記事詳細
北京の元軍人デモ 習近平体制に不満の勢力が「動員」の見方も
【北京=西見由章】中国の中央軍事委員会や国防省が入る北京市西部の「八一大楼」前で発生した大規模抗議デモには、1979年の中越戦争に従軍した兵士らも参加するなど、幅広い世代にわたる元軍人たちの当局への不満が噴出した格好だ。
11日から12日未明にかけて行われたデモでは、迷彩服を着た千人規模の元軍人らが待遇の改善を求めて歌を叫んだり、国旗を振ったりした。デモ隊は12日早朝までに排除され、衝突は起きなかったもようだ。12日午前も八一大楼周辺の路上には、デモ参加者を収容するためのバスや警察車両など30台以上が配備され、厳戒態勢がしかれた。
米政府系のラジオ・フリー・アジア(電子版)によると、デモには12の省や市から「数千人」が参加。中越戦争に参加したという男性は「復員後、故郷に戻ってから十分な保障を受けられず、陳情活動のために地方政府や警察から迫害されている」と訴えた。
また現場ではデモ隊のリーダー格とみられる人物が、元軍人らの居住地である9省の省長らが事態収拾のため北京に向かっているとハンドマイクで主張。海外の中国語メディアは、共産党中央政法委員会の孟建柱書記がデモ隊の代表と交渉にあたったと伝えた。いずれも真偽は不明だ。