【コラム】韓国政府の釜山港育成計画はむなしいギャク

 数日前に電話で話した海運専門の韓国中小物流会社の取締役は、記者に出し抜けに「政府の『むなしいギャク』を見たか」と尋ねてきた。先月29日、韓国海洋水産部(省に相当)が発表した「第3次全国港湾計画修正案」についての話だった。この計画の中核は、釜山港を「世界2位のコンテナ積み替えハブ」に育成するため荷役などを行う同港のコンテナバースを現在の21カ所から37カ所に増やすなど、全国59港湾の競争力強化に20年までに15兆ウォン(約1兆4000億円)を投じるというものだ。

 この取締役は、韓進グループは経営不振に陥っていた韓国海運最大手の韓進海運を立て直すため4000億ウォン(約370億円)を支援する計画を出したが、銀行団は7000億ウォン(約650億円)以上を要求したとし「結局、3000億ウォン(約280億円)の差で韓進海運が法定管理(会社更生法に相当)に入ったのに、15兆ウォンという数字を聞いてむなしい笑いがこみ上げた」と話した。

 港湾の競争力を画期的に高め、釜山港を真の「ハブ港」に育てられるなら、15兆ウォンは惜しいカネではないはずだ。名分がなければ3000億ウォンどころか3億ウォン(約2800万円)でも軽々しく使うことはできない。だが「国の基幹施設として港湾の競争力と効率性を高め、背後産業、海洋観光、再開発、環境、安全保障などさまざまな需要を反映する」という壮大な青写真を描いた政府なら、韓国1位、世界7位の海運会社をこんな風に対策なく経営破綻(はたん)させてはならなかった。

 さらに、今回の計画樹立には韓進海運破綻の影響が全く反映されていない。「積み替え」は近隣地域で小さな船に乗せて運んできた貨物を大きな船に移して長距離を輸送することだが、荷役作業が2倍に増えるため、それだけ付加価値創出効果が高い。

李性勲(イ・ソンフン)産業1部次長
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