読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

フィーライン・アイズ

「好きなものは好き」と主張するハイパーな雑記ブログ

銀河英雄伝説・第26話「さらば、遠き日」~マイン・フロイント、君は永久に輝く星となった~

銀河英雄伝説・本編

www.youtube.com

 

全体の概要についてはこちらをどうぞ

 

dic.nicovideo.jp

 

前回のおさらいはこちら

 

feline3594.hatenadiary.jp

 

まとめて観たい方はこのカテゴリへ

 

feline3594.hatenadiary.jp

 

第26話のあらすじ

 

ラインハルトはガイエスブルク要塞で、

リップシュタット戦役の祝勝記念式典を開き、

門閥貴族たちの捕虜引見に臨んでいた。

 

だが、ブラウンシュヴァイクの重臣であるアンスバッハが、

これに乗じてラインハルトを亡き者にしようとした。

 

彼はブラウンシュヴァイクの遺体ケースから、

ハンド・キャノンを取り出して暗殺を実行しようとする。

 

キルヒアイスは武器を持たずに丸腰だったが、

身を挺してラインハルトを庇うのだった。

 

アンスバッハは指輪に仕込んであった武器で、

キルヒアイスの胸を撃ち抜いてしまう。

 

事件を目撃したミッターマイヤーらは怒り狂うが、

アンスバッハは毒をあおって自決した。

 

キルヒアイスの傷はあまりにも深手で手の施しようがなく、

ラインハルトに遺言を残して息を引き取った。

 

大切な無二の友を失ったラインハルトは自失状態となり、

提督たちとの会議にも出られず、ただキルヒアイスのそばにいるだけだった。

 

そんななか。

 

オーディンを偵察していたオーベルシュタインが戻り、

キルヒアイスの死を利用して、帝国宰相・リヒテンラーデを退ける策を明かす。

 

この提案を受け入れたミッターマイヤーとロイエンタールらは、

オーディンに急行して一気に帝都を制圧した。

 

政敵であるリヒテンラーデを拘束したことによって、

ラインハルトはついに帝国の全権を掌握することに成功する。

 

だが彼は最愛の姉・アンネローゼとも、

思わぬ形で別れることになってしまうのだった-。

 

第26話の台詞

 

 アンスバッハ「ローエングラム侯!わが主君の敵、取らせていただく!!」

 

(ハンド・キャノンが放たれる)

(オーベルシュタインがラインハルトを庇う)

キルヒアイスがアンスバッハを止めるが、隠し武器で撃たれる)

 

ミッターマイヤー「何をするか!!」

ビッテンフェルト「貴様!!」

 

キルヒアイス、再び撃たれて倒れる)

 

ルッツ「キルヒアイス提督、お気を確かに!」

シュタインメッツ「提督・・・!」

ミッターマイヤー「医者だ!医者を呼べ!!」

キルヒアイス「・・・もう・・・遅い・・・」

 

(メックリンガーが悲しそうに首を振る)

(ミッターマイヤーが悔しがる)

 

アンスバッハ「ふはははは。ブラウンシュヴァイク公、お許しください。

このアンスバッハ、無能にも誓約を果たせませんでした。

金髪の襦子(こぞう)が地獄に堕ちるには、まだ何年かかかりそうです。

 

ケンプ「何を言うか、この痴れ物が!(アンスバッハを殴る)」

 

アンスバッハ「・・・ですが、せめてもの土産に、

襦子(こぞう)の半身をもぎ取って参ります。ヴァルハラにてお待ちください」

 

(中略)

 

ファーレンハイト「・・・愚かな真似を」

 

(中略)

 

(ラインハルトがキルヒアイスに近づく)

 

ラインハルト「・・・キルヒアイス

キルヒアイス「・・・ライン・・・ハルト様・・・ご無事です・・・か・・・?」

ラインハルト「・・・キルヒアイス、お前のお陰だ。見えないのか?!」

キルヒアイス「・・・もう・・・私は・・・

ラインハルト様のお役に立てそうもありません・・・お許しください・・・」

ラインハルト「ばか、何を言う。もうすぐ医者が来る。こんな傷はすぐ治る。

治ったら姉上の所に勝利の報告に行こう。なっ、そうしよう」

 

キルヒアイス「・・・ライン・・・ハルト様・・・」

ラインハルト「・・・医者が来るまで喋るな」

キルヒアイス「・・・宇宙を・・・手にお入れください・・・」

ラインハルト「ああ、ああ。もちろんだ。お前と一緒に」

キルヒアイス「それと、アンネローゼ様にお伝えください・・・

ジークは昔の誓いを守ったと・・・」

 

ラインハルト「嫌だ!おれはそんなことは伝えない!

お前の口から伝えるんだ。おまえ自身で!おれは伝えたりしないぞ。

いいか、一緒に姉さんの所に行くんだ。キルヒアイス!」

 

キルヒアイス静かに目を閉じる)

 

ラインハルト「ああ・・・(激しく首を振る)キルヒアイス、返事をしろ!

キルヒアイス!なぜ黙っている?!キルヒアイス!!」

ミッターマイヤー「・・・駄目です。亡くなりました」

 

(ラインハルトが振り向く)

 

ミッターマイヤー「この上はせめて安らかに・・・」

ラインハルト「(恐ろしい表情で)嘘をつくな。ミッターマイヤー。

卿は嘘をついている。キルヒアイスが私を置いて先に死ぬわけはないんだ!

さあ、目を開けろ。キルヒアイス・・・・・・!!」

 

(中略)

 

ミュラー「・・・しかし、ローエングラム侯に、

あれほど脆いところがおありとは思わなかった」

ミッターマイヤー「違うな。ミュラー。俺や卿が死んでも、ああおなりではあるまい。

ジークフリード・キルヒアイスは特別だ。特別だった・・・

ローエングラム侯はいわば、ご自分自身の半分を失われたのだ。

それも、ご自分のミスで」

 

メックリンガー「・・・それを言っても仕方あるまい。問題はこれからどうするかだ」

ロイエンタール「ローエングラム侯には立ち直っていただく。

立ち直っていただかねばならぬ。

さもないと、我ら全員銀河の深淵に向かって、滅亡の歌を合唱することになる」

ビッテンフェルト「だが、どうすればいいのだ?どうやって立ち直っていただく」

ロイエンタール「あの男なら、何か打開策を持っているのではないか?」

 

(中略)

 

ミッターマイヤー「卿を敵に回したくはないものだ。勝てるはずがないからな」

 

オーベルシュタイン「リヒテンラーデ公は遅かれ早かれ排除せねばならん。

それはリヒテンラーデ側とて同じこと。

すでにローエングラム侯を排除する陰謀を巡らしているに違いないのだ」

 

ロイエンタール「まるっきり冤罪というわけではないか」

 

オーベルシュタイン「可能な限り迅速にオーディンに戻り、

リヒテンラーデ公を逮捕して国璽を奪うのだ。

それによってローエングラム侯の独裁権を確立できる。

権力とはそれを獲得した手段ではなく、いかに行使したかによって正当化されるのだ」

 

(中略)

 

ファーレンハイト「さっそくの汚名返上の機会だ。他の艦隊に遅れを取るな」

 

(中略)

 

リヒテンラーデ「無礼な。何の真似か!」

ロイエンタール「帝国宰相・リヒテンラーデ公、貴公を逮捕させていただく。

リヒテンラーデ「罪状は」

ロイエンタール「ローエングラム元帥閣下に対する暗殺未遂事件の主犯として」

リヒテンラーデ「馬鹿な。何の証拠があって」

ロイエンタール「この帝国で、罪科を問うのに証拠が必要とは知りませんでしたな」

リヒテンラーデ「何?」

ロイエンタール「閣下が奉じてこられた、

そうした体制に殉じていただく。本望でありましょう」

リヒテンラーデ「・・・・・・」

 

(中略)

 

ヒルダ「活気に満ちた時代が来そうね。少々騒がしいけど、

沈滞しているよりはるかにましだわ」

 

(中略)

 

オーベルシュタイン「閣下、私はあなたをまだ見放してはおりません。

ご自分を責めるばかりで、私に責任を押しつけようとなさらないのはご立派です。

ですが、これ以上過去ばかりをご覧になって、

未来に立ち向かおうとなさらないのならば、あなたもそれまでの人だ。

宇宙は他人の手に落ち、キルヒアイス提督がヴァルハラで情けなく思うことでしょう」

 

(中略)

 

アンネローゼ「かわいそうなラインハルト。

もう、失うべきものを何も持たなくなってしまったのね」

ラインハルト「・・・いいえ、私にはまだ姉上がいます。そうですね、姉上。そうでしょう?!」

 

アンネローゼ「そう、私たちはお互いのほかに何も持たなくなってしまった。

ラインハルト、私はあなたの館を出ます。どこかに小さな家をいただけるかしら?」

ラインハルト「姉上?!」

 

アンネローゼ「そして当分はお互いに会わないようにしましょう」

ラインハルト「姉上・・・」

 

アンネローゼ「私は、あなたのそばにいないほうがいいのです。

生き方が違うのだから。私には過去があるだけ。でも、あなたには未来があるわ。

ラインハルト、疲れたら私のところにいらっしゃい。

でもまだ、あなたは疲れてはいけません」

 

ラインハルト「・・・わかりました。姉上がそうおっしゃるなら、お望みの通りにいたします。

キルヒアイスとの約束を果たし、宇宙を手に入れてからお迎えに上がります」

 

(中略)

 

ヤン「まったく逆説的だが、ルドルフを悪逆な専制政治に走らせたのは、

全人類に対する彼の使命感だった」

ユリアン「ローエングラム侯もそうなんでしょうか」

ヤン「うむ・・・」

ユリアン「紅茶、冷めますよ」

ヤン「おまえは私が、紅茶さえ飲んでいれば幸せだと思っているだろう。

いずれにせよ、帝国の内乱も終結したらしい。

のんびり紅茶を飲んでいられるのも、今のうちかも知れんな。

さて、今度はどう出る。ローエングラム侯ラインハルト」

 

ナレーション「その頃、帝都・オーディンに帰還したローエングラム侯ラインハルトは、

帝国軍最高司令官の地位はそのままに、帝国宰相を兼任。

事実上、帝国に独裁権を確立した。

同時に亡きジークフリード・キルヒアイスに帝国元帥の称号を授け、

生前にさかのぼって帝国軍三長官の地位を与えた」

 

ラインハルト「・・・キルヒアイス、姉上が見えたのか」

 

ナレーション「だが、彼がその墓碑に刻んだのは、

マイン・フロイント。わが友のひとことであった」

 

ラインハルト「(モノローグ)もはや、失うものは何もない。なればこそ、おれは戦う。

おまえとの誓約を守るため、そして、この胸の渇きを癒す何かを得るため。

それは良き友、それとも強き敵か。

ヤン・ウェンリー、お前ならそれに答えてくれるのか-?」

 

ナレーション「宇宙暦797年。帝国暦488年。

人々の営みに関わりなく銀河は永遠の時を刻んでいる」

 

妙香の感想

 

今回は銀河英雄伝説第1期の最終回なので、

台詞とナレーションをいつもより長く書きました。

 

そのため水曜日に間に合わず日付を跨いでしまうことになり、

更新が遅れて申し訳ありませんでした。

 

前回のラストシーンでアンスバッハがテロを仕掛けたので、

この物語を知らない方はラインハルトが死ぬと思ったかも知れません。

 

しかし、ヴェスターラントの件で対立したはずのキルヒアイスが、

まったく武器を持っていないのに身を挺してラインハルトを守りました。

 

キルヒアイスはかつてアンネローゼとこんな約束をしていたんです。

 

「ラインハルトの道が戦いの道である以上、

その足元に何があるか、何によって築かれた道なのか、

それを忘れるようなことがあれば、

ジーク、そんなときはラインハルトを叱ってやって。

ラインハルトを諌めることができるのは、あなただけなのです。

もし、ラインハルトがあなたの言うことも聞き入れなくなったら、

その時は弟も終わりです。そして、ラインハルトが破滅する時は・・・」

 

キルヒアイス「・・・アンネローゼ様」

 

アンネローゼ「ごめんなさいね、ジーク。無理なことばかりお願いして・・・

でも、私には他に頼る人がいないのです・・・」


キルヒアイス「お任せください、アンネローゼ様。

私にできる限りのことは、この身に代えましても-」

 

(第5話「カストロプ動乱」より)

 

【ジークは昔の誓いを守った】というのは、

この時アンネローゼに対して言ったことなんですね。

 

アンネローゼはラインハルトにとって母親に等しい存在なので、

弟の欠点を誰よりもわかっているんです。

 

ラインハルトは野心家で情熱的ですが、理想を追い求めすぎる傾向にあります。

これに対しキルヒアイスは温厚で冷静です。

 

ミッターマイヤーをはじめとする元帥府の提督からの人望もあり、

ラインハルトに直に諫言できる唯一の配下でした。

 

キルヒアイス「では、ラインハルト様。あなたが怒っておられるのは、

ビッテンフェルトの失敗に対してですか?」

ラインハルト「知れたこと」

 

キルヒアイス「私にはそうは思えません。

ラインハルト様のお怒りは、本当はあなた自身に向けられているものです」

 

ラインハルト「・・・」

キルヒアイス「ヤン提督に名をなさしめた自分自身」

 

ラインハルト「なっ・・・!」

キルヒアイス「ヤン提督に名をなさしめたことが、そんなに悔しいんですか?」

 

ラインハルト「悔しいさ。決まっている。ティアマト、アスターテ。そしてこのアムリッツァ。

何故いつも奴は・・・おれが完全に勝とうとしている時に現れて邪魔をするのか!」

 

キルヒアイス「彼には彼の不満がありましょう。

何故自分はことの最初からローエングラム伯と対局できないのかと。

ラインハルト様は前面にヤン提督、後背に門閥貴族とふたつの強敵を抱えておいでです。

この上、部下の中にまで敵をお作りなさいますな」

 

(第16話「新たなる潮流」より)

 

ラインハルトはアムリッツァで完全勝利を逃した時、

ビッテンフェルトの失策のせいであると激昂したんですが、

キルヒアイスはラインハルトの心情を読み取り、

彼が自分自身に対して苛立っていることを見抜きました。

 

オーベルシュタインは政治や戦略の策を立てることに秀でていますが、

キルヒアイスのように感情面でフォローすることはできないんですよ。

 

ラインハルトにとって、これは非常に重要なことだと思います。

 

なぜなら勝つことや支配することのみを考えるやり方では、

血の通った政治を行うことはできないからです。

 

旧体制の破壊という荒療治にはオーベルシュタインが必要ですが、

その後の創造と守成にはキルヒアイスのように、

公平で温情のある参謀がいなければなりません。

 

でも、キルヒアイスは凶弾に倒れてしまいました。

 

あまりに酷い運命に目を背けたくなりましたが、

彼の死を契機にして歴史の歯車は大きく動き始めます。

 

最大の障壁であったリヒテンラーデを政治の表舞台から消し、

ラインハルトは新たな帝国宰相となりました。

 

時の皇帝は幼君なので彼が事実上の支配者です。

 

配下の提督たちが有能で団結していたから、

すべて上手く行ったんだと思いますが、

自分の分身に等しい友を失うという惨劇に見舞われても、

前に進むことを忘れなかったラインハルトの強さが光ります。

 

ここで挫けてしまってはキルヒアイスが悲しむことを、

ラインハルトはきちんとわかっていたんですね。

 

何より命がけで自分を守ってくれた友の死を、

絶対に無駄にはしたくなかったんです。

 

キルヒアイスは永久に輝く星となりましたが、

この大きな挫折を糧にして、ラインハルトがこれからどう戦ってゆくか、

私も注視して行きたいと思います。

 

次回の「初陣」から第2期がスタートです。

 

銀河英雄伝説のファンになった理由

 

feline3594.hatenadiary.jp

 

人物とあらすじ

 

feline3594.hatenadiary.jp

 

広告を非表示にする