【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は6日午前(日本時間同日深夜)、年末に退任する潘基文事務総長の後任として、元ポルトガル首相のアントニオ・グテレス前国連難民高等弁務官(67)を総会に勧告する決議を満場一致で採択した。これにより、グテレス氏が第9代事務総長に内定。総会は勧告を受け、来週、グテレス氏を任命する見通し。
事務総長に首相経験者が選ばれるのは初めて。欧州からの選出は4人目で、第4代のクルト・ワルトハイム氏(オーストリア出身)以来となる。
グテレス氏は勧告決定を受けて声明を発表し、「紛争やテロの犠牲者など最も脆弱(ぜいじゃく)な人々に奉仕する」と決意を強調した。任期は来年1月1日から慣行により5年間で、再任を経て計10年間務めるのが通例。
30万人以上が犠牲となったシリア内戦をはじめ、中東やアフリカなど各地で紛争が多発。難民・避難民が第2次大戦後で最悪の6500万人を超えるなど、混迷が深まる中、グテレス氏には首相や国連の難民保護機関トップとして培った強いリーダーシップが期待される。