• 月機

【月機】Deadly Approach

マスター:剣崎宗二

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
不明
オプション
  • relation
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
6~10人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/09/27 12:00
完成日
2016/10/07 06:31

オープニング

●Master of Games

「…へぇ」
 後ろを向いたまま、歪虚『錬金術の到達者』コーリアスは、静かに報告を聞く。
 報告を行うのは甲鬼 蛮蔵。彼の部下にして、強力な隠形を持つ歪虚の一人。

「――ご主人。良いのか?仕掛けた物は殆ど破壊されているぞ?」
「いいよいいよ。寧ろそれくらいじゃなきゃ面白くない。それすら破壊できないようなら、僕が出ないで皆に任せておこうかなってすら思ったくらいだからね」
 少し間を置き、マスクの下のその口が僅かに歪む。
「それよりも問題は、あの妙なバリアだね。…どうやら魔力で構成されているらしくて、僕の力が通じない」
「それについては既に協力者たちが破壊に向かっている。間もなく解除されるであろう」
「……ま、解除が出来ればよし。出来なければ――遊んで帰るしかないだろうね」
 何にしろ、楽しめればいい。それがコーリアスの最大の『原則』。
 ――その上で新しい玩具が手に入れば更に嬉しいが。

「さて、ゲームマスターとして。このゲームの『ラスボス』として。ここまで辿り着いたプレイヤーたちを迎えに行かなきゃならないようだね」
 そこまで言われて、蛮蔵は気がついた。複数の人間の気配が、この場に近づいている事に。
「最後の量産型たちも出そう。最も、今回は少し改造を加えているけどね」
 エントランスホールへと向かうコーリアスの顔は、さも楽しげに笑っていた。


●The Challenger

 四方の結界点で戦闘が始まる中、嵐発生装置破壊の際に得られた僅かな痕跡、及び霧の障壁の先にあった構造から推測した『とある地点』。その地点への偵察によりコーリアスの本拠地が判明し……その建物の前に今、ハンターたちは到達していた。
 場所は分かっている。しかし、その内部構造はほぼ『全くの未知』。
 偵察を送らなかったわけではない。それ故に『場所が分かっている』のだ。

 ――内部に入った偵察兵は誰一人として帰って来なかった。遺体すら存在しない。
 ――この件の『交渉屋』であったロレント・フェイタリが、『準備期間は攻撃されない特権』を用いて内部に入ろうとしたが、彼が扉に手を掛けた際だけ、扉は開かなくなっていた。『交渉なら外で行うよ?』と言う、コーリアスの声と共に。さすがは『本拠地』。そう簡単には見させてくれないと言う訳か。
 唯一の手がかりは、テトによる偵察。卓越したスカウト技能を持つ彼女ですら、確認できたのはエントランスホールの状況のみ。それ以上前に進もうとする彼女を、壁から生える無数の銃座と、神出鬼没のアンドロイド部隊が阻み、撤退を余儀なくされたと言うのだ。

 ――だが、その腹の探り合いも、ここで終わりだ。
 最終決戦が始まり、全ての攻撃禁止ルールが解除された以上。偵察などと悠長な事を言っている時間は無くなった。
 ――今この刻も。仲間たちが、陣の要所を守るため、死闘を繰り広げている。その間に敵の首を取る事こそが、この場に集ったハンターたちの目的。

「行くぞ」

 誰もとも無く、号令を発する。
 それに対して、全員が――静かに頷いた。

 この屋敷に如何なる『仕掛け』がされているのか、今のハンターたちにはまだ知る由はなかった――

プレイング

フワ ハヤテ(ka0004
エルフ|26才|男性|魔術師
※攻撃時は常に己と味方巻き込まぬよう注意

初ターンは味方が爆弾・泥団子投擲してる間己にウィンドガスト使用。その後室内へ。
全身を装備ごとマテリアルの風で覆い、回避を上昇+物質変化を多少でも防ぐ。
以後切れないよう定期的にウィンドガストをかけるよう注意。
「キミと以前やり合った知り合いがいてね。とても厄介だとは聞いているよ。」


主に量産型マティリア・銃座対応
味方突入後音と内部様子から銃座の数をおよそ把握、異常な数でなければ先銃座対応
出来る限り多くの銃座を破壊


対マティリア(他蛮蔵等)
なるべく的と距離取るよう動き、泥団子で判別付けば目視、つかなければ風の動きや目の前に現れた相手にブリザード
己を巻き込まぬよう敵背後から位置を調整。なるべく銃座巻き込む
敵(種別問わず)が数体一列ならんだ際ライトニングボルト

壁へこみは警戒。
特に敵がへこみへ誘導しようとしたら要注意

敵の弾は歪んで見えるだけの直線ならば銃口の先を信じ回避
無理なら盾防御
姿判明してる敵はそのまま警戒。判明しなかったものは前や側面に先回りする情報を元に前方警戒。
現れたらすぐ避けれるよう気がまえておく。
蛮蔵の引き寄せ時は盾構えつつ攻撃スキルで反撃か盾で押さえつけ
その他臨機応変に対応

攻撃魔術使い切ったら最後のウィンドガスト使用までは避け駒として残りつつ出口の方へ。
最後の使用後はスキル効果切れる前に室外へ逃走最優先。
一足先に失礼させてもらうよ。
ジョージ・ユニクス(ka0442
人間(紅)|11才|男性|闘狩人
「コーリアスと対面か」

目的
コーリアスの撃破
「……しばらく見ない間に、凄くこっちっぽくなったというか」

人物
全身鎧に身を包んだ元貴族の少年
父が堕落者に堕ち、嘗てはその復讐が中心であったが現在は護る為の強さを考え始めている
友人たちを護る、その為に
アルマ・A・エインズワース (ka4901) :親友
ミリア・エインズワース (ka1287) :大事な友達

役割
アルマを真似、泥団子を生産
メインは蛮蔵、及び量産型マティリア対応。コーリアスに攻撃を与える面子の護衛を兼ねる
蛮蔵、マティリアあるいはいるであろう地点に泥団子を投げる
但し総ては投げずに幾分かは楯裏に隠し持つ

『ソウルトーチ』で目立ちつつ、これで回りが照らせるかチェック

盾で攻撃をできるだけ受け止めつつ、『迎賓の帝剣』で反撃、ダメージは『マテリアルヒーリング』で回復を行う
狙える状態であるのなら相手の行動阻害が中心だが無理はせず行動
コーリアス対応中心のダメージを少なく抑えるように立ち回り、きちんと届ける様に
蛮蔵、マティリア
位置が判別できる状態ならば此方から攻め立て、出来ない状態ならば泥団子を至近距離で擦り付けられる様に
蛮蔵においては腕を、文字を重点的に攻撃してみて傷、泥による文字の変質がないか確認。
離れすぎず、纏まりすぎずに、結果論でいいので味方の範囲に巻き込ませるレベルに
咄嗟の際には楯による目隠し、押さえ込みを行い味方とコーリアスの邪魔をさせない
マッシュ・アクラシス(ka0771
人間(紅)|24才|男性|闘狩人
得体の知れない敵地の上に、相手が相手とは…いやはや
そもそもこの館、何なのでしょうねえ…

○行動
コーリアス、以外への対応
その際いたちごっこになる場合であれば、コーリアスの方に一瞬だけちょっかいを出す

○状況類推・対応
館内設備は錬金術によりその場で生み出していると言うより、館そのものが既に一固体かと
その為別個に存在するマティリア、蛮蔵とはさして連携しない可能性を想定

・銃座
銃身の方向性は状況からして把握困難と見て、遠距離攻撃の味方

・マティリア
銃座との間に挟めば弾除けにでも使えるかと、戦闘の際はひきつけて
本当に光学迷彩である場合

・亀裂?
広がるのか、何らかの噴出孔か
何か出てくるようであれば、マティリアの残骸を放り込んでみる

・蛮蔵
コーリアス班の妨害に走ってきた場合、対応
煙の動きで光学迷彩などを見切れるかと感じつつ、あまり宛にもせず
見えないのをいいことに急所を狙ってくる場合であれば、カウンターから反撃

・コーリアス
どう見ても最大戦力の為どうにか手傷だけ与えたい
直接対応の味方が十全に動けるよう場を作るよう努める
ただし、見方に対して壁などつくり、完全に見られていない場合であれば刺突一閃で貫通を一瞬狙う
ボルディア・コンフラムス(ka0796
人間(紅)|20才|女性|霊闘士
【目的】
コーリアス打倒
蛮蔵・マティリアの足止め

【準備】
事前に入口から確認できる限りの床・壁の切れ目を確認

【行動】
超嗅覚発動
突入前に爆弾を屋内へ投擲
爆発の混乱に乗じて突入
銃撃は斧と鎧で防ぐ
馬が撃たれたら降りて戦闘
切れ目のある床には近寄らない
大砲等の罠なら余裕があれば破壊

発煙手榴弾の煙の揺らぎや泥の匂い、空気の流れで蛮蔵・マティリアを捜索
コーリアス対応の仲間へ向かう敵は優先的に妨害
蛮蔵・マティリアを見つけたら奥義を発動し、味方がいない状態で敵を2体以上巻き込んで破滅の大地→暴炎(破滅の大地の範囲内だけでも発動。味方がいれば跳ぶよう言う)
蛮蔵の位置は見つけ次第声で周知

コーリアス救援へ向かおうとする敵を優先して妨害・撃破
優先は蛮蔵>マティリア
マティリアは足回りを破壊してから壊す
蛮蔵は高所から打ち下ろすような攻撃をし、魔法武具で受け止めさせ術の発動を阻害
あわよくば武具破壊を狙う
文字に注視
見失ったら臭いで追跡

【術対策】
『風』『具』、『火』『暴』は姿勢を低くし踏ん張る
『峰』は突進に合わせて体を半回転させ、回転力を乗せたカウンターを叩き込む
単に防御として使うならそのまま足止め
『颶』を仲間に使うなら間に入って妨害
その他自然系の文字に注意して対応

【対コーリアス】
足元注意
土壁は破壊
全力で攻撃
武器や体を掴まれないよう注意
攻撃直前で止めるなど、フェイントを織り交ぜる
基本仲間の攻撃のアシストに徹する

撤退時は殿
クリスティン・ガフ(ka1090
人間(紅)|19才|女性|闘狩人
バイク搭乗
ベルトポーチ泥団子装填
初動
爆弾後に
バイクにLEDライト付け前に全力移動
着火指輪で着火し周囲に松明1セットバラ撒く
次に団子を量産型に近寄り投擲して回る
後は近い順に移動斬撃して回る
そしてボルディア側に引き巻き添え回避に一旦離脱
次は蛮蔵を狙う
指揮させない事主軸に兎に角バイクで詰め斬撃
技を出来る限り偏らせる為二刀流使用
味方攻撃とは出来る限りタイミング合せ使用
颶は寧ろ奴に突っ込む
峰は受けず避ける
火との組み合わせは火を叩く
明は3回行動なので日を叩く
暗もステルスなので叩く
フワに対して縦に敵を並ばせればライトニングが来る事を想定し
避ける、逃げる際は出来る限り誘導する
二刀流が切れた後は技を撃つ蛮蔵の割り込み妨害に徹し手甲の漢字を狙い続ける
狙い続けているなら対処しようも、と来ると想定し距離3内で来たら斬魔刀でカウンターアタック使用
胸部に狙いつけ平突きを放つ
行動後か被ダメ41以上時ポーション全使用
壁、床の切れ目は機銃かミサイル想定、床は出来る限り近寄らないが、奴が其方にいけば話は別
武器振り回し距離3から出てくるモノを壊す
バイクの利点を活かす為、機銃を避ける為出来る限り足を止めない
バイク壊れたら降りて続行
カウンター使用後も蛮蔵を出来る限り削るか倒す方向でマテヒ全て使い続行
量産型の方とコーリアスの方も気にはなるが最低限此奴を抑える、最上で倒す事を優先目標とする

天剣絶刀、斬れぬ者などありはしない!!
ミリア・エインズワース(ka1287
人間(紅)|17才|女性|闘狩人
【心情】
「簡単にぶっ飛ばせるとは思えないがやるしかないな」

【目的】
コーリアスに向かう味方を援護するために他の奴らを止める。

【準備】
準備してある泥団子を左手に持つ(敵と相対した際投げつける予定)

【行動】
・ボルディア (ka0796) が爆薬を投げて、突っ込んで行ったのを確認してから移動開始。それまでは爆音に備えて待機。
・ボルディアの奥義に備えて射程内には立ち入らない。
・向かう先は量産型マティリア>蛮蔵>銃座>コーリアス
・ハヤテ (ka0004) の魔法発動時には退避する

【戦術】
・対量産型、対面時に泥団子を投げる以降【薙ぎ払い】【神速刺突】で多数を巻き込み攻撃をする、味方に当たりそうならば通常攻撃
・対蛮蔵、【神速刺突】をメインに可能なら常に死角に移動しつつ腕を狙って攻撃
・対銃座、【神速刺突】が届かなければ放置、届くのであれば潰す
・対コーリアス【神速刺突】が残っていれば他のメンバーとの同時攻撃を狙う。残っていなければアルマの盾に専心、カウンターで腕を切り飛ばせないか試す。
・割れ目から何か出てくるようなら出てきた瞬間輪切りにする。

「アルマ、そっちは任せた。」
「少しでも時間は稼がせてもらうよ」

 
アニス・エリダヌス(ka2491
エルフ|14才|女性|聖導士
・心情
「借りを返しますよ、コーリアス」
以前の戦いで傷を負わされた借りを返すため、彼を撃破しようと意気込みます。
・行動
全体方針に反しないよう行動。壁の割れ目はよく警戒します。
ヒール、ヒーリングスフィアを状況で使い分け、コーリアスとの決戦まで戦力を減じないよう皆さんのダメージコントロールをします。
沢山の敵に囲まれたときは天空神の手向け花で押し返しをはかり、大火力攻撃を持つ方々のスキルを温存させるように動きます。
基本はヒーリングスフィアが有効になり近接攻撃されにくい少し後ろの位置で戦いますが、時にガラハドで敵の攻撃を進んで受け、敵の隙作りや味方のダメージコントロールをします。
有力敵相手の賭けが必要な場面にはわざと回復を見せ攻撃対象になり、味方の集中攻撃を誘発し撃破を狙います。
対コーリアス時は過去に異物質化させられかけているので手にはつねに警戒します。
帰る場所が出来たため、生存には全力を尽くします。
「わたしは活かすもの。最後まで倒れるわけにはいきません。それに……わたしを待つ人がいるんです!!」
フィルメリア・クリスティア(ka3380
人間(蒼)|25才|女性|機導師
「本当に奇抜な発想を…でも…此処で退く訳にはいかない。仕留めるか、深手は負わせないとね」

目的
コーリアスの殺害か撃退

行動
侵入と同時に全方位警戒
松明1セットを位置被りを避けて撒き
偵察情報の銃座による攻撃を意識し回避行動か剣で弾き直接の被弾を防ぐ
コーリアスとの戦闘を主要とする為スキル使用は制限
デルタレイと銃撃を主体にマティリア達を迅速に撃破しコーリアスの元へ
(マティリア達と交戦中も彼を出来る限り自由にさせない様スキルの1発は彼を狙い、届かなければマティリアへ)
蛮蔵からの妨害も意識はするが其方は他の者に任せ本命に専念

スキル使用時は必ず剣使用

対コーリアスではスキルを解禁しデルタレイの残弾と機導砲で交戦
仁川やアルマ、他に彼との戦闘に加わる者と連携共闘し波状攻撃で対応力超過を狙う
機導砲の内2回は機装練魔で集束したものを使用
出来る限り確実に当てる為防御の隙を狙うが防御の上からでも多少なりダメージが通れば

また同スキルにて2回分の集束を重ねた機導砲を「切り札」に用意
使用タイミングは他者の動きに合わせ初回集束時にメイン移動でコーリアスへ肉迫
接近時に彼からの攻撃が来る時は剣で切り払うか、それが不可の場合は急所を外し致命傷を避ける形で受ける
2回目の集束完了後、攻撃タイミングを合わせ錬成術の対応が追い付かない瞬間を狙い零距離砲撃
この時に可能なら彼の身体か服を掴み動きを鈍らせ同士討ちを誘発させる事への対策も取る
仁川 リア(ka3483
人間(紅)|16才|男性|疾影士
〇心情
因縁など殆ど無いが獲物に逃げられるのは嫌いなのできっちり命は狙う
戦闘中の目は人斬りのそれかも知れない

〇作戦
対量産型時の味方の範囲攻撃中は自ら接近せず盾使用で壁となる
殲滅終了と共に接近
複数種の敵と相手する場合コーリアス優先
一人で攻めずチームワーク優先
生きて帰るし命も狙う

〇行動
スキルは対コーリアス戦以外では極力温存
屋敷侵入前に味方から得た情報と遊戯スキルを利用し遊び好きなコーリアスがどこにどう部下や銃器等の仕掛けを配置したか予想し味方と共有
狙う敵の優先順位はコーリアス>蛮蔵>マティリア
量産型戦時、味方の範囲攻撃に当たらぬよう自分からは近づかず盾役担当
撃ち漏らしは近接で対応
「爽快だね。前に出なくて正解だったけど。」
怪我した場合、余裕があるならポーションを全て使用

対コーリアス戦開始と同時にスキル制限を解禁
「見てるだけじゃつまらないでしょ?うちの隊長がお世話になったみたいだし僕も相手して貰おう。」
カル・ゾ・リベリアの攻撃時のみ刃を生む特性を活かし、刃を掴まれたら攻撃中断し回避行動と共に刃を消す
アルマのスキル攻撃に合わせ人斬りの才と連撃を同時使用、回避行動を封じる
「一人の攻撃じゃ君は倒せない、でも仲間との繋がりがあれば!」
敵が手をこちらに出してきたらマルチステップを使用、触れられる前に回避
無理なら盾で防御
「触れられると面倒な技使ってくるんだって?じゃあ出来るだけ避けるしかなさそうだね。」
アルマ・A・エインズワース(ka4901
エルフ|26才|男性|機導師
アドリブ歓迎
ミリア(ka1287)は最愛の妻
彼女に何かあったら怒るじゃ済まない

目的
コーリアス殺す
生還する。死んでる場合じゃない

対蛮蔵、量産型
ステルスは光学迷彩と予想
事前に作成した泥団子を持てるだけ所持。ステルス破りに利用、ついでに床の亀裂に投げ落す
出現の瞬間投げつける。どこかに泥がつけばいい
ステルスに効果なくとも視界潰しに顔面を狙う
「イタズラしちゃうですよー!」
可能な限りスキル温存

対コーリアス
終始楽しそうだが全力で殺しに行く
仲間との連携を積極的にとり、初撃は確実に叩き込む
別の物を変成した瞬間蒼断で攻撃まで前と同じだが同じ手が二度通用するとは思わない
おそらく対策されている…よって2sqの間をあけ狂蒼極と合わせ間合いが伸びた状態で攻撃。相手の防御回避タイミングを外す
どこか斬り飛ばすか、突き刺して引き裂くことを狙う

盾があれば盾ごと叩き斬る
常に金属以上の硬度の物を相手にすることを想定して全力
触られないよう細心の注意
蒼断が届かず移動に支障がある場合その場から青星
どちらも確実に当てる自信があれば狂蒼極を噛ませる
仮面も可能なら狙う
「コーリアスさん。僕、最近貴方の気持ちが少しわかる気がします。ほんの少しだけですっ」
「あんな出会い方でなければ、いいお友達になれたかもしれないですね?」あくまで笑顔
「だから、一緒に遊びましょう……命がけで!」

例の銃は希望者なければ所持
緊急時もしくは量産型に使ってみる

リプレイ本文

●突入

 バン。
「そらよ!」
 扉が大きく開かれるのと同時に、投げ込まれる物体。
 ロレントに用意された爆弾であるそれが爆発し、爆煙を巻き上げた直後。その煙に乗じ、投擲の張本人――ボルディア・コンフラムス(ka0796)が、館内へと突入する。

「よし、今ですよ!」
「了解――!」
 機銃掃射の如く投入される泥球。ハンター側も機械投射装置を用いた……と言う訳ではない。飽くまでもアルマ・A・エインズワース(ka4901)、そしてジョージ・ユニクス(ka0442)による手動の投擲だ。
「イタズラしちゃうですよー!」
 そう言いながら投擲するアルマは、実に楽しそうだ。
「……何やら面白い事をしているね?……ふむ」
 自身の目の前に巨大な壁を立て、爆風を防いだコーリアスが、興味深そうにその壁に付着した泥を見る。
「なるほどね。どうやら貴公たちは、僕の作ったギミックを誤解しているようだ」
 得心が行ったとばかりに手をポンと叩くコーリアス。
 実際、見回せば、泥が付着したのは壁、そして銃座のみ。目標であった蛮蔵、そして量産型マティリアには何れも命中している様子はない。

 それはありえない筈の事だった。
 アルマとジョージの投擲は、無差別と言っていい程の掃射。そこに立っているのならば、如何に素早くとも、泥の飛沫すら付着しないのはおかしいのだ。
(つまり、その場には少なくとも『今は』いない……そんな所かな?)
 己の身に風の障壁を纏いながら、フワ ハヤテ(ka0004)は、静かに状況を観察していた。

 泥球への反撃とばかりに、四方からせり出す銃座。一斉掃射がアルマとジョージを入り口から退けると同時に、それに乗じ、如何なる理か、銃座の後ろに二体、量産型マティリアが出現していた。
 バン。バン。
 疾風の如く駆けるバイクが二体の間を駆け抜け、泥球をぶつけていく。
「そこかぁ! 皆、跳べぇ!」
「了解。巻き込まれるのは勘弁だ」
 突進するボルティアの意を察し、バイクの騎手――クリスティン・ガフ(ka1090)が、大きく旋回し、入り口の方へと距離を取る。
 掃射される機銃を斧でガードしながら突進。全ての中央に至ったかと思うと、大きく、その斧を振り上げるボルティア。
「おまえら全員……止まりやがれぇぇ!」
 ドン。地面に突き立てられる斧が地を割り、局地的な地震を引き起こし、彼女に飛び掛ろうとした量産型マティリア二体の動きを止める。
「そして……砕けやがれぇぇ!」
 引きずるようにして二回転。地面に擦り付けた斧が、炎の顎を纏う。友の祈りが、その炎を一段と大きく、膨張させる。
 横薙ぎに斧を振るえば、炎の顎が、今にも逃げる術を失った量産型マティリアたちを飲み込まんと迫る!

 ガキン。
「なっ……!?」
 見れば、炎を纏った筈の斧は、量産型マティリアの表面装甲に止められていた。
 鋼をも断つはずのその一撃。たとえ超硬度の装甲を纏おうとも、まともに食らって一歩も下がらないと言うのは、ありえない筈だった。
 然し、防御したその理は判らずとも、ハンターたちの攻勢が、ここで終わるはずもまたなし。
「邪魔な砲台は凍らせちゃおうね」
 ハヤテの展開した魔法陣が銃座を取り囲み、吹き荒れる氷雪が、それを凍結せしめる。
 だが、砲座の展開は比較的にまばら。恐らくその射程から、同じ箇所に多く設置しても意味がなく、逆にお互いがお互いの射線を邪魔してしまう――と言う判断なのだろう。故に吹き荒れる氷雪は、一度に1-2体を凍結させるのが限界。
 だが、攻め込むハンターたちにとっては『それで十分』。それを示すかのように、銃撃の合間を縫って、再度クリスティンは突撃していた。
 地面を擦る刃先が、火花を散らす。
 すれ違いさまの一閃が、量産型の装甲に大きなヒビを入れる。反撃が届くその前に、バイクの機動力を生かして射程外に離脱している。凍結が解けた機銃からの掃射が浴びせられる物の、その衝撃力はバイクを横転させるには至らず。寧ろバイクを盾にするように、クリスティンは離脱に成功する。

「やれやれ」
 捻じ曲がって見えるその弾丸に、なんとなく嫌な予感はしていた。それ故にハヤテは、機銃弾にあたる事を避けていた。幸いにも風の加護を受けた彼ならば、銃弾をほぼ全て回避する事もまた、不可能ではなかった。
「っ――!」
 だが、弾丸を回避し、反撃の魔法陣を展開したその一瞬。僅かな隙を突くように、彼の後ろには、量産型マティリアが出現していた。
 それは正しく、テトが報告していた通りの、まるで瞬間移動のような出現。だが、既にそこに居た二体が動いた形跡はない。つまりそれは――
(突然出現したって事ね……!)
「Binding Ground」
 回避しようとした瞬間。足が地面に絡め取られる。奥に居るコーリアスの仕業だろう……この館自体が彼の被造物故に、この館の中に於いては彼はありとあらゆる方向から錬成による攻撃を仕掛けられる。これさえなければ、疾風の加護を受けたハヤテは、奇襲とはいえその掴みを回避できたはずだった。
 がっしりと、腰に手を回すように掴まれる。そのままスープレックスで頭から地面に叩き付けられる。
「面倒な事をしてくれるね……!」
 魔法陣と共に放つはずだった氷結の魔力を無理やり両手に込め、そのまま自らをロックしている量産型マティリアの両腕から、更に流し込む。
 その敵の背後に吹き荒れる氷雪が、流し込まれた魔力の壮絶さを物語る。一瞬にして凍結により量産型の行動が停止する。
 だが、それは敵の攻勢が止まったと言う事では決してない。
 ――何故今まで、量産型マティリアが二体しか出現せず、フィルメリア・クリスティア(ka3380)を筆頭とするコーリアス対応班を奥に通したのか。
 それは、コーリアスが己の対応能力に自信があったのが一つ。
 だがもう一つは、彼の作戦。広く、目標を散らす事により、ハンターたちを分散させ……孤立した者を出現した『増援』によって叩く事。館のギミックは、その為に仕込まれていた物だ。

「……ふん」
 足音はしない。だが。僅かな空気の動きが、『それ』が出現した事を伝える。
 ――『天井を駆け』、まるで空気から固形化したかのように、歪虚『甲鬼 蛮蔵』が出現する。
 泥球の乱射が彼に届かなかった理由は明白。投射が水平射撃の体を取っており、天井、しかも非常事態対応のためコーリアス寄りに居た彼の高さに届かなかったからだ。
 その彼が出現した理由はただ一つ。――攻撃の機がやってきたからだ。
 回復役であるアニス・エリダヌス(ka2491)は既にコーリアスの空気氷弾を浴びせられていた前衛の回復の為前進していた。直ぐに引き返そうとするが、出現した量産型にその道を塞がれる事となる。距離を大きく取ったハヤテは…近接を中核とする殆どの味方と、大きく離れていたのだ。
「邪魔――しないでください!」
 その身に宿す魔力が、光の花に変換させ、その蕾を開く。光は周囲に居た敵の全てを焼くが、致命打…一撃必殺には至らず。寧ろその一部は、まるで量産型の体内で循環されるように回転した後、空気中に光の粒子として放出されていた。
(対マテリアル防御――!?)
 ダメージがない訳ではない。だが、推定していた物よりはずっと低い。恐らく魔術に対して働く一種の『受け流し』のような物だろう。この僅差で、アニスは一手多く、足止めされる事になる。そして、その一手が……この状況に於いては、影響を及ぼす事になる。
 空中から襲い掛かる蛮蔵。既に掴まれている状況では、ハヤテに回避は望むべくもなし。ならば――!
「迎撃するしかないね」
 冷静に体を捻り、凍結した量産型を蛮蔵の方向へと向けて盾とすると共に、両手の間に強烈な電撃を発生させる。
 それは蛮蔵から見ると死角の位置で行われ、故に奇襲となる。蛮蔵の出現を察知したマッシュ・アクラシス(ka0771)、そしてジョージが既に向かってきている。もう一手あればアニスも障害を破砕できるだろう。つまり――この一手さえ乗り切れば、ハヤテはピンチを脱せる。
「纏めて……貫いちゃうよ!」
 放たれる直線の雷撃が、間に挟まった量産型を貫通。そのまま一直線に、矢の如く蛮蔵に襲い掛かる。たとえ打ち倒せずとも、攻撃を遅らせる事が出来れば、それだけで目的は達成できる。
「討ち取らせてもらおう……!」
 両手を打ち合わせる蛮蔵。作られし文字は『峰』。そのまま土塊を盾のように使い、空中からの蹴撃が正面から雷撃と衝突する!
 バン。
 土塊の盾の一部が弾け飛び、雷撃が蛮蔵の脇腹を掠め、焼け焦げた跡を残す。属性ではハヤテの雷撃の方が有利だ。
 だが、傷を負って尚、蛮蔵の突撃は止まらない。
「ふん……!!!」
 土の刃による突破は、氷結した量産型を貫き、『それ』ごと、ハヤテを貫き、地面に縫い付けた。


●開かれる手札

「そこだったか……!」
 量産型の相手をしながらも蛮蔵を探索していたクリスティンが、目標の出現に対してバイクを回転させ、帰還しようとする。しかしその瞬間、
「!?」
 バイクのが停止し、転倒する。投げ出されたクリスティンが見たのは、動力源につながるパイプの一本が、まるで何かに『溶解』されたかのように破壊されていた事。
 ――そう言えば、機銃銃座の攻撃は『実体弾』にしては衝撃力が低かった。まさか――

 ――同じ疑問を、量産型相手に奮闘を繰り広げていたボルティアもまた感じていた。
 まるで、自身の攻撃力が下がっているようなそんな状況に、武器を観察してみれば。刃の部分が溶解され、鈍くなっていた。
 その状況に繋がる原因は一つしか思い当たらない。突入時に機銃弾を武器で受け止めた事のみ。
 何故、弾が歪んで見えたのか。それは弾が『固体』ではなく、発射の加速度で歪んだと言う事ではないのか。
(酸液弾…!?)

「機銃弾は受け止めるな!装備を溶かされるぞ!」
 その結論は、直ぐに全ハンターの間で共有される事になる。
「いやはや、そう言う事なら、利用させてもらいましょう」
 蛮蔵へ向かう途中で量産型に阻まれたマッシュは、それを聞き、即座に戦法を変更する。二刀による連撃で目の前の量産型の注意を引くと、踊るようなステップを踏み、回り込むように自らと銃座で量産型を挟み込むような位置取りをする。
 銃座は無差別に攻撃を行い、液体弾を量産型に浴びせる。
「さて、これで弱りましたかね?」
 追撃をすべく、両剣を交差させ、振り下ろそうとした瞬間。異変に気づくマッシュ。
(溶けていない……!?)
 即座に剣を引き、バックステップで大きく距離を取る。瞬間。彼の居た位置を、振り払われた酸液の雫が通り過ぎた。
 ――考えてみれば、兆候はあった。テトの証言では、彼女が偵察に入った際も、機銃は量産型が居ても遠慮のない銃撃を仕掛けてきたと言っている。若しもそれで量産型がダメージを受けたとしたら、科学者でもあるコーリアスの事だ。その弱点を修正するような改造が施されてしかるべきだろう。
 連続で拳打を繰り出してくる量産型。体の一部に酸液が付着している事もあり、近接型であるマッシュにはうかつには手は出せない。幸いにして動きは速くはないため、隙を突いて酸液のない部分を突きで攻撃し、破壊する事でダメージは与えられているが――
「面倒ですね……」
 付着している分もさることながら、拳打が繰り出されるごとに予測不能な方向へと飛散する液の回避は困難で、それを強行するマッシュの疲労は予想以上に累積していた。

 一方。蛮蔵側。
「っ……!」
 斬撃からの拳打と見せかけ、ジョージが盾裏に隠していた泥球を蛮蔵に叩き付ける。
「これで……もう逃げ隠れはできない……!」
「……本当にそう思うのか?若人」
 機銃弾が蛮蔵に浴びせられ、それを服の『泥の付いた箇所』で受ける蛮蔵。酸が泥を溶かし、一瞬にして清潔にする。
 ――機械である量産型マティリアが素材の特性により酸に抵抗したのは理解できる。しかし、蛮蔵までもが酸弾を無効化してきたと言う事は……
(存分に準備してきた……と言う事か……!)
 ――そもそも、この館はコーリアスのホームグラウンド。故にこの中のギミックは、彼によって、相互作用も含め考え抜かれていると思っていいだろう。自陣のギミックによる同士討ちは、何か氏らの方法で誘発しない限りは期待できないと思っていい。
 描かれる『炮』の文字。降り注ぐ炎の雨が、ジョージの体力を削っていく。
 ジョージの奥の手の帝王の剣は、射程内に応報する相手を捉える必要がある。――中距離からの強襲が多い蛮蔵とはいささか相性が悪い。所持武器が至近距離のみに届く大斧であれば尚更だ。
 だが、ここで、バイクを捨て接近したクリスティンが、終に蛮蔵を射程距離に捉える。同時に時間はかけたが、強引にその腕力のみで量産型の一体を粉砕したボルティアもまた、蛮蔵に接近していた。

「おっと、向かわせませんよ」
 マッシュの手から放たれる無数の突きが、壁のようになり、応援に向かおうとした量産型を阻む。
「こちらに集中させていただきましょうか」
 魂を燃やし、ジョージが敵の注意を引き付ける。その光に蛮蔵が注意を裂いたのは、僅か一瞬。だが、それで十分だった。
「はぁっ!」
 クリスティンの一撃が蛮蔵の手甲に直撃し、干渉を受けた漢字がその場に霧散する。
 ひたすら蛮蔵に『仕事をさせない』、即ち彼の技の形成を妨げるのがクリスティンの作戦。
 そして、その上から、手甲を狙って大振りの振り下ろしが放たれる!
「砕けろ!」
 カン。ボルティアの全力の一撃は、然し蛮蔵に受け止められ、弾かれる。やはり武器が腐食されている状態では威力が足りないのか、漢字を霧散させられていない。故にクリスティンの次撃の前に、逆立ちの様な姿勢から『爆』が放たれる。半分を四散させられた際は、再構築にかかる時間もまた『半分』と言う事か。
 広がる爆煙。土煙が静まった時、そこに蛮蔵の姿はない。またどこかに隠れたのか。そう考えたボルティアが鼻に神経を集中させ、隠蔽先を探知すべき努力する。
 ――蛮蔵のステルスは確かに強力だ。然し――この近距離で超嗅覚を誤魔化しきる程ではない。
 直ぐにとは行かなかった物の、ボルティアは場所の特定に成功する。そして、その場所は――

「ジョージ、後ろだ!!」
「!」
 咄嗟に盾を構え、反撃の用意をする。
 いきなり空中に『爆』の文字が描かれ、爆発により吹き飛ばされる。反撃は爆発により距離が広がった為届かず、壁に叩き付けられる。
 ――奇襲を防げなかった原因の一つには、作戦の齟齬もまた存在する。
 一部のハンターたちは味方からの煙幕弾投擲に期待していた。だが、誰一人として、その発煙デバイスを用意せず、また投擲の準備もしなかった。
 それ故に煙幕実行時に行うべきプランは全て無効化され……蛮蔵の襲撃に繋がったのである。
 そして、蛮蔵の攻撃によって吹き飛ばされたジョージに、出現した量産型たちが殺到する。ソウルトーチで注意を引いた以上、仕方ない事であるのだが。
「もう少し耐えてください。今――!」
 アニスの放つ癒しの光が、蛮蔵の一撃で傷ついたジョージを回復させる。元より彼の防御力は低くはない。このまま耐え切る事は不可能ではない。
「邪魔だ、女」
 『颶』。巻き起こる風が、アニスを押し飛ばし、ジョージをヒールの射程外に外す。全速力でクリスティンが蛮蔵の方へと向かうが、バイクの機動力を失った今では一手で接近と攻撃の両方を行うのは不可能。

「っ!?」
 マッシュが相手をしていた目の前の量産型が、一瞬で消失する。即座に周りを見渡すが、その姿はない。武器を振り回しても命中しない事から、確かにその場から消えたようだ。
 だが、周囲に撒き散らされたたいまつの灯りを頼りに注意深く観察してみれば、消えた場所の地面には、例の『割れ目』が。
(まさか……!?)
 その推測は、振り返った瞬間実証される事になる。
 割れ目が開いた。そう思えた瞬間、そこから量産型が出現していた。
 咄嗟に、一撃を剣で受け止める。モーター音と共に、大きく押し出される。
(つまり、瞬間移動ではなく……ある個体を引っ込めるとともに、他の個体を別の出入り口から出したと言う事ですか……!)
 このトリックが成立したのは、量産型たちが『量産型』故にまったく同じ外見をしていた事。そして、テトが偵察に集中していて、攻撃をしなかった事。瞬間移動元の個体の表面装甲に傷が付いてしまえば、それが真なる瞬間移動ではないことは、容易に気づかれていたはずだ。
 その事実は、直ぐに、マッシュの口から、ハンター全員に伝えられる。
 直後、彼は、切り捨てた量産型の残骸を出入り口に押し込むが…ばらばらの残骸であるが故に、封鎖する事は出来ず、出現する新たな量産型によって残骸が押し飛ばされる事となる。


●玉座への突撃

「邪魔だぜ……っ!」
 巨大な刀の一閃が、量産型の一体を両断する。
 ミリア・エインズワース(ka1287)、そして仁川 リア(ka3483)が両サイドから接近する量産型を迎撃した隙に、フィルメリアとアルマは、敵の大将――コーリアスを、その射程内に捉えていた。

「貰いましたよ――!」
 接近と共に、腕に宿した蒼の炎を開放する。義手たるその右腕から、伸びる光炎の刃。
「コーリアスさん。僕、最近貴方の気持ちが少しわかる気がします。ほんの少しだけですっ」
 初手から全力。手加減や長期戦などは一切考えていない。それが、今出せる彼の『最強の一撃』
「ほう」
「あんな出会い方でなければ、いいお友達になれたかもしれないですね?」
 立ちはだかる、巨大な壁。ここまでは予想済み。
「だから、一緒に遊びましょう……命がけで!」
 その為にタイミングをずらし、全力を込めた一閃。
 だが、コーリアスとて、一度は脇腹に強烈な一撃を貰ったアルマの事を忘れた訳ではない。それ故に、彼の火力に耐えられるかの『実験』として、己が錬成できる『最強の素材』を以って、壁を立ち上げたのだ。幸いにも戦闘が開始した瞬間、アルマが向かってきたのは見えていた。――準備の期間は、僅かとは言えあった。
「Forge……『Multilayer Crystaline』」
 油断はない。故に通常の砲撃の距離に入った時点で、アルマのマテリアル流に異変を観察した瞬間に……彼は壁を作り上げた。

 キン。
「……やるね。五層障壁を四層まで割られるとは」
 必殺の一閃は、然し壁を割るにギリギリには至らない。金属以上の硬度は想定していたが、どうやら熱やエネルギーにある程度耐性のある素材のようだ。それでも破壊ギリギリまで切り込んだと言う事実が、アルマの魔力の高さ、そして彼の技の強さを物語っていた。
「今なら、割れますわよね?」
 放たれる砲撃。それは、アルマと同様に、エネルギーを重ねて強化された物。
 氷を彷彿させる形、構造で展開された魔法陣。フィルメリアが放った一撃は、それを通過、増幅され、一寸違わずにアルマが斬撃を浴びせた箇所に命中した。
「っ……!」
 貫通。
 仮面に覆われたコーリアスの表情は正確に視認し難いものであったが、肩を打ちぬかれ、僅かに口元が歪んでいたのを、急速接近していたリアは確認していた。酸機銃弾をフィルメリアが剣で受け止めておらず腐食の効果を受けていなければ、もっとダメージは大きくなっていたはずである。
「少しでも時間を稼がせてもらうよ」
「うちの隊長がお世話になったみたいだし僕も相手して貰おう」
 一撃が重いミリアの重撃と、速度に任せたリアの高速の連閃。それを硬化させた両腕でそれぞれ受け止めるが、貫通能力を持つミリアの突きはこの方法では受け止めきれず、僅かに装甲が割れ、出血する。
 そのまま間合いを離すかのように、後退するコーリアス。今までほぼ全ての戦いで『動かずにして迎撃を行った』彼には、あまり見られない行動だ。近接攻撃が主体であるハンターたちは、そのまま追いすがる様に接近。次撃に備える。
「一人の攻撃じゃ君は倒せない、でも仲間との繋がりがあれば!」
 ――アルマとフィルメリアが採った「チャージにより攻撃の威力を増す」戦法は、威力の増大と引き換えに著しい『手数の低減』と言うデメリットがあった。それをミリアとリアの牽制攻撃が補うと言う形になっていたのだ。正しくリアの言う通り、連携が彼を圧倒していたのだ。
「確かにそうかもしれないね」
 後退したコーリアスの周囲から、機銃銃座が出現する。
「だけど――」


●連携の行方

「ぐっ……!」
「そんな!?」
 ステルスで場所を変えながら、アニスを『颶』で引き寄せ続け、ジョージを回復の対象から外し続けた蛮蔵の策略により、終にジョージが倒れる。自己回復だけでは、増え続ける量産型に対応し切れなかったのだ。
「放たせはしない!」
 その蛮蔵に追いついたクリスティン。乱打が手甲を狙って振り下ろされ、術式を妨害する。
「ふん……この蛮蔵、魔術だけかと思ったか?」
 猛烈な蹴撃が、刀の背を叩き、押し切るように逆に刃をクリスティン自身の喉へと向かわせて行く。
「――思っていないさ…だから、こういう手を用意した!」
 喉へと刃が食い込む寸前、強引に手首を捻り、僅かに位置をずらす。鎖骨に食い込む刃を強引に引き、逆に蛇のような複雑な軌道で、蛮蔵の足に刃を食い込ませる!
「……これで如何に隠れようとも、その場からは動けないだろう」
「ああ、そうだな」
 ――しかし、蛮蔵の声は飽くまでも落ち着いていて。
「逃げも隠れもする必要がないならば、こうするのが王道だろう」
 両手を付き合わせる。現れたのは『日』『月』――彼の奥義である、ステルス能力と引き換えに3回行動を行う業!
 既に足に食い込んだ刃を引き、更に手甲を叩くには速度が足りない。まさかこれを計算にいれて足を犠牲にしたのか。
「くそがっ!!」
 ボルティアの振り下ろしも蛮蔵を襲うが、先ほども実証されたように、武器を腐食されサブウェポンもない状態では蛮蔵の技発動を妨害するのは困難。そしてジョージが倒れた以上、マッシュは量産型の迎撃で手一杯であり、こちらの援護まで手が回らない。
「『明』――!」
 一瞬の閃光。次の瞬間、空中には連続で三つの文字が出現してた。『爆』一発目を、体勢を低くして耐え切るボルティア。だが、反撃できる前に、直ぐに二発目の衝撃波が襲い来て、煽られて後退してしまう。

 ――機銃銃座の連射から大刀で機銃弾を弾くミリア。酸弾である事は分かっていた…それでも、最愛の恋人を酸弾に晒す事は、彼女にはどうしてもできなかった。
「……必ず、勝ちます!」
 腕に込められた力が、青い炎となって燃え上がる。刃の形に固められたその炎を、コーリアスに向けるアルマ。
「一発でだめなら、何度でも……!」
 展開した氷で出来た魔法陣の上から、更にもう一枚、魔法陣を展開する。
 今度こそ――一撃必殺。全ての集中力を、フィルメリアはその中に注ぎ込んでいた。

 ――リアの剣撃が、コーリアスへと降り注ぐ。牽制攻撃である……後ろに控える二人の為の。
 伸びるマテリアルの刃。それにコーリアスは決して触れようとしない。元より彼の能力はマテリアルで形成された物には通用しない。故に――
 カン。
 伸ばされたマテリアルの刃を、硬化した腕が弾く。然し、戦士ではないコーリアスはその一撃で体勢を崩す。彼自身の力はそれ程ではないのだ。
 その隙に、更に刃を全身の力で押し込むリア。腕に力を込める事を余儀なくされるコーリアス。次の瞬間、彼の襟元を、フィルメリアが掴んでいた。
「この距離なら……外しませんわ」
 彼女の手に集まるエネルギー。そして――
「これで――最後ですっ!」
 飛び掛るアルマ。

 その瞬間、コーリアスの足元の『割れ目』が開き、一体の量産型が出現し、盾にならんとせり出る。
「使わせてもらいますよ!」
 コーリアスの錬金術を無効化する。その筈だった銃を取り出し、出現した量産型に打ち込むアルマ。
 特に変化は表面からは見られなかったが、一瞬、量産型が停止する。
「邪魔はさせないぜ!」
 斬魔刀を無理やり振り回し、量産型を断ち切ろうと斜め一直線に振り下ろすミリア。
 酸弾を受け止めた後では威力は足りず、飽くまでも体の半分ほどに食い込むに留まる。マテリアルの攻撃ではなかったが故に『受け流されなかった』事だけが救いか。
 だが、これで量産型はもう動けまい。後は少し、攻撃位置を横にずらせば――
「『Molten Metal』」
 逆の手でコーリアスが動かなくなった量産型に触れた瞬間、それは一瞬にして『溶けた金属』へと還元される。
 飛散したそれは、フィルメリア、そして――アルマの目に向かって飛来する。一瞬にして熱した金属は彼らの目を傷つけ、そして固形化し……完全に彼らの視界を封じる。
「『仲間との繋がりがあれば』……確かに、その通りだね。――けれど」
 パチン、と指を鳴らすコーリアス。
「――それは、僕たちも同じだ」

 天井を駆ける蛮蔵。接近すると共に、両手を二度、打ち合わせ――空中に二つの文字を表示させる。
 『爆』の爆音が、聴覚を一瞬ながらにして誤魔化し、
 『颶』が、『コーリアスを狙って』放たれる。横に引き寄せ、動かされるコーリアス。そしてそれは、彼を掴んでいるフィルメリアもまた同じ。魔術師にしては力が高い彼女。しかしそれでも、体勢が崩され前のめりになるのは避けられない。――元々、コーリアスの居た場所に向かって。
 そして、攻撃態勢に入っていたアルマもまた、これは想定しなかった。既にコーリアスは錬成能力を使用している。これ以上何かが出来るとは思わなかったのだ。

「やめろアルマ!!」
 ――一閃。
 完全にそちらに全身が引っ張られておらず、直撃は避けた物の――アルマの光炎の剣は、フィルメリアの左肩から左脇腹までを、大きく引き裂いていた。
 もしもまだ目が見えていたミリアの制止がなければ、これでも致命傷になっていた可能性はある。
「やりますね……ですが」
 深く傷つけられたフィルメリア。意識を失う前に、溜め込んだ全ての魔力を、無事な方の手から、解き放つ。
 腕が切られた故に襟は放したが、この距離ならば回避はされない。コーリアスの錬金術もまだ、次の一手は放てない。これならば――
「…油断しすぎだ、ご主人」
 空中に浮かんだ文字は『峰』。石塊を盾にしながら突進、割り込んだ蛮蔵が、そのまま塊を盾にし、一撃を防ぐ。
 だが、複数回の魔力増幅を経た一撃の威力は――彼らの予想をも超えていた。
 細く。細く。氷の魔法陣を貫通し、研ぎ澄まされた一条の光は、石の盾を貫き、蛮蔵の体を打ち抜いていた。


●錬金術師の心

 ポタ。ポタ。
 血が滴り落ちる傷口を押さえながら、蛮蔵はコーリアスに語りかける。
「ゲームは…我らの負けですな。ご主人」
「そう思う?蛮蔵」
「……この時間に至ってもまだ、あの障壁は破られていない。攻勢は失敗したと考えるべきだ」
「……やれやれ、兵士の質が足りなかったか。次は――」
「このままでは次もご主人は負けるでしょうな」
 蛮蔵が、コーリアスの言葉を遮った。
「先ほどの一撃。俺が間に入らなければ、ご主人は打ち抜かれていたでしょう」
 無言になるコーリアス。
「最初から全力を出していれば。ゲームと言わず、全力で里を潰していれば、ご主人は勝利していたでしょう。わざわざ自分に不利な条件を付加しなければ、もう少し、楽に戦えたでしょう。そして最初から『殺す気で』人体錬成を厭わなければ、何人かは既に金の像と化していたでしょうな。それが今の状態になったのは――偏に、ご主人の油断と慢心だ」
 構えるハンターたち。然し、飛び出す者はいない。
 既に三人が倒され、残りの者の多くも、酸弾を受け武器が腐食されている。この場でコーリアスを取り殺す事は難しく、寧ろ彼に死に物狂いで暴れられた場合――ハンターたちから複数の死者が出る可能性も考えなければならない。

「蛮蔵の指摘はもっとも……どうやら、僕は、貴公らを著しく甘く見ていたようだね」
 仮面の奥に光る目の、ハンターたちを見る目線が、少し変わった気がした。
 遊び相手の割合が少し減り、殺意が少し増えた…そんな感じだ。
「でも、僕に遊びを止めることは出来ない。そんな事をしたら、僕は僕ではなくなってしまうからね」
 蛮蔵を抱え上げ、振り返るコーリアスの口元に、残酷な笑みが。
「だから次は……もう少し『全力で遊んであげる』。手加減をするのは、寧ろ君たちにも失礼になるからね。もう『ハンデ』はいらないくらいに、強くなっているでしょ?」

 立ち去るコーリアス。かくして、完全とは言えないものの、ハンターたちはこの戦に『勝利した』。
 ――だが、喜ぶべき事ばかりではない。
 コーリアスの最後の宣言は、ハンターたち、しいては人類に対して。
 ――災いの前兆になるべき物、だったのだから。

 この場で取り殺せなかった以上。勝利の報告と――そして、彼に対する対策を改めて練らなければならない。
 そう考えて、ハンターたちは帰途についたのだった。

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  • THE "MAGE"
    フワ ハヤテka0004
  • カコとミライの狭間
    ジョージ・ユニクスka0442
  • “強欲”なる氷の女王
    フィルメリア・クリスティアka3380

参加者一覧

  • THE "MAGE"
    フワ ハヤテ(ka0004
    エルフ|26才|男性|魔術師
  • カコとミライの狭間
    ジョージ・ユニクス(ka0442
    人間(紅)|11才|男性|闘狩人
  • 凍てついた炎
    マッシュ・アクラシス(ka0771
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • イモータルブラッド
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|20才|女性|霊闘士
  • 天剣絶刀
    クリスティン・ガフ(ka1090
    人間(紅)|19才|女性|闘狩人
  • 蒼炎の右腕
    ミリア・エインズワース(ka1287
    人間(紅)|17才|女性|闘狩人
  • 勝利の女神
    アニス・エリダヌス(ka2491
    エルフ|14才|女性|聖導士
  • “強欲”なる氷の女王
    フィルメリア・クリスティア(ka3380
    人間(蒼)|25才|女性|機導師
  • 執念を込めし刃
    仁川 リア(ka3483
    人間(紅)|16才|男性|疾影士
  • 灼熱の蒼焔
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師

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依頼相談掲示板
アイコン ロレントさんへの質問
フィルメリア・クリスティア(ka3380
人間(リアルブルー)|25才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/09/26 12:10:28
アイコン コーリアス撃退or殺害へ向けて
フィルメリア・クリスティア(ka3380
人間(リアルブルー)|25才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/09/27 12:00:50
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/09/27 02:03:54
アイコン 確認卓
ロレント・フェイタリ(kz0111
人間(リアルブルー)|37才|男性|一般人
最終発言
2016/09/27 01:20:00