グーグル 日本でAI戦略説明会を初開催
アメリカの大手IT企業グーグルは、AI=人工知能のビジネスを拡大しようと、12日夜日本で初めて企業を対象とした戦略説明会を開き、日本市場での事業を拡大させる考えを示しました。
この戦略説明会は、AI=人工知能のビジネスに力を入れるグーグルが、日本で初めて開きました。東京・港区にある日本法人の本社の会場には、日本の企業の担当者などおよそ200人が招かれ、AIの研究部門「グーグル・ブレイン」を率いるグレッグ・コラード氏が、戦略を説明しました。
この会社は、ディープラーニングと呼ばれる最先端のAI「テンサーフロー」を、去年11月に無償で公開し、世界標準を狙ういわゆるオープン化戦略を進めています。
グレッグ氏は、「さまざまな端末に搭載できるAI技術なので、ぜひ多くの日本企業が使うことを期待したい」と述べました。
グーグルは、AIの活用を始めた企業に対して、クラウドと呼ばれる大規模なシステムを提供し、より高性能のAIを使うことができる有償のビジネスに先月末新たに乗り出し、海外では、大手企業との契約をすでに増やしています。戦略説明会では、この会社のAIを導入した日本企業の担当者も登壇し、ドローンを使って撮影した空撮映像をAIで分析して測量に活用する事例や、ラジオ体操の上達具合を採点するスマートフォン用アプリの開発の事例などが紹介されました。説明会のあと、グレッグ氏は、取材に対し「AIの技術を多くの産業で標準化することで、アイデアの共有ができ、企業にとっても有益だ」と述べました。
参加したベンチャー企業のAIの担当者は、「この技術を使えば、人工知能を自前で開発するコストと時間が節約できるメリットがある」と話していました。
AIを活用するビジネスをめぐっては、グーグルのほか、IBMやフェイスブックなどアメリカの大手IT企業が、世界標準を目指して各国でしのぎを削っており、日本市場を舞台にした競争も、今後さらに激しくなりそうです。
この会社は、ディープラーニングと呼ばれる最先端のAI「テンサーフロー」を、去年11月に無償で公開し、世界標準を狙ういわゆるオープン化戦略を進めています。
グレッグ氏は、「さまざまな端末に搭載できるAI技術なので、ぜひ多くの日本企業が使うことを期待したい」と述べました。
グーグルは、AIの活用を始めた企業に対して、クラウドと呼ばれる大規模なシステムを提供し、より高性能のAIを使うことができる有償のビジネスに先月末新たに乗り出し、海外では、大手企業との契約をすでに増やしています。戦略説明会では、この会社のAIを導入した日本企業の担当者も登壇し、ドローンを使って撮影した空撮映像をAIで分析して測量に活用する事例や、ラジオ体操の上達具合を採点するスマートフォン用アプリの開発の事例などが紹介されました。説明会のあと、グレッグ氏は、取材に対し「AIの技術を多くの産業で標準化することで、アイデアの共有ができ、企業にとっても有益だ」と述べました。
参加したベンチャー企業のAIの担当者は、「この技術を使えば、人工知能を自前で開発するコストと時間が節約できるメリットがある」と話していました。
AIを活用するビジネスをめぐっては、グーグルのほか、IBMやフェイスブックなどアメリカの大手IT企業が、世界標準を目指して各国でしのぎを削っており、日本市場を舞台にした競争も、今後さらに激しくなりそうです。
ディープラーニングとは
「ディープラーニング」はAI=人工知能を大きく進化させる技術として期待されていて、日本語では「深層学習」と呼ばれています。
従来の人工知能は、膨大な知識やルールなどを人間がひとつずつコンピューターに記憶させる作業が必要でした。例えば、数ある動物の写真から猫を判別させるには、「頭が丸い」とか「ヒゲが生えている」といった猫の顔の特徴をあらかじめ人工知能が把握していなければなりません。
しかし、頭が丸い犬やヒゲの写っていない写真の場合、人工知能は猫かどうかの判断ができなくなってしまい、無数にある特徴を記憶させるこの方法では限界がありました。
これに対して、ディープラーニングは、人間の脳の神経回路をモデルにして、コンピューターが「みずから学ぶ」という技術です。まず、人工知能に大量の猫とそれ以外の動物の写真を記憶させます。
すると人工知能は、どこに猫と判断できる特徴があるのか、自分で見つけ出し、学んでいきます。
写真の数が多ければ多いほど、人工知能の精度が上がっていくのが特徴で、こうした画像認識の分野ではすでに人間よりも判断ミスが少ないと言われています。人工知能がみずから学び、どんどん賢くなるというディープラーニングの技術は、画像認識以外でも自動翻訳や自動運転などさまざまな分野で研究開発が進められています。
従来の人工知能は、膨大な知識やルールなどを人間がひとつずつコンピューターに記憶させる作業が必要でした。例えば、数ある動物の写真から猫を判別させるには、「頭が丸い」とか「ヒゲが生えている」といった猫の顔の特徴をあらかじめ人工知能が把握していなければなりません。
しかし、頭が丸い犬やヒゲの写っていない写真の場合、人工知能は猫かどうかの判断ができなくなってしまい、無数にある特徴を記憶させるこの方法では限界がありました。
これに対して、ディープラーニングは、人間の脳の神経回路をモデルにして、コンピューターが「みずから学ぶ」という技術です。まず、人工知能に大量の猫とそれ以外の動物の写真を記憶させます。
すると人工知能は、どこに猫と判断できる特徴があるのか、自分で見つけ出し、学んでいきます。
写真の数が多ければ多いほど、人工知能の精度が上がっていくのが特徴で、こうした画像認識の分野ではすでに人間よりも判断ミスが少ないと言われています。人工知能がみずから学び、どんどん賢くなるというディープラーニングの技術は、画像認識以外でも自動翻訳や自動運転などさまざまな分野で研究開発が進められています。
アメリカの大手がリード
AI=人工知能の研究開発や実用化は、アメリカの大手IT企業が世界をリードしています。
グーグルは、検察エンジンで培った技術をもとにAIを開発し、関連技術を持つベンチャー企業を相次いで買収しています。
このうち買収したイギリスのベンチャー企業のAI技術は、囲碁のコンピューターソフト「AlphaGo」に使われ、ことし3月、トップレベルの棋士に世界で初めて勝利したことで大きな注目を集めました。
グーグルの戦略は、技術を無償で公開し、世界標準を狙うといういわゆる「オープン化戦略」が特徴です。開発した「テンサーフロー」と呼ばれるAIの技術については、去年11月に無償で公開してほかの企業や個人が自由に使えるようにし、利用する動きが広がっています。
IBMのAI、「ワトソン」は、言語を理解し、学習する技術を得意としています。
2011年には、アメリカのクイズ大会で、人間の全米チャンピオンを破って優勝し、その技術の高さを披露しました。IBMの戦略の特徴は、研究機関や企業向けにシステムを販売し、ビジネスとしていち早く確立させたことです。日本では東京大学医科学研究所が導入して、医学論文を学習したワトソンが専門の医師でも診断が難しいとされていた特殊な白血病を見抜く成果をあげるなど、医療分野でも活用が広がっています。
マイクロソフトは「チャットボット」と呼ばれる文字や音声による会話を自動で行うAIを開発しているほか、世界最大の交流サイトを運営するフェイスブックは、メッセージアプリに人工知能を導入しています。
グーグルは、検察エンジンで培った技術をもとにAIを開発し、関連技術を持つベンチャー企業を相次いで買収しています。
このうち買収したイギリスのベンチャー企業のAI技術は、囲碁のコンピューターソフト「AlphaGo」に使われ、ことし3月、トップレベルの棋士に世界で初めて勝利したことで大きな注目を集めました。
グーグルの戦略は、技術を無償で公開し、世界標準を狙うといういわゆる「オープン化戦略」が特徴です。開発した「テンサーフロー」と呼ばれるAIの技術については、去年11月に無償で公開してほかの企業や個人が自由に使えるようにし、利用する動きが広がっています。
IBMのAI、「ワトソン」は、言語を理解し、学習する技術を得意としています。
2011年には、アメリカのクイズ大会で、人間の全米チャンピオンを破って優勝し、その技術の高さを披露しました。IBMの戦略の特徴は、研究機関や企業向けにシステムを販売し、ビジネスとしていち早く確立させたことです。日本では東京大学医科学研究所が導入して、医学論文を学習したワトソンが専門の医師でも診断が難しいとされていた特殊な白血病を見抜く成果をあげるなど、医療分野でも活用が広がっています。
マイクロソフトは「チャットボット」と呼ばれる文字や音声による会話を自動で行うAIを開発しているほか、世界最大の交流サイトを運営するフェイスブックは、メッセージアプリに人工知能を導入しています。
日本の企業も
日本では、アメリカの大手IT企業のAIを導入する企業がある一方で、独自にAIを開発する企業もあります。
このうち、人工知能の開発を自社で手がける企業としては、トヨタ自動車がことし1月にアメリカのシリコンバレーに人工知能の研究開発拠点を設立し今後5年間で1200億円を投資する計画を示すなど開発体制を整えています。
日立製作所は、いわゆるビッグデータの分析を行うAIを独自に開発し、大量の顧客データを扱う金融機関などに販売しています。
また、人工知能の開発を手がけるベンチャー企業も登場しています。
プリファードネットワークスは、トヨタ自動車と提携して自動運転の技術を開発しているほか、産業用ロボットメーカーのファナックとの間で生産設備の自動化の共同開発を進めています。
このうち、人工知能の開発を自社で手がける企業としては、トヨタ自動車がことし1月にアメリカのシリコンバレーに人工知能の研究開発拠点を設立し今後5年間で1200億円を投資する計画を示すなど開発体制を整えています。
日立製作所は、いわゆるビッグデータの分析を行うAIを独自に開発し、大量の顧客データを扱う金融機関などに販売しています。
また、人工知能の開発を手がけるベンチャー企業も登場しています。
プリファードネットワークスは、トヨタ自動車と提携して自動運転の技術を開発しているほか、産業用ロボットメーカーのファナックとの間で生産設備の自動化の共同開発を進めています。