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[FT]米上場社数、20年間で半減 基金が懸念

2016/10/12 16:20
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 世界最大級のノルウェーの政府系ファンド、ノルウェー政府年金基金(GPFG)の運用担当者は株式上場を目指す企業の減少に警鐘を鳴らし、このままでは投資家は将来性のある企業ではなく、過去に成功した企業にしか投資できなくなってしまうとみている。

 GPFGは北海油田からの収入を元手に、将来の国民の年金支払いのために現在8800億ドル(約91兆円)の資産を保有する。その運用担当者は、米国の上場企業数が過去20年でほぼ半減していることを挙げ、特にIT(情報技術)関連企業の上場意欲の減退に懸念を示した。

サンフランシスコにあるウーバーの本社。上場を延ばすと経営者が明言している(c)Ken Yeung
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サンフランシスコにあるウーバーの本社。上場を延ばすと経営者が明言している(c)Ken Yeung

 運用を担当するノルウェー銀行(中央銀行)インベストメント・マネジメント(NBIM)のオイビン・スカンケ最高投資責任者(CIO)は「投資家は過去の事業や技術のみに投資するという危険を冒していることになる。成長という観点から社会全体に疑問を投げかけるだろう」とフィナンシャル・タイムズ紙に語った。

 世界の上場株を平均で1.3%、欧州株を2.5%保有するGPFGは、世界有数の株式投資家だ。来週公表されるリポートでは、GPFGに現在の株式投資比率の6割を引き上げるか否かが提言される。

 スカンケ氏によると、株式上場を推奨する利点がリポートで明示されるという。同氏は「上場企業の割合が高い国の方が平均して成長率が高い。公共の利益の観点からも、上場すればあらゆる恩恵を得られる。それなのに、なぜ未公開のままでいようとする企業が特に米国で増え続けているのだろうか」と首をかしげる。

 同氏は米配車アプリ大手ウーバーテクノロジーズのトラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)の最近の発言に懸念を示した。カラニック氏は「新規株式公開(IPO)はできるだけ後に延ばす。従業員や大切な人たちが私のオフィスに抗議しに来るまで上場はしない」と述べたという。

 運用担当者は企業の経営陣の負担が過剰で、役員の採用ではプライベート・エクイティ(PE)と呼ばれるファンドに負けてしまう恐れがあるとみる。

 同基金は投資家として存在感を高め始めた。スウェーデン企業2社で、社長など経営陣の人事を議論する指名委員会のメンバーになったほか、主要企業の株主総会前に議決権行使の判断を公表している。

■収益力への集中おろそかに?

 NBIMのイングベ・スリングスタッドCEOは、企業統治の分野でまず取り組むのは、企業が給与や役員構成などの問題に集中するあまり、重要な課題に取り組めなくなっているのではないかと疑問を呈することだと言う。

 同氏は上場企業が事業収益力を高めるという本来の役割を軽視しているのではないかとフィナンシャル・タイムズ紙に語った。「経営陣は様々な課題を負うあまり、元来注力すべき仕事、つまり企業の長期的な収益力を高めるということがおろそかになってはいないか」と同氏は問う。

 スリングスタッド氏は上場企業とPEファンドが所有する企業の状況を比べている。10年前、PEファンドは最も良いCEOを選び、報酬を与える力を誇るようになるとみていたと同氏は言う。

 「今ではPEファンドは企業のためにもっとうまく経営陣を採用し、取締役会のメンバーをそろえられると言うだろう。上場企業より非上場会社の方が経営陣をうまく機能させやすいと考えるPEファンドが一段と増えているようだ」と同氏は話した。

By Richard Milne

(2016年10月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.


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