釜山港で昨年処理された積み替え貨物はコンテナ1010万個ほどだったが、このうち150万個(約15%)を韓進海運とその同盟海運企業が担った。韓進海運がいなくなれば、その分の貨物は中国やシンガポールなどにいってしまう可能性が高い。アジア-米州路線に強みを持っていた韓進海運がいないのに、外国の海運会社が釜山港に入ってくる理由はないためだ。世界13位の韓国の現代商船が韓進海運の代わりを務めるのは容易ではない。
韓国の海運業が荒波にもまれているのをよそに、中国国有の海運最大手、中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)は先月末、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビにあるハリファ港の埠頭(ふとう)利用権を取得し、ターミナルを建設して35年間運営する内容の7億3800万ドル(約760億円)規模の契約を結んだ。コスコの港湾開発は単なるビジネス判断によるものではない。中国の習近平国家主席が2013年「周辺地域の経済を統合し、物流の中心地となる」ことを目指して掲げた「一帯一路(新シルクロード)」構想を実現するためのものだ。
中国がこうした巨大なプロジェクトを一つ一つ実現していく間、韓国は韓進海運の事態にあえぐばかりだった。そして、まだその打開策さえ探せずにいる。その政府が釜山港を「世界2位のハブ港」に発展させられるのだろうか。韓進海運の破綻で多額の損失を出した外国の船が、韓国の政府と海運会社を信じて再び釜山港に戻ってくるだろうか。