今月5日に台風18号「チャバ」によってもたらされた高波により、釜山市海雲台区のマリンシティーが大きな被害を受けたことで、釜山市が今後の防波堤整備などの防災対策で頭を痛めている。現在、マリンシティー前の海岸に設置された高さ5.1メートルの防波堤と1.3メートルの防水壁では、津波はもちろん高波さえ防げないことが明らかになったからだ。しかし防水壁を高くすることについては、高層ビルの下の階でテラス付きのカフェや飲食店などを運営する商店主や経営者が強く反対している。防水壁が高くなった場合、これらの店から海が見えなくなり、経営に大きな支障が出ることを店側は懸念しているからだ。
マリンシティーは80階建ての斗山ウイーブ・ザ・ゼニスや72階建ての海雲台アイパークなど、10以上の超高層マンションやオフィステル(住居兼事務所)が密集しており、1万5000人以上が生活している。またマンションから海まではわずか40メートルほどしかなく、歩いて1分もかからない。しかし5日朝に周辺が高さ10メートルの高波に襲われた際には、大量の海水が防波堤や防水壁を乗り越えて道路やマンションを襲い、1万平方メートル以上が海水に覆われて、影響で海岸沿いの道路に面する多くのマンションではガラス窓が割れるなど多くの被害が発生した。また防波堤の下に設置された巨大なテトラポッドを兼ねたオブジェも道路に倒れそうになり、今も防波堤に引っ掛かったままだ。
マリンシティーは2003年の台風14号(メミ)、10年の4号(ディアンムー)、12年の16号(サンバ)の時にも浸水被害が発生しており、そのたびに防波堤を新たに建設すべきかが大きな問題になってきた。最終的に釜山市は12年に高さ3メートル以上の防水壁を設置することを決め工事を始めたが、周辺の商店主や飲食店の経営者などから「店から海が見えなくなる」との苦情が出たため、高さを1.3メートルに低くした経緯がある。
今回台風被害を受けた住民らは「とにかく防水壁を高くしてほしい」と訴えているが、商店主らは「客はテラスに座って海を見ようとしてやって来るのに、高い防水壁があったら客が来なくなる」として強く反対している。釜山市の関係者は「住民側と商店主側のどちらの声に耳を傾けるべきか判断がつかない」として頭を痛めている。