは、傷跡を見せつけるための集いではありません。「素晴らしい大会」を約束したのです。そして、その素晴らしさは間接的に、どんな耐えがたいことの先にも素晴らしい未来があるのだと示すはずなのです。
↓何故、東京五輪の引き継ぎ式が「ARIGATO」から始まるのか？それが東京の心だからだ！
「HELP」から始まる大会ではない！
ましてや「めんどくさいし金もかかるしバカバカしいけど約束しちゃった手前引くに引けないからなるべく金かかんないようにやりますわ金くれ」という心で始まる大会などではない！
一連のケチケチ議論を眺める中で感じるのは、「感謝とおもてなし」の心が失われているということ。儲けを求めたり、目先の損得勘定をしたり、目線が低くなっているように思います。金でしか価値を判断できない、小さい人間だなぁと思います。金なんて、所詮金。金で買えないものまで測ることなんてできません。
東京五輪・パラリンピックの生み出す価値は、もうすでに僕らの中にあるのです。2020年を目指すアスリートたちの情熱。2020年に備える政治の決断。2020年への期待でワクワクする僕のこの胸。開催決定から7年、これから4年、この時間のすべてが五輪のもたらすレガシーになるのです。
夢や目標のない人生はつまらない。それは国や都市として同じこと。2020年東京五輪・パラリンピックを目指すという行為が、それ自体大いなるレガシーを東京と日本にもたらすのです。少子高齢化だの経済右肩下がりだのと言っている停滞感を吹き飛ばす、夢・目標・希望なのです。
僕が7年間ワクワクしつづけることの価値や、その先の50年の人生で思い出に浸ることの価値は、都政改革本部の金勘定には絶対に入っていません。僕らはすでにたくさんのものを得ており、五輪・パラリンピックではそれを感謝の心で世界にお戻しする立場なのです。
↓リオ五輪を経て銀座に集った80万人！これだけの人を動かし、幸せな気持ちにさせたことも、金勘定できない価値なのだ！
地球の裏側でやってもコレなんだから、自分とこでやったらどこまでのものになるのか！
3兆円でも安いくらいだ！
3兆円なんて「3億円ずつ1万人に配ったら」おしまいだぞ！
普通に使えば、1万人しか幸せにならない程度の金額だ！
逆の立場になってみます。
僕がボート・カヌーの選手で、20余年に渡る研鑽を積み、世界のトップにふさわしいチカラを身につけ、夢の舞台に立つというとき。東京五輪だと聞いてやってきた場所が、宮城県登米市だったらどう思うか。「東京じゃねぇぇぇ！」「遠っ！成田空港から東北新幹線くりこま高原駅まで4時間！さらにクルマで30分！遠っ！」「ココ何にもねぇぇぇぇぇぇぇ！」と大自然に向かって叫ぶでしょう。
くりこま高原駅なんて、僕が実家に帰るときに乗る新幹線の車中で「この駅いらないなー」って毎回言う場所じゃないですか。何にもないですよ。各駅停車しか止まらないし。乗客もいないし。降りる客を見た記憶もない。そんなところに運ばれていく選手や応援団の気持ちたるや。街には五輪感など微塵もなく、ホテルもろくすっぽない。東京の文化などあるはずもなく、選手村ともメインスタジアムとも縁がない。ただただボートとカヌーやって帰るだけ。
「登米五輪」だと言うなら、開催都市の思い出として価値もあるのでしょうが、「東京五輪」なのに東京にいないなんて意味不明です。「お父さんは東京五輪に出たんだぞ」「パパ、東京はどんなところだったの！」「うん、東京は見てなくてね、見たのは登米だよ」なんて会話をするのでしょうか。一生に一度の晴れ舞台を、ちょっとのケチ臭さで台無しにしてしまうのだと思うと、申し訳なくて涙が出ます。そこに「感謝とおもてなし」の心はあるのでしょうか。僕が逆の立場なら絶対にイヤです！絶対に絶対にイヤです！
↓でも、くりこま高原駅前にはイオンがあるよ！イオンにおいでよ！
東京では探すのが大変なイオンが駅前にドーンとある！
イオンの思い出だけを胸に凱旋するアスリートたちの姿が見える！
何でもかんでも新しくすればいいとは僕も思いません。ただ、何でもかんでもケチることが正しいとも思わない。僕は、東京五輪に備えて、過去のレガシーや、東京大会で使用される予定の会場を見てまわっています。1964年東京大会のボート競技会場となった、埼玉県戸田市の戸田漕艇場にも行きました。
五輪から50年あまりが経過した今も、現地には五輪の息吹がありました。オリンピック通りと名づけられた道路。ボートの絵を埋め込んだ舗道。2000メートルの水面を囲むようにして立ち並ぶ、大学・企業の漕艇部合宿所。何艘ものボートが並び、たくさんの若者が競技に取り組んでいました。
↓戸田漕艇場の水面を挟んで立ち並ぶ合宿所、出番を待つボート。
↓道路にはオリンピック通りと名がついた。
↓ボートの街というアイデンティティー。
↓コース脇には1964年大会の漕艇場用聖火台が今も残る。
↓青春そのもののような活動が今もこの地で行なわれている。
こういうのが「レガシー」の姿だと思うんです。施設が核となるのは確かですが、そこに集う人がいなければタダの建造物です。都心からもほど近い場所にあるからこそ、大学の漕艇部が気軽に活動できるワケじゃないですか。大学がたくさんある東京で、気軽に練習できる場所があるから、ココは今も栄えているわけじゃないですか。日本ボート協会の発表する2016年度国内大会日程を見ても、戸田での開催は5大会あるのに対して、登米での開催は1大会のみです。今も戸田がボートの中心地なのです。
代々木第一体育館も、東京体育館も、駒沢公園も、日本武道館も、1964年東京五輪が遺したものです。今も国際的スポーツ大会や、大規模コンサート、ジョギングやレクリエーションでにぎわうヒトの集う場所です。スポーツとともに過ごし、それで人生を豊かにするということに50年あまり貢献しつづけ、いまだに最前線で活躍する素晴らしいレガシーたちです。1964年東京五輪がなければ、東京はこんなにスポーツを享受できなかったでしょう。
目先ではなく50年先を見てほしい。50年先に素晴らしい暮らしが広がっているように、今の決断を慎重にしてほしい。本当に、その金をケチることのほうが得なのか。招致プレゼンの精神にも通ずるものですが、ハコよりもヒトなんです。ヒトがいて、ヒトが使いやすいものでなければ、どんな立派なハコでも意味がない。東京五輪という最大級の機会を得たのに、年に数回頑張って行くような場所にハコだけ遺されるなんて、「ボートもカヌーもどうでもいい」が本音であったとしても、あまりに酷じゃないでしょうか。
サッカーのように「日程を消化するには遠くの会場も使わないと無理です」ということならば妥協もできます。各国最低3試合を戦うなかでローテーションで遠隔地と東京を行き来したっていいのですから。しかし、東京と全然違う場所だけで東京五輪をやるというのは、博多どんたくを伯方でやるくらいナンセンスです。そんな祭りに呼ばれるアスリートがどれだけ嘆き、「コレジャナイ」と悲しむか。
↓宮城県知事と東京都知事だけが「できる！」「やれそう！」と盛り上がり、カヌー選手は「絶対イヤ」だと言い放つ登米案！
仮設スタンドだけじゃなく、道路整備、公共交通整備、シャトルバス整備、ホテル整備、メシ屋整備…くりこま高原にないものをこれから全部用意するんだぞ！
外国人観光客の受け入れはできるのか？
フリーWi-Fiを地域一帯に飛ばせるのか？
パラリンピックへの対応のことは考えているのか？
全然何も考えず勢いだけで言っているだろ！
「田舎で大規模大会をやるのは無理だから止めろ」と何回言わせる！
どうしても宮城県でやりたいなら仙台市内にボート場を作れ！
すでに東京ケチケチ五輪はいくつものケチを断行しています。幕張メッセに飛ばされたレスリングやフェンシング、さいたまスーパーアリーナに飛ばされたバスケはまだいい。江ノ島のヨットハーバーに追いやられたセーリングも、ギリいいとしましょう。そこまでは東京っちゃ東京かもしれない。日帰りで出掛ける距離感ですし、わりと行きます。江ノ島は楽しい。
しかし、自転車競技が静岡県伊豆市に飛ばされたのは、もはや東京五輪ではありません。僕も試しに会場となる伊豆ベロドロームに行ってみたところ、朝の8時頃に家を出て、新幹線と在来線を乗り継ぎ、競技会場に到達したのは11時30分頃。すべての電車・道路がガラガラという状態でもたっぷり3時間半ほど掛かりました。
時間もさることながら、それ以上に当地の過疎感が凄まじかった。駅前の廃屋と見まがう定食屋や、滅びゆく温泉街の残骸、廃墟と見間違うような遊園地。競技場は確かに立派だったけれども、競技場以外は何もなく、「東京五輪」でイメージされるものとは程遠かった。それをさらに上回る、くりこま高原なんて話が出てこようとは。いっそ、札幌か博多に飛んでもらったほうが、アスリートのためになるんじゃないかと思います。
↓コチラが東京五輪の自転車競技会場である伊豆ベロドローム。
↓競技場の中は、めちゃくちゃ立派！
↓しかし、競技場周辺はこんな感じ。
↓競技場の目の前には廃墟みたいな遊園地（営業中）もあるぞ！
小池都知事は東京ケチケチ五輪問題を語るにあたって「都民ファースト、アスリートファースト」という方針を掲げていました。僕は、それがまったくもって見当違いだと思っています。「アスリートファースト、都民ラスト」こそがあるべき姿。人生を賭してやってくるアスリートに最高の環境を用意し、それを見守る喜びを最後に都民がいただくのです。
本当に「東京五輪を宮城県登米市でやる」ことがアスリートファーストになるのか、それだけを考えて判断してもらいたい。そこでやることが最高の大会になるのか。50年先に残るレガシーとなるのか。都民のことだけを考え始めたら、「アスリートからも金を取ろう」「宿泊代は1泊3万円です」「メシがタダなワケないだろ！」みたいな無制限の金クレになっても不思議はない。「感謝とおもてなし」は都民ファーストじゃダメなのです。
「東京五輪」として提供されるものを、すべてのオリンピアン・パラリンピアンに等しく享受してもらう。それは最低限守るべきラインなんじゃないでしょうか。「ボートとかカヌーなんてどうでもいいから、遠くの安上がり会場でやらせよう」というボート・カヌー差別主義者たちが、パラリンピックのときだけいけしゃーしゃーと「すべての人々にスポーツの喜びを！」とか言うのでしょうか。すごく恥ずかしいことを検討しているのだと、早く理解してほしいものです。最低限のラインを守ったうえでギリギリまで無駄な出費を省くことを、僕らは「節約」と呼ぶのです。目指せ、東京節約五輪。
僕も船はわりとどうでもいいですが、ボート・カヌー差別には断固反対です！
東京ケチケチ五輪をめぐる悶着。僕がここで何を言おうが、最終決定にナノレベルの影響も与えないのでしょうが、都民として、スポーツによって生かされている者として、言わずにはいられません。たとえ反映されないとしても、自分の意見を思うがままに言う自由はあるはずです。
そもそも今回の五輪で、東京は何を求めていたのか。
ケチの風に背筋をすぼめながら、僕は2013年の招致プレゼンを改めて振り返りました。プレゼンテーション冒頭に登場した高円宮妃久子さまは、まず東日本大震災の被災地支援に対する「感謝」を述べられていました。支援の要請ではなく、感謝を述べられていました。
登場するアスリートや招致委員は、オリンピック・ムーブメントの素晴らしさ、そこで得られた人生の輝きを讃えました。そして、その素晴らしいムーブメントを自らの都市で開催する期待に胸を躍らせていました。自らの都市で行なわれる五輪は、都心と融合し、安全で快適な空間を約束し、最高のおもてなしによる、生涯忘れ得ぬ思い出になるだろうと、誇らしげに語ったのです。
そこにあるのは見返りを求める損得勘定ではなく、感謝とおもてなしの心です。「お・も・て・な・し」です。
唯一、東京に残るものとして挙げられたのはレガシー。レガシーとは建築物や国家を挙げて推進したプロジェクトのことだけではありません。それと共に生きた「人間」に宿る喜びであり、感動であり、よりよい未来を模索する想像力です。1964年東京大会を含む、これまでの幾多の大会で享受してきた価値を、今度は発信者として世界に届け、同時に最大の享受者として受け止める。未来都市・東京を作る。それが東京の目指した五輪です。
2011年の大きな痛みに影響された部分はもちろんありますし、それゆえに五輪を求める機運が高まったことは確かです。しかし、東京が約束したのは、傷跡を見せつけるための集いではありません。「素晴らしい大会」を約束したのです。そして、その素晴らしさは間接的に、どんな耐えがたいことの先にも素晴らしい未来があるのだと示すはずなのです。
↓何故、東京五輪の引き継ぎ式が「ARIGATO」から始まるのか？それが東京の心だからだ！
「HELP」から始まる大会ではない！
ましてや「めんどくさいし金もかかるしバカバカしいけど約束しちゃった手前引くに引けないからなるべく金かかんないようにやりますわ金くれ」という心で始まる大会などではない！
価格:1,512円 |
一連のケチケチ議論を眺める中で感じるのは、「感謝とおもてなし」の心が失われているということ。儲けを求めたり、目先の損得勘定をしたり、目線が低くなっているように思います。金でしか価値を判断できない、小さい人間だなぁと思います。金なんて、所詮金。金で買えないものまで測ることなんてできません。
東京五輪・パラリンピックの生み出す価値は、もうすでに僕らの中にあるのです。2020年を目指すアスリートたちの情熱。2020年に備える政治の決断。2020年への期待でワクワクする僕のこの胸。開催決定から7年、これから4年、この時間のすべてが五輪のもたらすレガシーになるのです。
夢や目標のない人生はつまらない。それは国や都市として同じこと。2020年東京五輪・パラリンピックを目指すという行為が、それ自体大いなるレガシーを東京と日本にもたらすのです。少子高齢化だの経済右肩下がりだのと言っている停滞感を吹き飛ばす、夢・目標・希望なのです。
僕が7年間ワクワクしつづけることの価値や、その先の50年の人生で思い出に浸ることの価値は、都政改革本部の金勘定には絶対に入っていません。僕らはすでにたくさんのものを得ており、五輪・パラリンピックではそれを感謝の心で世界にお戻しする立場なのです。
↓リオ五輪を経て銀座に集った80万人！これだけの人を動かし、幸せな気持ちにさせたことも、金勘定できない価値なのだ！
https://t.co/Q7FPPEU4th
— 毎日新聞写真部 (@mainichiphoto) 2016年10月7日
リオ五輪・パラリンピックのメダリストたちが銀座をパレード。沿道には多くのファンが駆けつけました。写真特集で。https://t.co/2KEAKLNB07 pic.twitter.com/DAChg8Mb5V
地球の裏側でやってもコレなんだから、自分とこでやったらどこまでのものになるのか！
3兆円でも安いくらいだ！
3兆円なんて「3億円ずつ1万人に配ったら」おしまいだぞ！
普通に使えば、1万人しか幸せにならない程度の金額だ！
夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ。 / 高橋歩 【単行本】 価格:1,512円 |
逆の立場になってみます。
僕がボート・カヌーの選手で、20余年に渡る研鑽を積み、世界のトップにふさわしいチカラを身につけ、夢の舞台に立つというとき。東京五輪だと聞いてやってきた場所が、宮城県登米市だったらどう思うか。「東京じゃねぇぇぇ！」「遠っ！成田空港から東北新幹線くりこま高原駅まで4時間！さらにクルマで30分！遠っ！」「ココ何にもねぇぇぇぇぇぇぇ！」と大自然に向かって叫ぶでしょう。
くりこま高原駅なんて、僕が実家に帰るときに乗る新幹線の車中で「この駅いらないなー」って毎回言う場所じゃないですか。何にもないですよ。各駅停車しか止まらないし。乗客もいないし。降りる客を見た記憶もない。そんなところに運ばれていく選手や応援団の気持ちたるや。街には五輪感など微塵もなく、ホテルもろくすっぽない。東京の文化などあるはずもなく、選手村ともメインスタジアムとも縁がない。ただただボートとカヌーやって帰るだけ。
「登米五輪」だと言うなら、開催都市の思い出として価値もあるのでしょうが、「東京五輪」なのに東京にいないなんて意味不明です。「お父さんは東京五輪に出たんだぞ」「パパ、東京はどんなところだったの！」「うん、東京は見てなくてね、見たのは登米だよ」なんて会話をするのでしょうか。一生に一度の晴れ舞台を、ちょっとのケチ臭さで台無しにしてしまうのだと思うと、申し訳なくて涙が出ます。そこに「感謝とおもてなし」の心はあるのでしょうか。僕が逆の立場なら絶対にイヤです！絶対に絶対にイヤです！
↓でも、くりこま高原駅前にはイオンがあるよ！イオンにおいでよ！
くりこま高原着いたー pic.twitter.com/5MqM6qHqQs
— サッチモ (@Tomo_sayaendo) 2016年10月1日
東京では探すのが大変なイオンが駅前にドーンとある！
イオンの思い出だけを胸に凱旋するアスリートたちの姿が見える！
何でもかんでも新しくすればいいとは僕も思いません。ただ、何でもかんでもケチることが正しいとも思わない。僕は、東京五輪に備えて、過去のレガシーや、東京大会で使用される予定の会場を見てまわっています。1964年東京大会のボート競技会場となった、埼玉県戸田市の戸田漕艇場にも行きました。
五輪から50年あまりが経過した今も、現地には五輪の息吹がありました。オリンピック通りと名づけられた道路。ボートの絵を埋め込んだ舗道。2000メートルの水面を囲むようにして立ち並ぶ、大学・企業の漕艇部合宿所。何艘ものボートが並び、たくさんの若者が競技に取り組んでいました。
↓戸田漕艇場の水面を挟んで立ち並ぶ合宿所、出番を待つボート。
↓道路にはオリンピック通りと名がついた。
↓ボートの街というアイデンティティー。
↓コース脇には1964年大会の漕艇場用聖火台が今も残る。
↓青春そのもののような活動が今もこの地で行なわれている。
こういうのが「レガシー」の姿だと思うんです。施設が核となるのは確かですが、そこに集う人がいなければタダの建造物です。都心からもほど近い場所にあるからこそ、大学の漕艇部が気軽に活動できるワケじゃないですか。大学がたくさんある東京で、気軽に練習できる場所があるから、ココは今も栄えているわけじゃないですか。日本ボート協会の発表する2016年度国内大会日程を見ても、戸田での開催は5大会あるのに対して、登米での開催は1大会のみです。今も戸田がボートの中心地なのです。
代々木第一体育館も、東京体育館も、駒沢公園も、日本武道館も、1964年東京五輪が遺したものです。今も国際的スポーツ大会や、大規模コンサート、ジョギングやレクリエーションでにぎわうヒトの集う場所です。スポーツとともに過ごし、それで人生を豊かにするということに50年あまり貢献しつづけ、いまだに最前線で活躍する素晴らしいレガシーたちです。1964年東京五輪がなければ、東京はこんなにスポーツを享受できなかったでしょう。
目先ではなく50年先を見てほしい。50年先に素晴らしい暮らしが広がっているように、今の決断を慎重にしてほしい。本当に、その金をケチることのほうが得なのか。招致プレゼンの精神にも通ずるものですが、ハコよりもヒトなんです。ヒトがいて、ヒトが使いやすいものでなければ、どんな立派なハコでも意味がない。東京五輪という最大級の機会を得たのに、年に数回頑張って行くような場所にハコだけ遺されるなんて、「ボートもカヌーもどうでもいい」が本音であったとしても、あまりに酷じゃないでしょうか。
サッカーのように「日程を消化するには遠くの会場も使わないと無理です」ということならば妥協もできます。各国最低3試合を戦うなかでローテーションで遠隔地と東京を行き来したっていいのですから。しかし、東京と全然違う場所だけで東京五輪をやるというのは、博多どんたくを伯方でやるくらいナンセンスです。そんな祭りに呼ばれるアスリートがどれだけ嘆き、「コレジャナイ」と悲しむか。
↓宮城県知事と東京都知事だけが「できる！」「やれそう！」と盛り上がり、カヌー選手は「絶対イヤ」だと言い放つ登米案！
仮設スタンドだけじゃなく、道路整備、公共交通整備、シャトルバス整備、ホテル整備、メシ屋整備…くりこま高原にないものをこれから全部用意するんだぞ！
外国人観光客の受け入れはできるのか？
フリーWi-Fiを地域一帯に飛ばせるのか？
パラリンピックへの対応のことは考えているのか？
全然何も考えず勢いだけで言っているだろ！
「田舎で大規模大会をやるのは無理だから止めろ」と何回言わせる！
どうしても宮城県でやりたいなら仙台市内にボート場を作れ！
価格:712円 |
すでに東京ケチケチ五輪はいくつものケチを断行しています。幕張メッセに飛ばされたレスリングやフェンシング、さいたまスーパーアリーナに飛ばされたバスケはまだいい。江ノ島のヨットハーバーに追いやられたセーリングも、ギリいいとしましょう。そこまでは東京っちゃ東京かもしれない。日帰りで出掛ける距離感ですし、わりと行きます。江ノ島は楽しい。
しかし、自転車競技が静岡県伊豆市に飛ばされたのは、もはや東京五輪ではありません。僕も試しに会場となる伊豆ベロドロームに行ってみたところ、朝の8時頃に家を出て、新幹線と在来線を乗り継ぎ、競技会場に到達したのは11時30分頃。すべての電車・道路がガラガラという状態でもたっぷり3時間半ほど掛かりました。
時間もさることながら、それ以上に当地の過疎感が凄まじかった。駅前の廃屋と見まがう定食屋や、滅びゆく温泉街の残骸、廃墟と見間違うような遊園地。競技場は確かに立派だったけれども、競技場以外は何もなく、「東京五輪」でイメージされるものとは程遠かった。それをさらに上回る、くりこま高原なんて話が出てこようとは。いっそ、札幌か博多に飛んでもらったほうが、アスリートのためになるんじゃないかと思います。
↓コチラが東京五輪の自転車競技会場である伊豆ベロドローム。
↓競技場の中は、めちゃくちゃ立派！
↓しかし、競技場周辺はこんな感じ。
↓競技場の目の前には廃墟みたいな遊園地（営業中）もあるぞ！
小池都知事は東京ケチケチ五輪問題を語るにあたって「都民ファースト、アスリートファースト」という方針を掲げていました。僕は、それがまったくもって見当違いだと思っています。「アスリートファースト、都民ラスト」こそがあるべき姿。人生を賭してやってくるアスリートに最高の環境を用意し、それを見守る喜びを最後に都民がいただくのです。
本当に「東京五輪を宮城県登米市でやる」ことがアスリートファーストになるのか、それだけを考えて判断してもらいたい。そこでやることが最高の大会になるのか。50年先に残るレガシーとなるのか。都民のことだけを考え始めたら、「アスリートからも金を取ろう」「宿泊代は1泊3万円です」「メシがタダなワケないだろ！」みたいな無制限の金クレになっても不思議はない。「感謝とおもてなし」は都民ファーストじゃダメなのです。
「東京五輪」として提供されるものを、すべてのオリンピアン・パラリンピアンに等しく享受してもらう。それは最低限守るべきラインなんじゃないでしょうか。「ボートとかカヌーなんてどうでもいいから、遠くの安上がり会場でやらせよう」というボート・カヌー差別主義者たちが、パラリンピックのときだけいけしゃーしゃーと「すべての人々にスポーツの喜びを！」とか言うのでしょうか。すごく恥ずかしいことを検討しているのだと、早く理解してほしいものです。最低限のラインを守ったうえでギリギリまで無駄な出費を省くことを、僕らは「節約」と呼ぶのです。目指せ、東京節約五輪。
僕も船はわりとどうでもいいですが、ボート・カヌー差別には断固反対です！
長沼が遠いとか この駅は要らないとか 閑散としてるとか そっちの方が差別に聞こえる。
長沼で開催されれば 東北が元気になって 手付かずの復興も進むかもしれない
長沼でかんどう