【ニューヨーク=高橋里奈】国連安全保障理事会は6日午前(日本時間同日深夜)、次期事務総長としてポルトガル元首相のアントニオ・グテレス氏を国連総会に勧告する決議を全会一致で採択した。総会が近く正式に第9代の事務総長に任命する。
アントニオ・グテレス氏=アナドル提供・ゲッティ共同
年末に退任する韓国出身の潘基文事務総長の後任として、グテレス氏は2017年1月に次期事務総長に就任する。
グテレス氏は05年6月から15年12月まで国際機関トップである国連難民高等弁務官として難民危機に対応した実績を持つ。次期事務総長を巡っては当初、これまで就任例のない女性や東欧出身の候補を推す機運があったが、国際政治の経験が豊富で安定感のあるグテレス氏でまとまった。
5日に実施した次期事務総長を選ぶための6回目の予備投票には前ニュージーランド首相で国連開発計画(UNDP)のクラーク総裁ら女性5人を含む10人が出馬した。グテレス氏は15カ国の理事国のうち13票の支持を得たうえ、拒否権を持つ常任理事国からの不支持票もなかったことから選出が確実となった。
アントニオ・グテレス 95~2002年、ポルトガル首相。05~15年、国連難民高等弁務官。ポルトガル社会党書記長や世界各国の社会民主主義政党が加盟する「社会主義インターナショナル」の議長なども歴任。英語、フランス語、スペイン語などに堪能。リスボン工科大卒。67歳。